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空想彼女毒本 #10

#10  飯田靖子

飯田靖子

保護ネコの引き取りに現れたのが最初の出会い。その後もネコの様子をやりとりしていると、ネコが寂しがってるからあって欲しいと言われ、何度か通ううちに男女の仲に。
 以前飼っていたネコが寿命で亡くなってしまい、こんなにも涙がでるのかという程泣いた。そもそもそのネコを拾ったのは冬の寒い夜に、家の前にすごく懐いてくるネコがいた。子ネコではなかったので、迷子になったのかなと思い、近所に張り紙が無いか、飼い主が心配しているんじゃ無いかと探すが、それっぽい迷子ネコのチラシはなかった。でも飼うことはできないなと思い、その日は別れた。しかし冬の寒い日だったこともあり、次の日は気になってコンビニでエサだけ飼って、また出会えたらあげようと思っていたが、次の日は現れなかった。その次の日も現れず、少し心配になる。3日目にひょっこりと現れた時、気がついた時には家にあげていた。それから6年、しっかり生きてくれた。そんなネコと別れて、命と、生きるということについて考えた。さすがにすぐに次のネコをとはなれずにいたが、しばらくした頃、保護ネコの譲渡会があるというので、顔を出してみた。
そこには様々な環境により保護され、次の里親を待っている猫が集まっていた。事前に里親の面談を済ませていたので、縁のある子はいないかなと見渡していると、ネコ以上に可愛らしいなと、思わず凝視してしまい、気付かれる前に正気に戻ったつもりで居たのに、
「こんにちは」
と明るく挨拶をされた。バレていたのかその時は半信半疑ですぐに
「こんにちは。いい子見つかりました?」
と返すと
「この子、まるで他人の気がしないんです。」
撫でているのは所々白い毛を覗かせる白黒のネコだった。左目の上に三日月型の白い毛が特徴的で、気の強そうな感じでありながら、彼女には猫撫で声で懐いている。
「いい子見つかりましたね。」
というとそのネコは、にゃ〜と鳴いてボクにも懐いてきた。そうか、ネコにはボクらが初対面で、まだお互い名前も知らないなんてことは関係なく、ボクら2人が里親と思ったのか、2人の間を行き来しては懐いてくる。
「ワタシこの子に決めたした。」
「そうだね、この子も喜ぶよ。」
「ワタシ、ネコ飼うの初めてなので、色々教えてください。」
「え?どういう意味?」
「どういう意味も何も、ネコの扱い見てたら分かりますよ。」
鋭い彼女の感に少し驚きながら、まぁネコ見た瞬間グー出す人はネコ飼ってる人しかしないよなと、自分の行動を省みる。
「取り急ぎトイレと、水とエサさえあれば。」
「もうそれは有るので大丈夫だと思います。」
「ネコは環境が変わると臆病になるから、部屋に慣れるまでは、あまり追いかけ回さないであげれば、その内膝に乗ってくるようになるよ。」
「そうなんですね。やっぱり聞いて良かった。」
「この子ならすぐに慣れると思うよ。」
「そうですね。人見知りもしないし。」
「じゃ、何か困ったことがあったら連絡ちょうだい。」
と流れるように連絡先を交換する事に成功。ボクの方はというと、他の子はそれぞれ新たな里親を見つけたようで、今回は出会えなかったけど、それよりも大きなネコに出会ってしまったなと、独りニヤニヤしてしまった。
翌日すぐに彼女から、
「名前。小鉄に決めました。」
「コテツ?なんでまた?もしかしてじゃりン子チエの?」
「そうそう。アマプラでたまたま見て。可愛いネコだなぁって思って、ちょうど三日月も有るし。」
「いい名前だね!でも気が強そう。」
「やんちゃなのはやんちゃかも。」
「コードとか齧らないように注意してね。」
「うん。」
などと飼うまでは意外と知らなかったネコあるあるなんかを、毎日のように話していた。5日ほどして、
「トイレを覚えてくれないの」
と連絡があり、
「最初は覚えない子もいるけど、毎回トイレに持って行ってあげれば、すぐに覚えるよ。トイレの後砂をかくから、砂さえあれば。」
「うん。やってみる」
と、そんな、他愛もない、普通のやり取りでさえ楽しかった。そんなある日、
「小鉄が寂しそうにドアのところで泣いてるんだけど、会いにきてくれる?」
「1人にしてる時間が長いと、寂しがるよね。」
「うん、でもそうじゃなくて、あの日みたいに一緒に遊んで欲しいんだと思う。」
思わぬ彼女からの告白に、電話越しながら赤面してる顔の熱が伝わるんじゃないかと、さらに恥ずかしくなる。
「うん。じゃ今日の夜は空いてるから向かうよ。」
家に着くと小鉄は玄関の前でひっくり返ってゴロゴロと甘えてきた。
「久しぶりだな、小鉄!」
と、思う存分モフモフしてじゃれあった。ソファで座ってお茶を飲んでると、小鉄がテーブルの上に乗り、カップが倒れそうになるのを防ごうと、体勢を崩して靖子がボクに覆い被さり、恋人の距離になってしまい、慌ててお互いよそよそしくしだし、
「小鉄、すごく嬉しいみたい。また会いに来てくれますか?」
「もちろん、また来るよ。」
それから
週に2、3度は彼女の家に、小鉄と遊ぶ為に通うようになり、気がつけばキーケースには彼女の家の合鍵が。


あとがき

AIでネコを撫でてる美少女を作りなたくなったので、プロンプト(AIに出す指示)にネコと入れたら、最初こそネコの服なのか、服からネコが生えてるような子が出来たけど、何度かするうちに、それっぽいものができた。実際飼っているネコは全員保護ネコなんだけど、譲渡会には行ったことが無いので、細かいディティールが分からず苦戦したので、小説家って本当に下調べや、社会勉強しなくちゃならないよね。最終的にこの2人がどう結ばれるのかを考えてたら、断定しない方がいい気がしてきて、合鍵止まりなんだけど、合鍵持ってて肉体関係無いって事はあり得るのだろうか?あり得ないよね。知らんけど。

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