【超短小説】年雄と紅い雲

一瞬、火事か!?と思ったほど、遠くの雲は紅く染まっていた。

夕日と雲の相性は良く、色を濃くする。

その紅い雲の方角に向けて、年雄は自転車を漕いでいた。

今日の終わりの始まりの色。

今から眠るまで、ゆっくり緊張を解いていく。

昭和歌謡を静かに口ずさむ。

すれ違う風に、簡単な挨拶。

「今日もありがとう。また明日」

清々しい1日の終わりの始まり。

浜本年雄40歳。

家に帰り着き、台所で昨日の食べ残したカップラーメンを見て「クソッ」と悪態。

寝るまでまだ、リラックスできず。

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