【超短小説】年雄、まどろむ

雪が降りそうなほど寒い外から、年雄は家に帰ってきた。

暖房をつけ、ソファーにゴロンと身体を転がす。

段々と部屋が暖かくなってくる。

寒暖差が気持ちいい。

テレビをつけ、撮りだめておいた、正月のスペシャルドラマを観る。

刑事ドラマ。

殺人事件が起きる。

主人公の刑事が現場に違和感を感じる。

年雄は瞬きをした。

主人公の刑事が女性と話をしている・・・あれ?この女性誰?

年雄が1度瞬きをした瞬間に、30分たっている。

ドラマをもう一度巻き戻し、最初から観る。

殺人事件が起きる。

主人公の刑事が現場に違和感を感じる。

年雄は瞬きをした。

刑事が女性と・・・この女性誰?

まただ。

瞬きのつもりが、寝ている。

もう一度巻き戻し。

殺人事件が起きる。

年雄が瞬きをした。

主人公の刑事が・・・女性を逮捕・・・。

年雄の正月のスペシャルドラマは終わった。

浜本年雄40歳。

家でまどろむ。

1番好きな時間。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?