十首連作「走行距離」
車のないサービスエリアで一昨年のしけった線香花火をもやす
一台もすれ違わない高速でいくつかの亡霊ということにした光
東尋坊は僧侶の名前と教えられ悪を殺して荒れる大海
賛美歌を歌うなよって ぞんざいな怒りで何かがやれましたか
一面の集団墓地の草っぱら供花が朽ちて地に還りゆく
手の皺と皺を合わせるこのなかの運命線の途切れている箇所
転々と学校変わるさみしさをあなたから聞く 返事はしない
うっすらと朝を迎えて目指す海 人はかがやくものを求めて
突然に雨が降り出しあの年は梅雨長かったねーと話すんだろう
家あればそこに帰って眠るものと信じるようになだらかな帰路
(こちらの作品は百キロ歌会参加時に作成したものを一部改作しました)
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