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Vol.4 大阪府 携帯電話の提言について(2008/12/5)

先日、大阪府の橋下徹知事が、「児童・生徒の携帯電話使用」について提言を発表しました。最近の児童や生徒の携帯電話への依存傾向、携帯電話による被害などの調査に基づき、6つの課題と7つの提言がとりまとめられました。

教育現場の先生方、あるいは小・中・高校生のお子さんをお持ちの保護者の方なら、ほとんどの方が、携帯電話の所持に関して児童・生徒・お子さんともめ事になったり、意見が一致しなかったといった経験をお持ちのはずです。
今回の橋下知事(大阪府)の提言の中心は
①学校に携帯電話は必要ない。学校への持ち込み禁止を徹底すること。
②学力低下と携帯電話の利用時間・使用頻度に相関関係がある。
③携帯電話は深刻な「ネットいじめ」の温床であり、犯罪への入口である。
④携帯電話をこどもに与えているのは、家庭であるから、まず家庭でルールを作ること。
となっています。

私は、今回の橋下知事の提言に賛成です。話の内容も、核心を突いていると思います。
しかし、現状の教育現場に「携帯持ち込み禁止」を丸投げしてしまうと、多くの混乱をまねきます。「生徒・保護者と学校の生活指導上のトラブルが増える」と思います。
橋下知事の「提言」は何の法的な拘束力もありません。また、例外を認めたことで、「だってうちの親が、持っていっていい、と言うから」と言い出す生徒が増えることも容易に想像ができます。それに直接対応するのは、現場の先生方です。もしも、生徒が通学途中に重大な犯罪に巻き込まれ被害に遭い、保護者が「だから携帯を持たせていたのに」と先生と学校にせまったとき、あるいは裁判などになったとき、責任を現場対応に任せるのではなく、大阪府がその最終責任を取るための対応と覚悟を持たなければなりません。

現在、多くの問題を抱える学校現場では、生徒、若者は学校や社会のルールや規則には従いません。知事の提言であっても同じです。また、その背景にいる保護者も同様です。 
携帯電話禁止車両で、堂々と携帯電話を使う大人。レストランで大声で会話する大人。入学式や卒業式、授業参観で鳴り響く保護者の携帯電話の音や私語のあらし。運転中の携帯電話を使うなど平気です。そのような大人のいる家庭で育った生徒、若者の指導と対応はたいへんです。一筋縄ではいきません。
現在の学校の児童・生徒・若者を学校教育の現場のみで指導しようとしても、上手くいかない厳しい現状があることを、読者のみなさんも知り、現場の先生方の今回の提言に対する指導を全力で支援してください。

原田隆史の意見・提言
①携帯電話の「使い方指導」を保護者・児童・生徒に周知徹底すること
②生き方モデルである大人が、日常場面での携帯電話使用の態度を見直すこと
③家庭と学校と警察を含めた関係諸機関が、児童・生徒を携帯にかかわる犯  罪から守るという観点から強力に連携し、指導を推進すること
④携帯電話への依存度が高い生徒は学習時間が短い→その理由は?
「他にすることがない・興味を持てることがない」ことも一因である。
児童・生徒の本来持つエネルギーを正しい方向に向ける取り組みを進める。
たとえばクラブ活動、学校行事、地域の活動、ボランティア等の社会性や道徳性を高める活動がベストである。これを事前指導に力を入れるという。
⑤提言順守指導の中で、学校現場が対応仕切れないトラブルが発生した場合は、府の携帯対策プロジェクトを事前に発足しておき、現場に派遣し、教師と連携し指導と対応を行う。
⑥橋下知事に教育現場の苦悩を赤裸々に正しく伝え、認識してもらうためのシステムを構築する。そのために知事は、府内の暴力が今もある荒れた現場をお忍びで巡視しなければならない。

児童・生徒に対する指導は、「ある一面」だけをとらえて関われるものではありません。心の状態、家庭環境、性格、得手不得手、成育歴・・・それら全てをとらえ「全人格的」に一人ひとりと接することが大切です。
また教育に関わる全ての大人は、今回のような大きな動きがあったときには、「自分ならどうするか」ということを自問自答し、協力を惜しまず、行動することが大切です。
今回は、地元大阪の生活指導にかかわる大切な動きであること、また子を持つ1人の親としての想いが深く、長い文章になりました。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
                                                                (感謝・原田隆史)2008年12月15日発行

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