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「無理しなくて“も”いいんだよ」合言葉に込めたのは、自分で決められる世界への想い

「無理しなくてもいいんだよ」

これは、私たち「はれまプロジェクト」のミッションで、合言葉です。

私たちが目指したい世界をクリアにして、そのためにどんな活動をしていくのか。ミッションを言語化するとき、“も”の一字を入れるかどうかで、すごく悩みました。

「無理しなくて“も”いいんだよ」

「無理しなくていいんだよ」

一字入るだけで、受け取る印象が変わりませんか? 結局、私たちは“も”を入れることにしました。理由は、「頑張ることも、無理しないことも、自分で選びたい。選択権を、私の手に」という価値観を大切にしたかったからです。

頑張れるタイミングに頑張ることを選んでいいし、頑張れないときに無理しなくてもいい。頑張れないときは、ここまでならやれそうと言える。

そう正直に言える世界を、助けてと言えるコミュニケーションを、支え合える仲間をつくる。

これが、「はれまプロジェクト」の目標です。ここに至るまでの議論には、私、「はれまプロジェクト」代表の一人である寺林舞の体験が大きく影響しています。

前回のnoteでは「はれまプロジェクト」を立ち上げた経緯についてお話ししたので、今回は、ミッションに込めた想いについて紹介します。

生理とのお付き合い 寺林ver.

私に“それ”が訪れたのは、小学6年生でした。自宅にいたとき、急にお腹の痛みに襲われ、急いでトイレへ。見ると、ショーツについていたのは血液。怖くて、恐ろしくて、頭の中が真っ白になったことを覚えています。

泣きそうになりながら母に報告すると、母は笑顔で言いました。

「おめでとう。今日は御赤飯だね」

「生理痛」の度合いやPMSは、人それぞれ。個人差がとても大きいといわれています。私の場合は、始まった瞬間から「生理痛」に悩まされてきました。

子どもの頃は痛み止めを飲むことさえ母に禁止されていて(「身体によくないから」という意見でした)、毎月“それ”が来るたび、悶え苦しむ生活を送っていました。

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おまけに、小学4年生のときに「卵巣のう腫」が発覚。良性のものでしたが、22歳の頃には5センチ大にまで拡大していました。そこで切除する手術を受けたものの、卵巣の傷口が子宮と癒着。これが原因で「人よりも生理痛が重い可能性があるね。これは一生付き合っていくしかないです」と、かかりつけ医に言われてしまいました。

PMSもひどい方で、生理前になると何事に対してもネガティブに。とことんまで自分を卑下してしまうせいで、毎月“ネガティブ爆弾”を破裂させ、困らせてしまうことも……(笑って許してくれる仲間に救われています)。

生理二日目には、頭痛、下腹部痛、腰痛が襲い、ひどいときには立っていられない程の激痛に襲われる月もあります。クライアントとの商談に向かう途中で、脂汗タラタラ状態になってしまうことも少なくありませんでした(最近はオンラインでの打ち合わせが主ですが、営業職である私は、本来往訪がとても多い仕事です)。

経血の量も多くて、よく下着を汚してしまいます。夜中にどんよりした気持ちでショーツを洗っているときは、虚しさが心を埋め尽くして、「なにやってるんだろう……」と思わず独り言を呟くことも……。

そんな、私を苦しめるものでしかない毎月のルーティーン=生理が終わるまでに、だいたい8日かかります。

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生理の間は仕事のパフォーマンスが激しく低下します。意識も朦朧として、誰がなんのことを話しているのか、頭に入ってこない……。営業マネージャーを務める私にとっては、成果を出すことがすべてです。生理がキャリアに響くのでは……と、不安でならないこともありました。

どうしてこんなにつらいんだろう?
みんなつらいのを我慢しているの?

それなら……。私も、弱音を吐いてはいけない。

これまでずっと、そう思い込んでいました。でも、違ったんです。

「助けて」と言ったら、チームになれた

「はれまプロジェクト」を運営し、私やメンバーが勤務している会社トレンダーズは、女性が7割を占めています。生理について話しやすい環境ではありますが、以前はそうそう話題に上ることもなかったんです。

あるとき、生理痛がひどくて起き上がれない日がありました。もう本当につらかった私は、同僚に思わず「弱音チャット」を送ってしまいました。

寺林「今日ちょっと本当に生理痛でしんどくて…こんなことでごめん…」
同僚「大丈夫!? 無理しないで休んで!」

え!? あきれられるかと思ったのに、いたわってもらえた……!?

そこで勇気を出して、自分の状況を周囲に話してみることに。さすがに引かれるかな……と思いきや、私と同じような人もいれば、反対に、生理痛はさほどひどくはなく、経血の量も多くはない人がいることが分かりました。

「本当は、めちゃくちゃつらい。でも言えない」
「こんなにつらい人がいるなんて、知らなかった。むしろ教えてほしかった」

話を聞くと、そんな声があがりました。さらに“つらくない”さんたちからは驚きの一言が。

「言ってくれればいいのに! サポートするのに!」

そうなんだ。言ってもいいんだ。弱みを見せてもいいんだ。これが、「チームで働く」ということなんだ……!

それまでの私は「生理は病気じゃないから、我慢するもの」という幼い頃から培われた価値観の中で生きていました。生理と付き合ってすでに20年余り。相変わらず、毎月の生理は苦行だけど、つらいのはみんな同じなんだから、我慢するべき。そう思い込んでいたんです。

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本当に心が震えるほどうれしくて。だからこそよけいに、「これってトレンダーズの中だけにしておくのはもったいないのでは?」と思うようになりました。

しんどいときに、素直に打ち明けられる関係。正直に「助けて」と言えるコミュニケーション。いつでも支え合える仲間の大切さを、世の中に広めていけたら――。

そんな思いから、「はれま」プロジェクトを立ち上げました。

私たちの合言葉が世の中の当たり前になるように

人には誰しも、「頑張りたいとき」と「頑張れないとき」があります。肉体的に、精神的に、波があるのはごく自然なことだと思います。

ほんの一昔前までは、「寝ないで働け」という風潮もありました。“完徹”なんて言葉に、なんの珍しさもなかった時代です。「無理はしろ、無茶はするな」そんな言葉も耳にタコができるほど聞かされました。

でも、時代は変わりました。さらに、この新型コロナウイルスの影響で、働き方だけではなく生き方についても、それぞれが見直すようになったのではないでしょうか。

ライフスタイルはもちろん、「体質」や「性質」といった、それぞれの“個性”からなる“多様性”にも目を向ける必要性を感じています。人は実に、十人十色なのだから。

だから、私たちのミッションには、「自分で選ぼう」という想いを込めました。

「無理しなくてもいいんだよ」

合言葉として声をかけ合い、お互いに素直に、正直に、言い合える社会を目指したい。

私自身、「助けて」と言えたことで世界が変わりました。今は素直にメンバーの子たちの前でも「今日は生理だから」と伝えるようにしています。マネージャーの私がそう言うことで、メンバーの子たちも言いやすくしたいからです。

だからもし、あなたの側に、ちょっと無理していそうな人がいたときは、そっと声をかけてみてください。

「無理しなくても、いいんだよ」

10年後、この言葉が当たり前に交わされる世の中になることを願っています。




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