【超短小説】年雄、逆。

年雄は池袋で用事を済ませ、友達と会う為に山手線に乗って渋谷に向かった。

友達が田舎に帰る。

コンビニに行くにも車が必要な田舎だ。

都会よりは不便。

でも帰る。

子供が産まれたからだ。

田舎で育てたいらしい。

それもいいかも。

年雄も田舎育ちだ。

住んでた頃は、何一つ不便だと思った事はなかった。

自然の中に遊び場も沢山あった。

きっといい選択だろう。

そう願う。

都会の良さも、田舎の良さも知っていればそれでいい。

住めば都。

きっとそうなる。

「またな」

今日別れる時にはそう言おう。

と考えながら巣鴨に着いた。

逆!

浜本年雄40歳。

上京して20年以上。

まだ電車に上手に乗れない。

プシュー。

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