100人幹事をやってみて

先月、会社の寮の新入社員歓迎会(以下歓迎会)の幹事長をやった。
約100人(新入社員が半分くらい)で1~5年目の若手社員の大規模なパーティーになった。

準備をはじめる前の私

自分が寮の係でイベント係(幹事)をお願いされたとき、不安よりもわくわくしていた。やるのであれば、楽しもう。「自分の好きなようにイベントを開催できる」と思っていてかなり楽しみだった。
昨年は寮のイベントが3つあり、人が集まらなかった1つのイベントをなくして歓迎会に充てることにした。
寮の予算について「イベントを減らすことで仕事をさぼっているのではないか」、「予算が高すぎるのではないか」と問われて「絶対、クオリティが高いイベントにします、多くの人を楽しませますのでこのままでいきます」と慌てて発言をしてしまった。準備をはじめる前の私は「やりきらなければならない」という責任感と「好きなお店で自分がやってみたいことができて楽しみ」という気持ちが半分半分だった。

準備をはじめたときの私

歓迎会の準備を始めたのは、2カ月以上前だった。日程を押さえながら、場所の候補を考えていた。なぜ、そんなにも前から準備を初めていたか。周りには「もう始めるの?」、「気合入ってるね~」とたくさん言われていたが、「絶対成功したい」と「他の用事も併用してこなしたい」という思いがあったから。
なぜ「絶対成功したい」と思ったかというと、理由は2つある。

①歓迎会の中で楽しいと思える瞬間をつくりたい
私は新入社員歓迎会というイベントが好きではない。新入社員側は主役になるものの先輩方が明らかに気を遣っているのを感じるのはしんどいし、先輩側もはじめましての新入社員に対して、話す内容を考えてその場を保たないといけないのもしんどい。大人数飲み会という点でもストレスが大きい。自分の箸がどこかに行ったり、頼んだ飲み物がこなかったり、食事のペースや量を考えないといけなかったり。。
しかも新入社員にとっては会社の飲み会にほとんど行ったことがないため、半強制みたいなニュアンスでみんな参加することになる。
だからこそ、「いいつながりのきっかけになったな」とか「食事美味しかったな」とか「なんか楽しい時間があったな」と何か一つでもあってほしいと願い、今回は手をこんでイベントを作ることを決意した。

②何かを成し遂げてみたかったから
POOLOを卒業したときに感じた「何か意志を持って成し遂げたい」を実現したいと思い、珍しく全力を注ごうと決めた。

周りには「楽しみ~」や「協力するよ~」という声もあれば「クオリティを上げるってどうやって?」とか「そんなにがんばる必要ない」と言われることもあった。不安と気合が多く入り混じった状態だと周りの声に対しても敏感になりやすく、漠然な不安を抱えていた。強い発言に惑わされて混乱することや自分のアイデアを実現したいだけの会を避けるために方向性とコンセプトを設定することにした。コンセプトを決めることで、様々な意見に対して、自分達の意志を中心にものごとを判断しやすくなった。

歓迎会準備をしながらやりたいことをやっていた私

歓迎会は4月であったため、4月は可能な限り準備をして、3月はやりたいことを多くやろうと決めていた。3月は元々予定が埋まっている上にPOOLOの第4タームと自分のやりたいことの手続きが被り、予定つめつめな状態が続いていた。このころは、歓迎会のスケジュールややること等を通勤時間を使用して進めていた。スケジュール表を見てもよくやっていたな~という印象。とにかくバタバタしていた月だった。

「歓迎会に集中」のはずが風邪をひく私

歓迎会の3週間前から平日の予定はほとんど入れず、歓迎会の準備をしようと思っていた。歓迎会の準備と他の予定のバランスを考え、スケジュールをここ最近の中で一番考えた時期だった。今思うとそれは本当にストレスだったと思う。会いたい人には会いたいし、自分に熱意をもって話をもちかけてくれているものについてはできる限り応えたい。
誘われた1on1や企画の参加ができなかったのは悲しく、落ち込んだ。

歓迎会の打合せの日、他の幹事とともに1日中準備することにした。
朝から備品の購入、名札の準備、打合せ、レイアウト決め、やることのピックアップ、会計の整理等たくさん進めているはずなのに、全然終わりが見えなかった。決めないといけないことが多すぎて、だいぶ疲れてしまった。「この日でだいぶ進むし、終わらせられる」と思っていたし遊んでいた訳でもないのにその日以降もやることがたくさんあった。
その週、久しぶりに風邪をひいた。2週間に渡るもので、週末に予定していたキャンプも大切な友達に会う予定の約束もできなかった。会社も何日かお休みをした。健康の大切さが身に染みた期間だった。心もだいぶやられており、歓迎会の準備も進まない、やりたいこともできない最悪な状態だった。
プラスして、他の幹事も体調を崩し、かなり不安になった。

風邪のなおりかけ海に行く私

歓迎会の一週間前、私はリトリート企画で沖縄の海に行った。
沖縄県津堅島の海だった。忙しかった私は「歓迎会の準備でバタバタしているのに、何も考えず予定入れちゃったな~」と行く前は思っていた。
たくさんの自然と音楽と大切な友達と過ごして感じたことは「人って自然に生かされているな」、「ここまで無理する必要はないかも」ということ。
私は悩んでいることを言語化して打ち明けるよりも一旦海を見た方がいいかもと思った。
海にいった数週間経っても思い出すことが多い感覚。ここ最近行った中でも特に印象に残り、今生きている活力になる旅となった。今思うと、忙しい時こそ一旦旅にでるの大切だなと思う。風邪も直った。

津堅島

ラストスパート私

2年目から4年目の声かけた人のうち8割以上が参加した。
参加しない人も『行きたかった〜』とコメントしてくれた人も多くいた。
また、一度参加可否をアンケートとった後、4人から『参加しないにしていたが参加するに変更して欲しい』と言われた。直前に人数が増えることは想定していなかったが、参加者の熱量が高いイベントであることを実感した。
私は会社のイベントに対して、『絶対行きたい』という感情を抱いたことがなかったため、純粋にみんなすごいなと思った。

沖縄から帰ってからはとにかくバタバタしていた。
やることは確実にやっていったが、睡眠時間が減り、ストレスが増え、無気力になることが増えた。
ストレスの原因は謎の責任感と不安とやることの多さ。頭の中ではどうにでもなると思っているし、会の成功は幹事長だけでなく、幹事みんなと参加者にもかかっていることもわかっている。でも、理論では片付かない謎の責任感と不安は常に持ち合わせていた。やることリストの事前準備は完了。あとは当日を迎えるのみ。楽しみと不安が入り混じる。

当日の私

当日の私は一言で言うと、無気力だった。
最初約100人という人数に圧倒されてしまった。狭い空間に人がいっぱいで、びっくりして焦ってしまった。だんだん慣れてきたものの常に時間やプログラムの進行で頭いっぱいになり、参加者と話していても話に集中することができなかった。ただやることに追われていて、幹事を全うしようとしていた。
終了後、楽しさや達成感が1mmもなかった。びっくりした。幹事ってそんなものか。こんなに大変だったのか。想定外のことはちょくちょく起きたものの基本的には計画通り終わらせることができた。初めての大人数幹事は終了した。

終わった後の私

終わってからも残務が残り、ゆっくり休むことはできなかった。疲労困憊すぎて、全てが嫌になりそうだった。ただ、その後に食べた美味しいご飯が美味しく感じた。感動して、びっくりした。美味しいご飯を食べた後、ケロッと元気を取り戻すことができた。
歓迎会が終わった後、労いで日本酒やご飯をご馳走してもらった。とにかく嬉しく、『終わった〜頑張った~』と実感した。
歓迎会のお礼のメールの返信や、『楽しかった、お疲れ様〜』と直接言ってくれるのも嬉しい。

幹事をやってみて感じたこと

今回の幹事はとにかく勉強になったことが多かった。自分ができること、自分のキャパ、過去の経験の大切さなどなど。。
1番大きい収穫は、『責任感』と『決断力』。
責任感については、自分の判断によってどれだけ他者が影響されるか、他者の行動がいかに自分に影響するかを実感した。
自分は2時間の飲み会だけの準備と運営なのに、言ったことを確実に素早くやってもらえるありがたさや指示に対して何も耳を傾けてもらえないと不安になること等をたくさんの感情を知った。やり遂げないといけないというプレッシャーや色々な人の意見や目がたくさんある中で、業務を遂行するって本当に大変なことだなと思った。
自分の上長に対しても『偉い人だから気をつかう』ではなくて、『上長目線で何を感じるか』、『人として不快な思いをさせてないか』は常に気をつけなければならないことだなと思った。常に下の人の責任を持ちながら、やるってとんでもないことだなと思った。責任は見えないものだから、上に立たないとわからないことって山ほどあるんだろうなということを実感した。
自分の行動で他者に対してどんな影響があるか考えながら行動していきたいと思った。
『決断力』については、自分で判断しないといけないことが大量にあって、決断して素早く動く力が求められているように思えた。スケジュールやレイアウト、役割分担等決めても決めても、決めないといけないことが降りかかる。1番悩んだのが、誰にどの情報をどのように渡すのか。大量の情報量がある中で、多すぎても何を伝えたいのかわからないし、少なすぎても何を言っているかわからなくなる。方法も直接かチャットか。メールやチャットの場合相手に伝わる文章か連絡する時期は適切かを検討する。直接の場合は相手に聞いてもらう時間はあるか等を考慮する。今思うと1番苦手で気をつかった部分だと思う。
色々決断する上で、何かを守るために言いたくないことを言わないといけないこともあり、しんどいな〜と思うこともあった。
でも、決断する回数が多いほど人は強くなると信じているので、すごくいい経験になったと実感している。
少し苦しい話が多くなってしまったが、
今回の経験を通して自分のできることにも自信を持つきっかけになったと思う。本番の会場選び、リスクヘッジ、人を喜ばせるアイデアと実行力、誰に何をどの仕事を任せたら適切か等、色々な人に褒められた。一緒に幹事やってくれた人が優秀で自分の仕事を全うしてくれたこと、楽しんで仕事をしてくれたことでたくさん救われた。身近な同期と仕事をすることで、他者の魅力や可能性にたくさん気づくことができてHappyになった。

幹事をやる上で役に立った経験

①ホテル宴会のアルバイト
大学生時代のアルバイトで企業の宴会や結婚式の披露宴の料理配布係をやっていたため、立食の流れや雰囲気はなんとなく理解しながらやることができた。

②アルバイトの送別会
私のアルバイト先では毎回どこかを貸切でやっていたので、貸切の場合なにができるかを知っていた。

③100人規模パーティの参加
昨年の12月に参加した100人規模の大交流会が楽しかったため、構成等を参考にしながら、計画を立てた。幹事さん本当にありがとう。だいぶ助かりました。

④コミュニティに関する本を読んだよ
オフラインの会の開催において、何に気をつけないといけないか(お手洗いやアナウンス等)を詳しく書いてあった。「コミュニティ」づくりの教科書。

今回新しい挑戦で上手く行ったのは、もちろん周りの協力もあるが、
過去の経験が後押ししてくれた。

歓迎会を開催する上で考えたこと

感じたことではなく、自分の実践したこと、気をつけたことについて書いてみようと思う。ここに記載した以外のこともたくさん考えているがメインで考えていることを紹介。

①コミュニケーション設計

•お互い話しやすい人と話すようにする
(新入社員にどんな人と話したいかアンケートを行う。一時的なグループを組むときに、同じグループになるようにする。
先輩社員も興味を持って話しかけてくれた方がストレスが少ない)

•話す内容に困らないようにする
(グループ内で自己紹介やゲームを行う等何も考えなくても会話が生まれる仕組みを作る)

•立食形式で、移動しやすくする

•名札に業務内容を記載し、パッと見て何をしている人か明確にする

②酔っ払い防止設計

•そもそもの開催を2時間にして、イベントの時間を多めにとることでお酒が進みすぎないようにする

•メールで注意喚起

•美味しい食事をたくさん用意してもらい、食事メインの会にする

•二次会の開催を行わない

③幹事、楽しもうぜ設計

•適材適所に配置する、熱意の量や得意分野で仕事を割り振る

•同じ仕事を仲が良い人同士でやってもらう

•当日幹事は新入社員に興味がある人は幹事の仕事を減らして、気を遣って他の人と話すよりもやることが決まってる方が楽そうな人を裏方に回す

④ストレスを徹底的に減らす設計

今回は「楽しい飲み会」よりも「ストレスを徹底的になくしていく工夫」をした。

・飲み会のストレスの原因を考えてなくす方法を考える
(乾杯のドリンクを注ぐ、大皿料理気をつかって配る、お互い気を使いすぎて空回りする等)
・一つ一つの行動×100で考えたときにストレスになる要素を可能な限り減らす
例えば乾杯するまでを考えると
会場に行く→エレベーターを待つ→受付をする→どこの席につくか考える→乾杯するまでの流れまで考えたとき、
みんなが迷わない会場案内→治安がいい駅近、移動がスムーズか(エレベーターの数や大きさは適切か等)→スムーズな受付→→乾杯のドリンクは各自で用意できたほうがよい?
みたいなことを考えた

おわりに

社会人3年目の長い雑談につきあってくれてありがとうございます。
書いてみて、ストレスになることがエネルギーになることを実感した体験ができたなと感じました。
最後に、退場の時に流していた音楽を共有。BlueのThe Gift。
私はこの歌詞が大好き。何回も励まされた。この曲はアルバイト先でよくかかっていたけど、想像以上に素敵な歌だった~。

And the gift is what you get by givin' more than you receive.
(ギフトとは、受け取るより多くを与えることだ)

And you're learnin' fast that maybe this is how you'll be happy.
(これが幸せなんだってすぐに分かった)

https://ameblo.jp/tothenext7/entry-12599276607.html


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