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書き下ろし小説「アル」 第5話
第1話はこちら。
1点あらすじ
・イーに薬を飲ませた。
5
イーは話を続けた。
「共通点だ。アイツと君に共通している点がある」
「共通点?」
「そう、2人は医者である事」と、目をつむり絶え絶えに言う。
「そして、記憶がよみがえった。あの子もだ」
「あ、そうか。あの手ばやさ……もしかして、あの子も医者なのかもしれない」
ふんっと、荒い鼻息が俺の背後でする。
どんだけ褒められたいんだ、あのガキ。
「別に珍しい事じゃないさ。今は遺伝子組み換えしまくったデザイナーベイビーが20歳前には、高級職に就くからな。そうではなく、白衣の医者の袖を引っ張り……もう一人、君の袖を引っ張って隠れていた」
そうして、イーは何かを呟くのをやめ、眠りについた。俺は触診しようとしたが、手を止める。イーの症状に疑問があったが、もっと大きな謎を先に考える事にした。
彼の言う、大きな何かに関わっている白衣の医者に親しい沢田と……そして、同じ扱いであった俺。
一体どうなっているんだ?
「イーさんは大丈夫。ちょっと休んでるだけだ。ここで私、あなたに話さないといけない事がある」
「なんだ?」
「その前に、あなたのお父さんの話しをしなきゃだな」
自己紹介をしろ。
タブレットの言葉を、唐突に俺は思い出した。
続く
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