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【読書ログ】社会科学の考え方

こんにちは、原田です。

同期との早朝読書会で「社会科学の考え方」を読んだので、参考になった点や覚えておきたいポイントなどをまとめます。これから卒論や研究を始める人は、各章の「むすび」を読むだけでも羅針盤ができるはず…!

現在、サービス開発の仕事で、世の中のニーズを調査することがあるのですが、そこでも考え方は活用できるなと実感しておりました。研究者向けの方にはもちろん、仕事で「調査」をされる方にはとても参考になる本だと思います。

読んだ本:社会科学の考え方


①存在論・認識論:世の中をどう観て、どんな研究をするか

存在論や認識論は、手法(method)やリサーチ・デザインを規定する土台のようなものである、とこの書籍では紹介されています。具体的な研究の論理手順は以下の通りです。この流れは一貫している必要があります。

P35

研究と聞くと「リサーチ・クエスチョン(RQ):この研究で何を明らかにしたいのか」をたてるところからスタートすると思っていたので、立場と同定するところからスタートすること、が土台にあるということは知らなかったと思う一方、これまで論文や書籍を読む中で感じていたことと通じることがありました。

また、存在論→認識論→手法につながる具体的なイメージが下記です。

P15

各用語の説明をします。研究というと「客観的である」というイメージが強いと思いますが、客観的とは何か、世の中はどのように存在しているのか一歩引いて考えてみると違った示唆が得られます。

存在論…知識の対象が独立して存在するのか、しないのか
    (私たちが知っていようといまいと存在するのか)
基礎づけ主義…知らなくても「それ」が客観的に「そこ」に存在する
反基礎づけ主義…事象が存在するかどうかは、私たちの解釈による
認識論…世の中について何をどのように知ることができるのか
実証主義…現象は客観的に捉えられる
批判的実在論…目に見える事象でなく、その背後にある「構造」こそ重要
解釈主義…現象は研究者による主観でしかとらえることができない

各認識論の詳細は、博士課程在籍の番匠さんのまとめをご覧いただくと大変わかりやすいと思います!

また客観的とはなにかなどにご興味持っていただければ下記の書籍もおすすめです!

②リサーチ・デザイン:横断的研究と縦断的研究

研究を通じて得た経験が一般化できるかどうか、論理的に明確な結論を示せるかどうかが問われることになります。

横断的研究
・時間を点として捉え、「ある1時点」における調査対象間の差異を明らかにする
・量的データや量的に処理しやすい質的データをもとに、変数の関係性を示す

縦断的研究
・複数の時点、時間の経過に伴う「変化」をつかむ
・繰り返し調査、パネル調査、回顧法などを用いて調査する
・量的データも質的データも扱う(質的データも有望なリサーチ・デザイン)

質的、変化を捉える、因果関係の推論

③その他この本で分かること

・リサーチ・デザインの考え方
・インタビューの設計の仕方(構造化、半構造化)
・調査票の作り方
・言説分析
・社会科学のルール(研究倫理)

感想

妥当性のある研究を行うためには、プロセスをきちんと踏んでいくことが大事ということを改めて感じるとともに、その背景についての理解が深まったように思います。研究者としてどうあるべきか、どうありたいかを考えるいい朝の時間を過ごさせていただきました!

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