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スティーブン・キングの世界から         生み出された作家たち

スティーブン・キングの作品には
作家が主人公の物語がいくつかある。

一番著名なのは先日も書いた「ミザリー」で
エライ目にあった作家だろう。
彼は一応生還して、また作品を生み出す生活にもどることができた。

ポール・シェルダンは直接「キャッスルロック」に関わっていなかった。
「キャッスルロック」に大いに関わったアニーは
ここで生者としては最後を迎えている。

「キャッスルロック」の町に関わるとロクなことがない。
「呪われた村」から始まる呪われた町の歴史は
住人すら逃れられない。

『ダークハーフ: The Dark Half』

1989年 発表。
1993年 映画化。
リチャード・バックマン(Richard Bachman)がスティーブン・キングの
ペンネームだと公表された直後に書かれた作品。


サディアス・ボーモントは
教員のアルバイトをしつつ
純文学作家として細々と執筆活動を続けていた。
裏ではジョージ・スタークのペンネームで
バイオレンス小説を多数発表するベストセラー作家だった。
兼ねてから「両者は同一人物と公表」し
本名での執筆活動を願っていたサディアス・ボーモント。
ジョージ・スタークの墓を建て
墓碑には「あんまり いいヤツじゃあ なかった」と記した。
サディアス・ボーモントとジョージ・スタークの
熾烈な闘いの幕開けだった。



サディアス・ボーモントの家はラドロウの町にある。
「キャッスルロック」とはご近所だ。
『ペット・セマタリー』も この町にある。
アラン・パングボーン保安官も登場する。
「スタンド・バイ・ミー」の不良グループの一人であり、
後々「キャッスルロック」の惨劇を見届けることになる保安官だ。


「スタンド・バイ・ミー」の舞台はデリーの町。
ラドロウからも近く、当然「キャッスルロック」とも近い位置。
デリーの町は「IT」の舞台だ。
「骨の袋」もデリーでの出来事。



骨の袋 :Bag of Bones(1998年)

人を傷つければ呪いを受けること。
呪いは、子々孫々続いていくこと。


ベストセラー小説家であるマイク・ヌーナンは
最愛の妻を亡くしていた。
失意のまま四年が過ぎ、なんとか新作を執筆しようと決意。
マイク・ヌーナンは別荘へとやってきた。
そこで出会った親子に惹かれるマイク・ヌーナン。
しかし事態は超常的な現象へ。


前後編のドラマにもなっている作品。
デリーに戻ってくる作家は「IT」、「スタンド・バイ・ミー」然り。
何事もなく、執筆活動はできない。

マイク・ヌーナンは失意のままで読者は次回作を心待ちにしている。
ポール・シェルダンは「ミザリー最終章」を書き上げたところで
巻き込まれてしまった。
マイク・ヌーナンは なんとか気を取り直して新作を書こうとする。
出会った親子と仲良くなり、
母親の方には心惹かれ。
嘆いて暮らすのを亡き妻も喜ばない。
なんとか前に進もうと動き出しー
困っている親子を助けようとしたのを始まりとして
死者の魂すら救済しようとする。

町の権力者と周囲の者に掛けられた呪い。
「呪い」にまつわる話はリチャード・バックマン名義で書かれた
「痩せゆく男」もそうだ。
あちらの主人公は、呪いを掛けられても仕方がないか。
そんな人物だったので、なるようになったと思っている。

「骨の袋」で呪いを掛けられた日
ー町で行われた祭りの日だった。
祭りの会場といえば、盛り上げ用のキャストには
必ずピエロが呼ばれているもの。
ここは「IT」の町、デリーだ。
ペニーワイズが見逃すはずもない。


『シークレット ウインドウ:Secret Window』

2004年に映画化。
中編『秘密の窓、秘密の庭』を原作とした
スティーブン・キング作品らしい映画となっている。


ベストセラー作家のモート・レイニー。
彼は絶望的なスランプ状態だった。
妻との離婚問題が引き金だ。
気持ちをわかってくれるのは愛犬のチコだけ。
孤独と焦燥の中。
ジョン・シューターが訪ねてくる。
「君はわたしの作品を盗んだ」
盗んだと主張する小説のタイトルは
「シークレットウィンドウ」
同名のそれは
ラストシーンが違っていた。
探偵にジョン・シューターの調査を依頼するモート・レイニー。
その時から、周囲では次々と事件が起こり続け・・・。



この町もデリー。
湖も近く、隣近所には特に住人もいない。
おそらく やや小高い丘の上ー森の中の山荘的な家で。
「骨の袋」も湖が近く、森の中の別荘だ。

周囲の町は「キャッスルロック」を囲んでいる。

ジョン・シューターは常に司祭の姿で現れる。

「キャッスルロック」を基準として考えるなら
司祭は、信仰する異形の神の眷属ということになる。
本を、作品を媒介として作家の元に訪れてー
異形の神について
後世に触媒としての「本」を残すなら
作家は最適だ。

「SHOOT HER(彼女を撃て)」
「シャイニング」では アナグラム的な文字が
度々出てきた。
こちらはジョン・シューターの名前が
アナグラムとして存在する。

トウモロコシ畑が出てくる。
これはスティーブン・キングの作品では大きな意味を持つ。
短編『チルドレン・オブ・ザ・コーン:Children of the Corn』では
純粋な者たちが 純粋ならざる者たちの埋まった畑で
異形の神への捧げものとして広大なトウモロコシ畑を維持し続ける。
そこには子供しかいない。

『悪魔の嵐』では
子供を一人連れて行った。
その子供はどこへ行った?


モート・レイニーは 実に美味そうに
トウモロコシを食べている。
ここでは「捧げもの」ではなくなっている。











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