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【朗読可能】 ちょっとかなしい童話 【フリー台本】

こんにちは。はれのです。
リアルの事情で鬱になっていたので、非公開にしていた童話を公開します。

規約

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本編

僕、どうしちゃったんだろう。

すっごくねむい。ねむたいんだ。

おとうととおとうさんがぼくのかおを覗き込む。

ふたつのかなしいにおいがする。

なんだかやだな。

僕はしっぽをふる。

おもくてうごかない。

きのうはうごいてたっけ。

あれ、ぼくはきのうなにしてたんだっけ。

においがこくなった。

家族の方を向いた。
おとうと、おおきいなあ。

いつのまにでっかくなったんだろう。

おとうさん、においが変わった。

かわいた草のにおい。

あれ、ぼくっていままでなにをしてたんだっけ。

おとうさん、おじいちゃんってなに。

ぼくはぼくだよ。

どんどんにおいがこくなる。

のどがイガイガしてきた。

やだなやだな。

ぼくはいーっぱいちからをつかって、よろよろとたちあがり。

かぞくの所によたよた。

ぼく、あるくのへたになっちゃった。

かなしいつらいにおいがなくなるように。

おとうととおとうさんにだきついた。

がんばったからかな。

すごくすごくねむくなっちゃった。

でもね、においがとまらないの。

ふわふわ。ほわほわ。

そうなんだ。

いちばんかなしいにおいがしてたのは。

ぼくだった。

かなしいよ。

はなれたくないよ。

さびしいよ。

こわいよ。

こわいよ。

でも、へん。

うとうとしてきた。

うん。

おきたらまたあそぼう。

おとうと。

おとうさん。

いっぱいあそぼう。

ずっとずっとだよ。

やくそくだよ。

めをとじる。

あ、かなしいのがすくなくなって。

やわらかい。

あたたかい。

おひさまのにおいがした。

ーーー

その日、一番の甘えん坊でおりこうで食いしん坊なわが子が天に召された。

(了)

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