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依存


ひ:ごめん…けど、〇〇が悪いんやけね?ドサッ

〇:ひ、ひかるさん…!?


俺は今、彼女に押し倒されている


〇:俺、なにかしましたっけ?

ひ:うん、いっぱい

〇:(心当たりが無さすぎる)

ひ:もう、我慢出来ん…


そう言うとひかるは唇を近づけた

〇:っ…//


どうしてこうなってしまったのだろう


俺の彼女は、俺にはもったいなさすぎるくらい可愛い。しかも、それと同時にイケメンでもある。


〇〇はたまにダンス部の練習を見に来ている
最初はひかるに半ば強引に連れてこられていたが、その迫力に惹かれ、定期的に足を運ぶようになっていた。

するといつも

男1:あ、森田さんいたぞ!

男2:ほんとだ、今日も可愛すぎる

男3:俺、告白しようかな

男4:やめとけ、噂によると彼氏がいるらしいぞ

男5:関係ねえよ、1度はあんな人と付き合えたらって憧れるだろ

男一同:一体どんなやつが彼氏なんだろうなー


このように、男性からは憧れの的となり


女1:今からダンス部練習らしいよ!森田さんもいるって!

女2:ほんと!?ひかる様の姿を目に押さえなくちゃ!!

女3:ああ、今日もひか様カッコよすぎる

女4:去年の土生様もやばかったけど、るん様は別格よ!

女一同:キャー!!手振ってくれたー!!!


女性からは、義望の眼差しを向けられている  


〇:相変わらずの人気やな…

やっぱりひかるさんは凄い。
普通に過ごしていれば天使のように可愛いのに、
ひとたびエンジンがかかるとめっちゃかっけえもんな…

何で俺がお付き合いさせてもらっとるんやろうかな
ホント、奇跡が起きたとしか言いようがねえよ…

お、あれは…


〇〇の視線の先には学内で人気の男ダンス部エースの△がいた


女一同:キャー!△君よ!!ひかるさんに話しかけてる!

男一同:すっげえ絵になってるな、森田さんの彼氏って△なのかな?


ひかると△が楽しそうに話しているところを〇〇は見ていた

普通の彼氏なら、ヤキモチの一つや二つ妬いてしまうところだが


〇:なんか、誇らしいな

そんな俺なんかをひかるさんが好きだと言ってくれる。

その事実だけが素直に嬉しい。


〇〇は特に気にする様子もなく、練習を眺めていた。


--

〇:ひかる、お疲れ様

用意していた水をひかるに渡す

ひ:ありがとう〜、待たせてごめんね。一緒帰ろ??

〇:はい!

一応聞いてみるか

〇:さっき△さんと何話しとったん?

ひ:あーあれ?もうすぐ男女両方とも大会あるけんさ、その話

〇:なるほど!確かにファンの人らも何か言っとったな。

ひ:そーそー…って、まさかヤキモチでも妬いたん?笑

〇:んーん、見とって凄い絵になっとるなーって
美男美女のセットは目の保養やけん笑

ひ:ふぅん…私は〇〇が1番かっこいいと思うけどなあ…
とりあえず帰ろ?ニギッ

〇:!…はい

ひかるさん、積極的になってからイケメン度が増した気がする



--
帰宅中

以前までのことが嘘であるかのように
自然とひかるの方から手が繋がれている

ひ:今日の練習、見とってどうやったー?

〇:相変わらずめっちゃかっこよかったよ。特にソロのとことか、ファンの女の子達もキャー!!って言っとったし

ひ:そ、そっか//アリガト

〇:思わず語り合ってしまったもん

ひ:..誰と..?

〇:やけ、ひかるのファンの女の子たちと

ひ:へぇ…ムスッ

〇:??

ひ:何話しとったん?

〇:やから、ひかるさんかっこいいねって

ひ:それ以外は??

〇:いや、特に。ひかるの話以外はしとらんよ?

ひ:んー、ならぎり良しかな

〇:どういうことです?

ひ:なんもなーい笑

〇:ふむ??

なんか最近、こういうの多いな

つい先日も

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デート中


ひ:えへへ//ギューッ

〇:(ほんっと天使やな)

ん?あれは…

遠くにいる女性が、すごい勢いで転けてた

ひ:ねぇ…チューしよ??//

〇:ひかる、ちょっとごめんね?

ひ:えー?ちょっと…嫌d

〇:ほんとにごめん!バッ!

ひ:あ…シュン

タイミングのいいところで…
しかも、相手はいっつも女の子やし…

ひかるはうんざりしていた

〇〇は転んでる人のところに駆け寄る

〇:大丈夫ですか?もしこれ良ければ絆創膏と、消毒液

?:すみません、ありがとうございます!

〇:いえいえ!大事じゃなくて良かったですニコッ

?:っ…//すみません失礼します!!

〇:ふぅ、無事そうでよかった

処置が終わった頃にひかるが近づく

前までは「やっぱりカッコイイね!」「流石ダーリン♡」

などと言ってくれていたが、今回は

ひ:今の子、知り合い?

〇:まさか、違うよ。さっき見かけた人

ひ:ふぅん…

ひかるは冷たい目で〇〇を見つめる


〇:(え、怖…俺ひかるになんかした?!)

ひ:ねぇ、〇〇?

〇:..はい?

ひ:チュッ

〇:!?!?

ひ:まだ足りん…もっと…チュッ

〇:ちょっ//ひかるさんどしたん?//

ひ:消毒(ボソッ

〇:え??

ひ:なんもなーいよっ…チュッ

〇:プシュー//

ひ:えへへ、帰ろ??

〇:ひ、ひゃい…//


なんてこともあったのだ

--
〇〇宅到着

週末やバイトがある日に、よくひかるは泊まりに来る

今回は週末だから、2日間は泊まる予定だ

〇:ただいまー

ひ:おじゃましまーす

〇:部活で汗かいたやろうし、お風呂先にどうぞ?

ひ:ありがと、行ってくるね?チュッ

〇:!?..はい…//

ひ:ふふっ


ひかるが風呂に行ったあと、〇〇は1人考えた


やっぱり最近ひかるさんがおかしい

まずはスキンシップが半端じゃない、いや、それ自体はめちゃくちゃ嬉しい。なんならもっとして欲しいくらいだ。

問題は、他の女性と話したあとは決まって不機嫌になることだ

前までは話し込みすぎたりした時に少し拗ねるくらいだったが、今では少し会話したり、えぐい時は視線を向けただけでも不機嫌になってしまう

流石に鈍感な俺でも気づく。
けど、それだけ愛されてるってことなんよなぁ

まあ…気にしなくていっか!


大雑把な〇〇は考えることを放棄した


浴槽内にて


ひ:最近、どうしたんやろか私…


ひかる自身も気づいていた
〇〇への愛が止まらないこと。
その影響で、〇〇がひかる以外の女の子と絡むと些細なことでも嫉妬してしまうことを

ひ:前までは全然普通やったんに…

〇〇は浮気なんて絶対にしない。そう言い切れる自信しかない。
だが、彼が少しでも他の子と話すだけで胸がギュッと締め付けられる。
酷い時には、彼を好きになった理由でもある、誰にでも分け隔てない「優しさ」を他の女の子に振る舞う所を見ているだけでも嫌になる始末だ。

少し前までは彼の手を握ることすら恥ずかしがっていた自分を思い出し、思わず笑ってしまう

ああ、ダメだ私

彼の全てを私だけのものにしたい

ひ:でも、迷惑…よね…

〇〇が好きになってくれた「私」はそんな重たい女の子ではないであろう

ひ:けど…

けど、この気持ちはもう誰にも止めることは出来ない


--
ひ:上がったよー


〇:おかえり〜、いつもに増して長かったね?

逆上せとらんか心配やったよ笑 はい!麦茶

ひ:ありがとう〜

こんな些細な気遣いだけでも飛び跳ねたくなるほど嬉しくなる

ひ:次どーぞ?

〇:うん!行ってきまーす!!

ひ:ふふっ…行ってらっしゃい


お風呂に行ってきます。は実家にいる時からの癖らしい、そんな子どもっぽいところにも愛おしさを感じながら部屋のテレビをつける
今日は音楽番組をやっているみたいだ。


しばらくして····


〇:ただいまー!

ひ:おかえり笑

帰りの挨拶も欠かさないらしい

はぁ、ほんとに可愛いなあ…

〇:なんの番組やっとるん?

そう言いながら彼は私の隣に座ってくる
2人がけの小さなソファだから、自然と肩が触れ合う。
スキンシップが増えたとは言え、いつだって彼と触れ合う時間はどんな時でもドキドキするし幸せである。

ひ:今は歌番組やね〜

そう言いながら自分の指と彼の指を絡める

彼はいつも顔を赤くし、初々しい反応を見せてくれる。意識されてるんだと思うと凄く嬉しい。

〇:え、ええっと、次のアーティストは…!

照れてるのを誤魔化すように〇〇は視線を前にした

〇:お!乃木坂やって!!

ひ:あ、ほんとだ!

乃木坂46は私が中学生の時から好きなアイドルだ。
乃木坂を見てから、ダンスに興味が湧いたし、なんなら一時期オーディションを受けようとした時期もあった。
結局入らなかったが、今でも私の大好きなグループである。しかし実は…

〇:新曲やるんかなあワクワク

私の影響を受けて、〇〇も乃木坂にハマっていた

ひ:確かやるっち言いよったよ〜

〇:まじ!?さくちゃんセンターやけん楽しみなんよね

ひ:ズキン…そっか…

〇〇の推しは私と同級生の遠藤さくらちゃんだ
私なんかより遥かに可愛くて、スタイルも良くて女の子らしくて、守ってあげたくなるような男性の理想像である。彼女を見てると自分に自信が無くなってしまう。


〇:わっ、出て来た。今日も可愛いなあ…


〇〇はテレビの中のさくらちゃんに夢中になっている


〇〇はいつも、
「アイドルは別次元の存在やけん、俺はひかるさんにリアコ中なので安心してください」と私に言ってくれる。

もちろん凄く嬉しいし、乃木坂を薦めたのも私だから、アイドルが好きなことに対しては何も咎める気もない。


けど… 


〇:お!始まる!!どれどれ…って、あれ?


ピッ


ひかるはテレビを消した


〇:え、ひかる?どうしt..

ひ:ごめん…けど、〇〇が悪いんやけね?ドサッ

そう言って私は〇〇を押し倒した


〇:俺、なにかしましたっけ?!

ひ:うん、いっぱいした…

ほんとに、いっぱい…

〇:..??

〇〇はほんとに分からないという顔をしている

いつもなら2人で楽しく番組を鑑賞していただろう

けど…けど!!

ひ:もう、我慢出来ん…


そう言うとひかるは〇〇の唇を奪った

いつもみたいに軽いのではなく

深く、溶け合うような…


ひ:ん…はぁ…ぁ…

ひかるが唇を離したら、〇〇は見たことないくらい顔を紅潮させていた。


〇:ぁ、あの…森田さn…!?!?///

すかさずもう一度唇を塞ぐ、他にも耳や首、人の目の
付く限りの場所に「私のモノ」だという痕をつけていく

〇:〜〜!?!?///

ひ:---が---よ?

〇:え?//

ひ:やけ、〇〇が悪いんよ?
いっつもほかの女の子にも優しくして、気づいとらんかもやけど〇〇、結構人気なんよ??
この前転けた子助けた時だって…〇〇にあんなふうにされたら誰だって惚れてしまうもん…

〇:そ、そんなわk

ひ:だから、もう私以外見ないで欲しい。私だけを愛して欲しい乃木坂も、さくらちゃんも見らんで私だけに夢中になって欲しい。そのくらい、〇〇のことが好き。大好き。愛してる…
…こんなめんどくさい子、嫌い?グスン


ひかるは強く抱き締めながら〇〇への思いをか細い声で伝える。
そして、今に溢れ出しそうな大粒の涙を目に溜めながら〇〇の顔を見つめる


〇:…

〇〇はひかるの愛の告白を聞き、
もう乃木坂46を見ることは無いだろうと心の中で悟った

まあ、困ってる人は放っておけんのですけども。笑


ひ:やっぱり、こんな重たい女の子○○は好きやないよね…うぅ…グスン


本格的にひかるが泣き始めたその時

〇:ひかる、ごめん

〇〇が今までやった事ないくらいの強さでひかるを抱きしめた。

ひ:へ?//

そして、先程の仕返しと言わんばかりに〇〇はひかるに深いキスを落とす

ひ:ん…はぁ…ま、○○??//

〇:--じゃない

ひ:ひゃい?//

〇:やけ、嫌なんかじゃない!むしろ幸せすぎるくらいやし。こんなに愛してくれる彼女を泣かせてしまうなんて、ほんとに俺は最低な男やと思う。

ひ:そ、そんなことない!わ、私がわがままなだけやけ…

やっぱり〇〇は優しすぎる、優しすぎて、こんな嫌な感情ばかり持ってる私が、私のことをより嫌いになりそうだ

〇:今…さ、こんな私が嫌だーっとか思っとらん?

ひ:!?..どうして

〇:何となく?笑
鈍い俺でも、彼女が悲しそうだったら気づくよ。
やけ、なんかあったら直ぐに言って欲しいな?
何せひかるのこと世界一愛しとるんは俺だけやけな!

ひ:っ…///

やはりこの男は、天性の女たらしなのかもしれない

でも、そんな彼のことを私は好きになってしまった。
愛してしまった。

そして…誰にも渡したくないと思ってしまった

ひ:じゃあ…さ…証明してよ//

〇:証明??

ひ:その、さっきの、続き((ボソッ…

〇:え?なんて

ひ:やからあ、世界一愛してる彼女の頼みなら聞いてくれるんやろ??//

○:まさか…ちょま…ひかるs…ンムゥ!?

そういってひかるは本日三度目となる深いキスを仕掛けた


〇:!?!?///


ひ:ん…ぷはぁ…ねぇ、続き…シよ…?//

ひかるは恍惚とした表情で○○に迫る

〇〇は、一瞬思考が止まった

〇:あ、あのですね!?ひかるさん!?
俺にも心の準備というものがありましてその、わたくしまだそういった経験がないもので//ブツブツ…

ひ:なに急に女々しくなっとるん!男ならシャキッとしてよ//


久しく聞いてなかった彼の早口などお構い無しに、
彼の服を思い切り脱がし、その身体にも痕をつける


〇:!?!?//

ひ:ほら、早くベッド行こ…?//

〇:は、はい…//


そういって〇〇はひかるに手を引かれて寝室に入っていった…





次の日

ひかるは普段よりも早く目覚めた


愛しい彼の寝顔を眺めながら、頭を撫でる
 

ひ:えへへ…///

昨晩のことを思い出すだけでにやけが止まらない


〇:ひ…ひかる…もう…むり…Zzz...


ひ:ふふっ可愛い…

こうやって流れていく1分1秒ごとに彼を好きになっていくのが分かる


ひ:こんなわがままな私と付き合ってくれてありがとね


そう言いながら彼の頬にキスをする


〇:ひかるさん….だいすき……zzZ


寝言を言いながら〇〇は自然とひかるを抱きしめる


ひ:…カァ///




あぁ、彼は寝てる時でも私を「依存」させてしまう


ひ:私も、大好き…




寝ている彼にひかるも愛を囁きながらその背中に腕を回し


再度眠りについた。



〜fin〜

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