【超短小説】年雄、待つ。

定食屋で注文してから15分が経つ。

年雄は待つ。

頼んだのは揚げ物だ。

時間はかかるさ。

携帯ゲームで時間を潰す。

ニュースなんかも見ちゃう。

動画も見たいが、WiFiがない。

ふぅ、っと息を吐き、周りを見回す。

注文してから20分は経っただろうか。

まだ出てこない。

厨房を見ると、なんだか忙しそう。

「まだですか?」なんて言ったら悪い気がする。

年雄、待つ。

天井を見て待つ。

歴史を感じる天井。

長年続く定食屋って感じ。

注文してから25分。

急かしてはいけない。

急かしてはいけないが、ソワソワはする。

ソワソワしながら待つ。

30分。

年雄は見た。

年雄より遅く注文した客に、先に定食が運ばれて行くのを。

年雄は・・・それでも待つ。

浜本年雄40歳。

大人になって覚えた事はただ一つ。

我慢。

「すいません!まだですか!!!」

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