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「短歌入れれます」一首評・3/6

スキー焼けしてるあなたのほっぺたにチョップをきめて話を聞いた /郡司和斗

歌のなかではやはり〈チョップをきめて〉が目立ちますが、それは〈話を聞いた〉という静の動作との対比ゆえだと思いました。〈スキー焼けしてるあなた〉はおそらくスキーにいっており、そして聞かされるのはおそらくスキーに行った話でしょう。その予定調和を一瞬崩すのが〈チョップ〉で、そのぐらつきのインパクトが読者に残り続ける歌です。
また韻律として〈してる〉の「い」抜きによるスピード感や、〈ほっぺ(た)〉・〈チョップ〉における[o pp]の重なりから〈チョップをきめて〉・〈はなしをきいた〉の[3音 / wo / ki me te]・[3音 / wo / ki i ta]に見られる流れがリズミカルで、あまり立ち止まらせず結句に着地します。
ほっぺたへのチョップだから、この手の動きが斜めから振り下ろすように切り込んでくる動きから立ち上がる一動作の豊かさも印象的でした。 

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