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#19古民家案中模索中【秋合宿作業編】


ここは家だけでなく、竹林もある。
美味しいたけのこができる場所なのだけど、たけのこの時期だけ整備しても、当たり前だけどまったく追いつかず。とうとう鬱蒼とした竹林になってしまった。
ある竹林整備をしている人に見てもらったら、「あー、だめですね。これはとにかく切るしかないです。山をどうするかのビジョン以前の問題です。とにかく切ってください。ま、1年以上はかかると思いますが」とつめたく言われてしまう。

なるほど。
よし!それならもう、安心して素人として切っていこう!と逆に思えるようになった。
知識やビジョンがないからこそ、とにかくここでは、皆がやりたいようにやってもらう、と決めた。(ここら辺は初期の暗中模索中にも詳細が)

なんの知識がなくても、力がなくても、道具がなくても、いい!
そういって集まってくれた人とこうやってやり始めると、おもしろいことに最終的にみんなが自分のやれることを無理なくやりだすのだった。

何がいいのかはだれもわからない、だのに、その中で竹林にとっていいと思われることを考えて、それぞれでやり出す。
そこがおもしろいなといつも思う。

たとえば今年の春合宿で。
東京から来たみなさんには、竹林をちょっと紹介して、たけのこを掘って持って帰るだけにしようと思っていたのに、気がつくとみんなが整備し始めていた。
道をつけようと整備し始めた女子チーム。とにかく切って倒していく男子チーム。または焚き付けを拾うチームなど。とにかくみんなが動いていた。

うっそうとする竹林
綺麗になってた!


さて、秋合宿。
今回もあまり時間がない中、竹林で作業したいというリクエストもあり、行くことになった。
わたしはノコギリなどを男性チームに渡したため、ナタをつかってやれることを考える。
結果、次回竹を焼くことに備えて、竹を焼きやすいように枝を切って並べておく、という作業を始めた。
いつのまにか、それを手伝ってくれる人たちが周りにくる。
かと思えば、竹林で横になってぐーぐ寝る人もいる。
また何人かは、別の場所で何かに熱中しているらしく、歓声が上がっていた。

竹林へ入っていく


さて、何をするか
力がなければ協力しあう
切る人もいる
絡みあう竹をみんなでほどいていく


終わりの時間になって、ひとつのチームがおもしろい場所を作ったから来てくれという。
行くと、竹の上に乗ってそのしなりを使ってピョンピョン飛ぶアトラクションを考えたというのだ。
チームメンバーは目をキラキラさせてそのおもしろさを報告するけれど、こちらは正直、あ、そうなんだ〜よかったね、ほんと、楽しそう〜くらいにうすく反応した。
すると、その思いを見透かしたように、いや、そうなんだけど!実際乗ってみたらまた絶対違うから!とにかく一度一人ずつ全員乗ってみてほしい!と言われる。
え〜、そうなの?はいはい、乗るのね、と言いながら竹に乗ってピョンピョン飛んでみると・・・。
え!楽しい!!何これ!やだ!見るのとやるのとでは大違い!
そうでしょ?楽しいでしょ!としてやったりのチーム。
とにかく全員竹に乗ってピョンピョン飛んで、大笑いしていた。
みんな子どもの顔になっていた。

ほら!こんなに楽しいんだから!!
え?わー!本当だ!!
おもしろーい!
子どもの顔になる!
乗ってみた時の気持ちを動く彫刻で!

とにかく竹林作業は、チームビルディングに最適なのではないか、の仮説は本当になりつつある。
チームで仲良くなるには竹林作業がいいのではないか?

他にも、竹由庵にて縁側を綺麗にしてコーヒースペースを作ってくれた人も!

くつろぎスペース作りました!

すごくいい感じです。
この後もこの感じを保ちたくて庭を少し刈り込んだり、しました。

さて、合宿中に心配したのはトイレだ。
1つしかない。しかも鍵がかからない。
10人が効率よくトイレに入る際、やはりドアの前で使用中かどうかがわかるほうがいいということになり、なにかいい方法がないものか、みんなで考えていた。
そして一人が考え出したのが、これ。

ドアの前に「入ってます」というしるし
裏がえしにしたら、空いているというしるし

ま、あとで直すのを忘れることはあっても、「トイレ、空いてますかぁ〜!」と声をかけることも少なくなった。
ここを掃除した時に出てきた小さな紙の羽子板、役に立ってよかった。


こうしてここはちょっとずつみんなが使いやすい場所になっていくのだ。


最終日にみんなで感想を述べ合った。
全員一様に「非日常の経験ができてよかった」ということだった。

ここにくることはみんなにとって非日常なのか、
とあらためて思う。
そりゃそうだ、何時間もかけてここに来て、築70年の家に複数の他者と少しだけ共に生活する。
そして帰ったら、仕事も含め、自分の日常が始まるだろう。

でも、私にとっては、
こうしてみんなが集まることは確かに非日常なんだけど、ここは普段の日常の場所でもあるのだ。
非日常が、数日すると日常に?
それがなんだか不思議だった。

最終日の朝ご飯を一緒に食べる
へっついさんの周りで掃除する
外を歩いて
プレイバック・シアターをして
竹林作業して
ダムカレーをつくる。
薪を拾う
銭湯も行きました


合宿を終えて全員を送り出したら、家が空っぽになった。
でも何かちがう。
家が、10人の気を吸っていると感じる。

誰もいないへっついさん周り
誰も座っていない椅子
ひろく感じる

参加者のお一人の方が感想で、
最初は空き家という感覚だったけど、自分が掃除したり、食べたりと作業を繰り返す中で、家になっていった。
と言ってくれた。

この家は、どんどん家になっている。