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技術士試験(化学部門‐化学プロセス)⑬_令和元年_必須I-1復元解答例

判定結果は“A”です。つまり60~100点です。
以下、復元解答例を見ていただくにあたっての留意点は、

①正解は一つじゃない、この解答例は、小職の例であって、貴殿の場合は全く別の視点で論じられる可能性が高いです。あくまで参考の位置づけとしてみてください。

②職務上の守秘に係る記載は基本的にありませんが、自分自身でグレーゾーン?と躊躇した部分は、修正させていただいています。

③文字数制限はあまり気にせず復元しています、また実際には下線等使って重要事項をハイライトしたりもしています。実際とは多少異なる可能性がある点は、ご容赦ください。

お題:資源枯渇・高騰・地政学リスクと化学産業

設問の詳細は以下アドレスを参照ください。
https://www.engineer.or.jp/c_topics/006/attached/attach_6644_1.pdf

設問(1):
これからも化学産業が発展を続けるために検討すべき課題を、技術者としての立場で多面的な観点から3つ抽出し、分析せよ。

復元解答:
(1)検討すべき課題:
①原料多様化
原料の高騰やサプライチェーンの分断のリスク回避の為、検討が必要である。多様な選択肢を有することは、製品の安定供給のみならず、国内化学産業振興にもつながる。
②資源調達競争力
原料の安定調達は、設備の安定操業、製品価格競争力の基本である。この点、資源を買い負けないシナリオ、調達競争力の強化が必要である。権益の確保や、独自技術による資源活用につき検討を進める事が重要である。
③リユース、リサイクル
国内地上資源は将来飽和化が進むとの予想が、シンクタンクや学識者(三菱総研-小宮山先生)から報告されている。国内地上資源のリユース、リサイクルは、地下資源枯渇やサプライチェーン分断のリスク回避につながり、更にリサイクル技術の改善は、資源やエネルギー利用効率の改善を伴い、国内化学産業の競争力アップにつながる。

設問(2):
抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

復元解答:
(2)も重要な課題と解決策:
先を見通すことが困難な時代、原料多様化が最も重要な課題である。解決策として、例えば、a)エチレンプラントにおいて、ナフサ原料からガス原料へ、或いはバイオエタノール原料への転換を推進する。これは原料コスト競争力や環境性、持続可能性に着眼しての対策である。またこれに合わせ、b)従来エチレンプラントの連産品であったプロピレンやブタジエンといった製品の目的生産化を進める。例えば、プロパン脱水素反応によるプロピレン製造設備の導入が中国を中心に進んでいる。これらの対応は、原料価格の高騰に対する代替案を与え、またサプライチェーンの分断に対しても、多様な選択肢を有することで資源セキュリティ上、有効な手段となる。c)またバイオリファイナリーが提唱されて久しいが、化石原料からバイオマス原料への転換は、持続可能性や化石原料の機能代替のみならず、新たな機能の創出にもつながる可能性がある。

設問(3):
解決策に関連して新たに生じうるリスクとその対策について述べよ。

復元解答:
(3)解決策によって新たに生じうるリスクとその対策:
製品コストの上昇がリスク、課題である。この点、製品付加価値の創造や、ステイクホルダーとコストアップに関するコンセンサスの形成が必要となる。例えば、d)環境親和性を事由に、消費者の理解を得て、一定コストを製品価格にOnする対応が考えられる。また、e)制度設計による従来品への税課金や新規代替産業への補助金支援により、過途渡期においてはその普及を促進する。

設問(4):
(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

復元解答:
(4)業務遂行に必要な要件を技術者倫理、社会の持続可能の観点で:
①技術者倫理
公益確保、法令順守は元より、情報発信、説明責任が求められる。上述の施策に対して、内容を透明性をもってわかりやす伝える事で、ステイクホルダーの理解に助する。
②持続可能性
ライフサイクルCO2、資源有効利用率、既存インフラの利活用、新技術の社会実装における社会受容性の観点で、上記施策を評価する。技術開発や新規投資に対しては、昨今SDGs、ESG、SBTへの関心が高まっており、また特に社会受容性に関しては、理論や論拠のみならず、情理を示すことが社会実装の促進に必要な要件である。

以上

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