14)帰国して結婚式にゆき私はどうするのか(26歳)
社畜営業ウーマンを辞めて1年。
オーストラリアでの語学留学を終え、日本へ帰国したのは26歳の時だった。
どこまで英語力が伸びたかは不明だが、とにかく勉強漬けの日々だった。
これまで勉強は「大学のため」「就職のため」...私自身がやりたいかどうかよりも、やるべきものとしてそこにあったのでしょうがなくやってきたが、生まれて初めて学ぶことが楽しいと思えた一年だったように思う。
帰国して2週間後、私は東京で友人の結婚式に出席した。彼女は営業時代の同僚で、私からすれば仕事にプライベートに順風満帆そのものだった。
友人は美しいウェディングドレスに身を包み、とても幸せそうだ…。
私もいつかは結婚するんだろうか。そして子供が生まれて家を買って、老後はのんびり田舎で過ごしたりするのかな。
物心ついたときからそんな未来がいつか来ると思ってはいたけれど、26歳になっても今のところ全くその気配はない。
日本へ帰国する少し前にオーストラリアで就職活動をしてきたので、結果次第ではまた日本を飛び出す可能性もあるだろう。でも上手くいかなかったら...?
元同僚たちは5人ほど式に出席していたが、私以外は日本で仕事に励んでいる。
何だか自分はすごく人と外れた場所にいて、みんなはそれを遠くから呆れて見ているんじゃないか、そんな気持ちになった。
そんな話を同席していた昔の同期に吐露すると、
「アンタはそれでいいんじゃない」
と返ってきた。私はそれでいいってどういう意味だろう。やっぱり私は笑われているのだろうか?
海外旅行や海外生活から帰国後、社会や文化のギャップに戸惑い、自分の進むべき方向がよく見えなくなってくる。
もしかしたらありがちな話なのかもしれない。
就職活動はしてきたものの、何をしたら正解なのかよく分からない。
私なりに悩んで、私はやりたいことをやっているはずなのに、自信はもてない。
大きな引き出物の袋を抱えて、モヤモヤしながら新幹線に乗り込み帰路についた。
面接結果は不採用だった。
オーストラリアでの1年間は今となっては夢の世界にいたかのような気分だ。
様々な人種や文化が混ざり合い、出会う人や見るもの全てが刺激的だった。
これまで悩んできたものが現地ではちっぽけに感じた。でも日本に帰国した途端、不思議なほど周りの目が気になってしょうがない。自分がすごく愚かな生き方をしているように感じて、しゅるしゅると心が萎縮してゆく。
たぶんこんな思い切ったことができるのは今だけだったのだろう。30歳も目前だ。
そういえば昔の上司が言っていた。
「今の会社をやめるなんでもったいない。せっかく就職したんだから最低でも3年は続けないと。」
そうかもしれない。
よし、これからは現実を受け止めて日本で就職活動しよう。
まともな仕事について、婚活もするのだ。
とはならなかった。
私は2週間後、いつものように大きなスーツケースを抱えてとある村に向かった。
ここでお金を貯めて、次はカナダにいくのだ。
Whatever will be will be。
続き
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