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【PTCGO】テーマデッキ環境解説

 皆様こんにちは。はらです。
 さて、海外ではPTCGOの続編にあたるPTCGL(Pokémon Trading Card Game Live)が本リリース間近(?)となっています。私も非常に楽しみにしている続編ですが、個人的に残念に思う要素の一つとして、Theme Deck(以下テーマデッキ)戦の廃止があります。私はPTCGOのテーマデッキ戦が好きで、スタンダード戦の休憩感覚や暇つぶしでVSやイベント(トーナメント)をしていたら、いつの間にか膨大な対戦数をこなしていました。
 そこで本記事では、私が体験してきたテーマデッキ戦について、Tierランクとともに解説したいと思います。需要は限りなく低いと思われますが、お暇な方はぜひ緩い気持ちでお付き合い願います。

はじめに

 PTCGOのテーマデッキは日本の「スタートデッキ」みたいなもので、複数のスタートデッキから好きな物を選んで戦うレギュレーションです。普段使用しているスタンダードレギュレーションのデッキとは異なり、採用されているボールの枚数やパワーカードが少なく、デッキの回り具合で勝敗が決することも多いです。しかし、エネルギーの付け先やポケモンをいつ進化させるか、この番は攻撃すべきか盤面展開を優先すべきか等、ポケカの基礎を学ぶべき環境が整っており、まさにポケカの"基礎練習"が出来るコンテンツだと捉えております。また、お互いのデッキ構築が完全に分かっているからこそのリソース管理や読み合いもあり、普段のポケカとはまた違った楽しみ方があると感じます。

 テーマデッキ戦にも他のレギュレーション同様、VSやイベント(トーナメント)があります。特にPTCGOを始めて間もない方は、スタンダードレギュレーションのデッキを組むための資産が無く、まずはテーマデッキ戦で資産を貯める必要があります。しかし、どのようなデッキが強いのかが分からないと勝つことは厳しく、なかなか資産が貯まりません。

 そこで本記事では、私の考えるTierランク表に基づき、各デッキの解説を行ってゆきます。この記事を読んで頂くことで、よりテーマデッキ戦を楽しく勝てるようになれば幸いです。

 また、これはあくまで私の希望的な意見ですが、テーマデッキのみを使用した自主大会なども面白いのではないかと思っております。例えば、1プレイヤー最大2デッキを持ち寄ったBO3の大会なども楽しそうです。旧レギュレーションのカードが多いですが、入手困難なカードはごく一部(Rillaboom(ゴリランダー)デッキのエルフーン等)ぐらいですし、何なら自主大会なのでカラーコピーのプロキシを使用可にすれば、ハードルの低い大会になるように思います。この記事をたまたま読まれているテーマデッキファンのイベントオーガナイザーの方がおられましたら、是非ご検討を…!!

 余談はさておき、ここからテーマデッキ環境についての解説パートに移ります。

Tierランク表

 まずは筆者の考えるTierランク表が以下の通りです。

Tier1
Soaring Storm(カイリュー)

Tier1.5
Storm Caller(ライコウ+デンリュウ)

Tier2

Relentless Flame(リザードン+ニドクイン)
Unseen Depths(カイオーガ+エンペルト)
Blazing Volcano(エンテイ+バシャーモ)
Charizard(ダンデ+リザードン)

Tier3

Rillaboom(ゴリランダー)
Towering Heights(グラードン+ガブリアス)
Laser Focus(ネクロズマ+カラマネロ)

 基本的にはデッキの安定性やパワーの高い構築(最大火力やコストパフォーマンス)を基準に考えております。
 テーマデッキ環境を語る上で、Tier1は間違い無くSoaring Storm(カイリュー)です。この認識に関しては異論は無いと考えます。詳細は事項からの各デッキ解説で紹介しますが、強力なエネ加速要素と汎用性の高いサポートポケモン、豊富なドローソースとどれも非常に強力です。
 TIer1.5のStorm Caller(ライコウ+デンリュウ)はSoaring Storm(カイリュー)に有利を取れ、相手のリソース次第では追い詰められた状況からの逆転も狙いやすいのが大きな強みです。ただし、Soaring Storm(カイリュー)に比べ安定感が不足していることと、極端に不利な相手(Towering Heights(グラードン+ガブリアス))が環境に存在していることから、僅かに評価を下げています。
 Tier2は環境に最も多いSoaring Storm(カイリュー)に明らかな不利を取らず、デッキパワーも高いものを中心としております。
 Tier3のデッキはそれぞれコンセプトは強力なものの、安定感が極端に低いものや、環境上位デッキに不利を取ってしまうものをこの位置づけとしています。

 それでは事項より、各デッキの解説を行ってゆきます。なお、文字数が多くなりすぎることから、各カード効果についての解説は基本的に省きます。ご了承下さい。
(以下常態)

・Soaring Storm(カイリュー)

 VSやイベント(8人トーナメント、最大3回戦)の超常連。イベントでは3回戦の内、1回は高確率でマッチングするデッキ。強力なエネルギー加速手段を持つカイリューがデッキコンセプトの軸で、カイリューにアシストされた豊富なアタッカーで戦うデッキになる。

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 アタッカーは主に3種類おり、互いに強力なシナジーを持つボルトロスとトルネロス、進化が必要だがエネルギー引き継ぎの特性を持つランターンがいる。特にボルトロスとトルネロスはタネアタッカーで安定感があり、かつお互いが場におれば追加効果が付与されるワザを持つ。緩い条件ながら2エネ70点や3エネ80点+20点バラ撒きという強力な性能である。特にボルトロスは先行2ターン目からの70点でマウントが取りやすく強力。ランターンは高打点を出すためには雷エネルギー全トラッシュの条件があるものの、140点の高火力ワザがあり、フィニッシャーとして活躍出来る。自身の特性により育成がし易い為、早期に育成できると盤面のエネルギー効率が格段に上がる。また、デッキの軸となるカイリューも170点のワザを有しており、フィニッシャー役として非常に強力である。
 サポートポケモンとしてはアローラベトベターとピジョンがいる。アローラベトベターはテーマデッキ環境では珍しい0エネ2ドローのワザがあり、エネルギー加速の為に手札を多く抱える必要があるこのデッキと非常に相性が良い。ただし逃げる為のエネルギーが2個必要で、カイリューが育たないと身動きが取れない、という事態にも陥りやすい。また、ピジョンは1進化であるものの、特性による毎ターン実質2枚ドローをすることが可能で、早期に育成したいポケモンである。進化前のポッポもドローワザを有していたり、進化先のピジョットは強力なリセット効果ワザがあったりと、無駄が無いのも強力。

 デッキの強さは改めて説明するまでも無く、上記の通り圧倒的な攻撃性能と安定感である。各アタッカーの弱点も上手く分散しており、隙が無い。早期にカイリューが立ってしまえば一気に勝負を決めることも可能になる。
 ただし欠点として、カイリューが立たない場合、エネルギーの要求が多いポケモンが多く起動が遅くなりがちである。また、ボール類やタネポケモン展開用のカードが少ない為、アローラベトベターやピジョンの縦引きで何も来ず、全くポケモンが展開出来ない、ということにもなり得る。更に育成途中のハクリューを狩られたり、手札枯渇によるエネルギー不足でカイリューが活かせない場合は厳しい展開となる。また、入れ替え要素が他のデッキに比べて乏しく、Storm Caller(ライコウ+デンリュウ)の麻痺+バラ撒きに嵌められやすい点がマイナスポイント。
 一番の対策はカイリューになる前に狩ってしまうこと。しかしそれにはベンチ狙撃や呼び出しが必要なため、トーナメントで高い勝率を残すには、それらの要素が採用されているデッキを選択するのが賢明である。

・Storm Caller(ライコウ+デンリュウ)

 デンリュウの特性で相手のポケモンを止めつつ、ライコウの高火力で戦うコンセプト。相手をマヒにして行動不能にさせつつベンチ狙撃ワザを持つデンリュウが居る為、不利な戦況から一気に逆転することも可能である。

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 メインアタッカーは主に3種類いる。ライコウはタネポケモンで2エネ120点と破格の性能であるが、高打点を出すための条件がデンリュウの特性有りきの為、序盤のアタッカーにはならず、どちらかというと盤面形成後の高打点役やフィニッシャーとしての扱いになる。何故か採用されているアーゴヨンは特性により、序盤からのアグロ性能が高く、エネルギー管理もし易い。自身のサイド枚数が3枚の場合は160点が出せる為、タイミングを見極めたい。2進化のデンリュウは高打点こそ出せないものの、特性とワザの組み合わせが絶妙で、相手のリソース次第では完全に詰ませることも可能。相手のデッキに採用されている入れ替え札や状態異常回復札が何枚あるか、何枚消費されているかの把握が重要となる。
 サポートポケモンは3種類いる。特にゼブライカは強力な特性を持っているが、進化前が3枚に対し進化先がなぜか1枚しかなく、進化させる難易度が高い。2エネ60点ワザはテーマデッキ環境では意外と強力で、序盤のアタッカーとしても使用出来る。

 デッキコンセプトは非常に強力であるが、他のデッキに比べてサポートポケモンが貧弱な為、盤面展開をトレーナーズに頼りがちになってしまい、安定感が高くはない。序盤から一気に押し切られる試合も多いが、デンリュウを育成出来れば捲ることも可能な為、諦めずにデンリュウの育成を狙いたい。
 後述するTowering Heights(グラードン+ガブリアス)がタイプ相性、及びベンチバリア持ちのミュウの採用により、圧倒的に不利となる。アーゴヨンを育成して勝機を見出すしかないが、当たった場合は素直に諦めるのも大事。

・Relentless Flame(リザードン+ニドクイン)

 シェア率としてはSoaring Storm(カイリュー)の次によく見かけるデッキだろう。デッキコンセプトはニドクインの特性によるサーチと、高火力のリザードン。一見、2進化ラインが2種類あり不安定のようだが、ニドクインのおかげで盤面形成が確実に進むため、非常に継戦能力の高いデッキである。

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 メインアタッカーは主に2種類で、強力なエネルギー加速手段を有するリザードンと、コインゲームを仕掛けることが可能なギャロップがいる。リザードンは手張り+特性により、毎ターン180点を出すことが可能で非常に強力。180点はテーマデッキ環境に存在するほぼ全てのポケモンを一撃で倒すことができる。自身の特性による自傷ダメージにより気絶し易いのは難点だが、ニドクインやサポート「タケシのガッツ」により、何度も育成が可能である。また、ギャロップはコインが表なら次ターン無敵のワザを有しており、コイン次第で戦況を一気に覆すことが可能となる。要求エネルギーも少ない為、ニドクインが立つまではこのポケモンで戦い、盤面を揃えてからリザードンで一気に勝負に出るのが効率的。
 サポートポケモンはカモネギとニドクインライン。カモネギはシンプルだが1エネ2ドローは序盤の盤面形成時に非常に強力である。また、ニドラン♀とニドリーナもタネポケモン展開のワザを有しているのは心強い。ニドクインは自身の特性とシナジーのあるワザを有しており、フィニッシャーとして非常に強力である。

 このデッキを選択するメリットとして、各ポケモンの役割が明確であることが挙げられる。また、省エネ+無敵能力、高火力、継戦能力などのバランスもよく、コイン次第ではあるもののtier1のカイリューデッキに不利を取らないのは強い。また、早期にリザードンが立てば相手を一気に攻め立てることも可能である。ニドクイン自身で戦うことで、水タイプデッキを相手にしても大きな不利を取られないのは良い点。
 ただし欠点として、ニドクインが立たない時の展開力が非常に弱い為、2進化に頼らざるを得ないのは厳しい面がある。また、いくらニドクインがいるとはいえ、やはり2進化ラインが2種類混在することで起こる噛み合わせの悪さは、どうしても気になる。1進化が2枚ずつしか採用されていない点も不安が残る。
 このデッキを相手に戦う場合は、如何に相手のギャロップに仕事をさせないかが鍵となる。コイン要素は仕方が無いため、無敵になっている番はギャロップを無視してベンチ狙撃を行ったり、盤面の立て直しに切り替えるなどの意識が重要である。イライラしたら負け。

・Unseen Depths(カイオーガ+エンペルト)

 パッケージのポケモンはカイオーガだが、実際は単体での制圧能力が高いエンペルトがメインのデッキ。テーマデッキ環境では貴重なスタジアムが採用されたデッキである。スタジアム「トキワのもり」は山の圧縮やカイオーガの上ワザとシナジーがあり強力だが、相手に有効活用される場面も少なくない。

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 アタッカーは多種多様で、中でもエンペルトは強力である。ベンチ100点狙撃やタネポケモンロックが1エネで使用でき、非常にコスパが良い。テーマデッキは進化ラインが多く、2進化ラインの途中(1進化)は全てHPが100以下なので、エンペルトで如何に素早く相手の育成中ポケモンを狙撃出来るかが鍵となる。カイオーガはワザのエネルギー要求が多いが、自身のワザで加速することが可能な為、特に序盤は強力なアタッカーとなり得る。ゴルダックは最大打点が80と心許ないが、2エネでコスパが良い点や、自身のエネバウンス効果とドローエネルギーが絶妙に噛み合わせが良い。エテボースは高打点を出すための手札コストが重いが、無色2エネで最大120点が出せるなど脅威。また、上ワザも盤面形成時に優秀である。進化前のエイパムの特性は、相手のデッキトップをボトムに落とす効果がある。テーマデッキ環境では一見して意味の無い効果に見えるが、後述するBlazing Volcano(エンテイ+バシャーモ)やTowering Heights(グラードン+ガブリアス)の特性「じならし」で盤面形成を行うデッキにとって、やっかいな効果になる。
 サポートポケモンはナマコブシとマナフィ。マナフィはこの環境では脅威となるベンチ呼び出し効果を持ち、さらに使い回しが可能な超汎用性能を持つ。ナマコブシとのシナジーも良く、なぜこのデッキに採用されたのか謎である。前述のギャロップの高速移動効果を無効化にすることも可能であり、色の相性も相まって、リザードンニドクインデッキにとって、このデッキは天敵となっている。

 このデッキの最大のメリットは、ベンチの狙撃や呼び出しにより、序盤~中盤にかけて相手盤面を崩壊できること。エンペルトの早期育成を目指しつつ、タイミングを見計らってマナフィを上手く使用したい。また、エンペルトとそれ以外の水タイプポケモンとで、弱点が分散しているのは良い点。
 欠点は各アタッカーの火力の低さで、最大打点が130点と心許ないこと。相手の軸となる2進化ポケモンが育つ中盤以降の殴り合いでは苦戦必至の為、如何に速くこちらの盤面を揃えて攻め立てる事が出来るかが重要となる。

・Blazing Volcano(エンテイ+バシャーモ)

 各ポケモンのワザや特性を上手く使用して戦うテクニカルなデッキ。マグカルゴの特性「じならし」やヘルガーのワザで確定サーチを行いながら、相手の動きに合わせて臨機応変に戦ってゆくプレイングスキルが求められる。使いこなすのは難しいが、基礎練習として使用するには一番オススメしたいデッキである。

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 アタッカーは主に3種類おり、まずはデッキのメインとなるエンテイ。下ワザがとにかく強力で、運要素が絡むものの、3エネで最大200点を出すことが出来る。このエンテイのワザを活かすために、デッキトップを操作できるカードとして特性「じならし」のマグカルゴやサポート「マオ」が採用されている。ヘルガーは高打点を出すための要求値がお互いの手札枚数に依存されるため、特に盤面展開の為に手札を消費してしまうと、序盤は高打点が出せない。ただし2エネ130点は破格の性能で、上手く手札枚数をコントロール出来れば、序盤から一気にマウントを取ることが出来る。ヘラクロスは高打点の条件としてバシャーモの育成が必須ではあるが、アタッカーとして非常にコスパが良い。水タイプのデッキを相手に戦うには、ヘラクロスとレスキュータンカの使い方が非常に重要となる。
 バシャーモはアタッカー兼サポート枠で、特性によるエネ加速が非常に強力。また2進化ポケモンだけあり、ワザも非常に優秀である。ワザのバラ撒き効果で育成途中のベンチポケモンを削り、エンテイでとどめを刺したい。
 ツボツボは特性とワザのシナジーが非常に高く、序盤からエンテイで攻める場合に強力なアシストが出来る。

 デッキリストの通り、他のテーマデッキに比べて、トレーナーズの種類が非常に多い。特筆すべきはサポート「グズマ」が採用されている点で、ポケモンキャッチャーやマナフィには出来ない確定ベンチ呼び出しは脅威である。グズマの存在により2進化が強力なSoaring Storm(カイリュー)に対してマウントを取りやすい。また入れ替え札の多さや状態異常回復札の存在により、Storm Caller(ライコウ+デンリュウ)に対しても強く出られる。ただし、どのアタッカーも高打点ワザを打つための要求値が高く、盤面形成に時間が掛かるため、環境上位デッキに対してスピードで押し切られる試合も目立つのが残念ではある。

・Charizard(ダンデ+リザードン)

 2枚採用されたサポート「ダンデ」を駆使して戦うパワーデッキ。収録されているリザードンが特性・ワザ共に強力で、このポケモンを軸に火力の高いポケモンが揃っている。余談だが、スタンダードレギュレーションでダンデリザードンのデッキを組みやすいのはこのテーマデッキのおかげ。

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 アタッカーは3種類おり、まずはデッキコンセプトでもあるリザードン。2進化だけあり特性も強力で、ダンデをトラッシュして火力を上げる自身のワザと非常に相性が良い。当然ダンデを使用しながらワザを使えば、ダンデの効果+トラッシュ枚数参照の対象になるため、2エネルギーワザでは破格の性能を有している。ダンデがトラッシュ出来ないときは本当に弱いので、運要素が絡むのは少し残念である。マグカルゴはエネルギーの要求値が高いが、フィッシャーとして活躍出来る。試合中盤にリザードンなどで戦いつつ、ベンチのマグカルゴにサポート「ビート」や手張りでエネルギーを蓄え、180点ワザを決めたい。進化前のマグマッグのワザは相手を眠らせる事が可能で、時間稼ぎ要因が出来る。何故か採用されているメガヤンマだが、逃げエネ0やベンチに戻るワザが非常に便利。火力もしっかり出るため、良いサブアタッカーである。
 サポートポケモンはウソッキーのみ。シンプルisベスト。特筆すべきは下ワザで、自身に乗っているダメカンが多い程打点が上がるというもの。ダンデと組み合わせすることで思わぬ火力を出すことが出来るため、このウソッキーを相手にした場合、中途半端なダメージを与えるのは逆効果になってします。また、闘タイプポケモンというのも環境的に強い。

 このデッキを選ぶ最大のメリットはやはり、カードパワーの高さである。剣盾環境以降のテーマデッキの為、各カードの打点やHPがSM環境と比べ少し高く設定されている。僅かな差だが、やり込むほどに有り難みが分かってくる。※特にHPが120か130かの違いは大きい。テーマデッキ環境では、Soaring Storm(カイリュー)のボルトロスを始め、Storm Caller(ライコウ+デンリュウ)のライコウやUnseen Depths(カイオーガ+エンペルト)のエテボース、Towering Heights(グラードン+ガブリアス)のナゲキなど、優秀なアタッカーの多くが120打点であるため。
 欠点としては、各アタッカーの起動が遅いため、序盤にサイド差を付けられやすいこと。2枚採用されている「ふつうのつりざお」を上手く使用し、リザードンを複数回使用するプランで捲る試合を増やしたい。

・Rillaboom(ゴリランダー)

 ゴリランダーによる圧倒的な制圧力で戦うパワーデッキ。Charizard(ダンデ+リザードン)のデッキしかり、剣盾環境のテーマデッキは単体ポケモンを活かすデッキが多い印象。ヒメンカ-ワタシラガラインによる盤面形成能力が非常に優秀。ゴリランダーを活かすためのサポートカードも多く、単体を活かすコンセプトとしてはテーマデッキ環境で随一。

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 アタッカーは主に3種類で、メインのゴリランダーと、対面のタイプ相性で不利を取らない為のカビゴン、コインゲーム次第では超強力なマラカッチがいる。ゴリランダーは3エネ90打点+10点バラ撒きワザに加え、4エネ180打点持ちでHP190という破格の性能。高打点ワザは次の番に使えないデメリットがあるものの、90打点+10点バラ撒きが非常に強力なため、場面毎に使い分けて相手を制圧したい。カビゴンはシンプルな性能ながら、テーマデッキ環境では強力な80打点と130打点の組み合わせ。エネルギーコストの問題は後述のワタシラガが解決してくれる。マラカッチはタネポケモンながら2エネ120打点が出せる(かもしれない)。運要素が非常に大きいが、序盤のアタッカーとしては脅威になる。
 エルフーンの1エネで使用出来るリセットワザは、不利盤面の逆転を狙えるので、状況次第ではあるものの、狙う価値は高い。
 サポートポケモンはヒメンカと進化先のワタシラガ。どちらも非常に強力なワザで、ヒメンカでスタート出来るとその後の展開力が劇的に高まる。メインアタッカーのワザコストが何れも高いため、ワタシラガによるサポートは必須。ワタシラガのエネ加速を複数回使用出来ると、勝利がグッと近くなる。

 環境に炎デッキが多いのが最大の弱点で、せっかくのゴリランダーの高い耐久力を活かせずに終わってしまうことが残念要素である。逆に弱点対面にさえ当たらなければ、デッキパワーの高さで押し切ることも多い。耐久ラインの関係でSoaring Storm(カイリュー)を相手に殴り勝てる点と、回復札が多いためStorm Caller(ライコウ+デンリュウ)に強く出られる点は非常に評価が高い。特にイベントでは(Relentless Flame(リザードン+ニドクイン)に当たりさえしなければ)勝ちやすいデッキである。

・Towering Heights(グラードン+ガブリアス)

 パッケージポケモンのグラードンを始めとした豊富なアタッカーで戦うデッキ。闘タイプのデッキはパワー系というイメージがあるが、このデッキは非常にテクニカルな要素が多い。

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 アタッカーはタネポケモンながら3エネ130点が出せるグラードンと、条件次第では最大200打点のガブリアス、ベンチポケモンにダメカンが乗っておれば2エネ120点が出せるナゲキがいる。グラードンは上ワザのエネ加速が非常に優秀で、上手く使えば後攻2ターン目から130点で攻撃出来るのが脅威。ガブリアスは流石は2進化ポケモンというだけあり、逃げエネ0要素も優秀かつ、サイド枚数が負けておれば最大200点の高打点が非常に魅力的。ナゲキは後述するガマガルのおかげで高打点の条件が達成しやすく、コスパが非常に高い。序盤はグラードンで盤面を作り、中盤にナゲキで戦い、終盤にガブリアスで締める、という流れが理想。
 オタマロ-ガマガル-ガマゲロゲの進化ラインはサポートとして非常に優秀。ガマゲロゲのじならしは説明不要の強力特性で、じならしを活かすためのドローエネルギーの採用も地味に優秀である。カマガルは1エネ60点のコスパの良さと共に、ナゲキの高打点条件達成を可能に出来る点が優秀。自分のベンチにダメカンを撒いておけば、ガマゲロゲのワザのダメージも増えるため、非常にシナジーが高い。
 ナゲツケサルは1エネ20点に2ドローの効果が非常に強力。序盤の打点補助+盤面形成で役に立つ。何故か採用されているベンチバリアのミュウは、置物として優秀なだけではなく、ワザによるダメカンバラ撒きにより、複数サイド取りも出来る。ガブリアスのワザの性質上、サイド同数の場合は最大120点しか出ない為、上手く打点調整を行ってからミュウのワザでサイド複数取りを狙うプランも頭に入れておきたい。

 弱点はとにかくSoaring Storm(カイリュー)に勝率が低いこと。エネルギー加速の差や打点・耐久面などでの噛み合いが悪く、終盤に相手のカイリューで押し切られるとどうにもならない事が多い。序盤から攻めつつ、相手のカイリューはガマゲロゲのワンパンで倒せるような仕込みが重要になる。逆にStorm Caller(ライコウ+デンリュウ)に対してはタイプ相性とベンチバリアミュウのおかげで圧倒的に有利なマッチとなる。イベント戦ではSoaring Storm(カイリュー)が多いため勝ち上がることが難しいが、環境に対する"メタのメタ"のような立ち位置である。"はじめに"で紹介した大会などがあれば、活躍するデッキであろう。

・Laser Focus(ネクロズマ+カラマネロ)

 特性「サイコリチャージ」を駆使し、様々なアタッカーを育成して戦うデッキ。豊富なアタッカーだけではなく、システムポケモンの採用枚数が非常に多いため、序盤の展開力にも優れている。

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 メインアタッカーはワザ「スペシャルレーザー」のネクロズマ。通称スペネク。テーマデッキ環境のタネポケモンで160打点は破格。上ワザで相手の確定数をずらしながら打点補助を出来る点も優秀。シルヴァディはどちらのワザも強力で、HPも130と非常に偉い(理由はCharizard(ダンデ+リザードン)での解説の通り)。デカグースはテーマデッキ環境では実質無条件で2エネ90打点が出せる為、序盤のアタッカーとして非常にコスパが良い。
 サポートポケモンは場の展開要員としてエムリットとケンタロス、ドロー要員としてタブンネとデデンネ、そしてエネルギー加速要因としてマーイーカ-カラマネロラインがいる。いずれも2枚ずつ採用されており、序盤の事故率はかなり低い。タブンネは、Uターンボードと組み合わせて使用するデザインになっており、カラマネロのサイコリチャージとのシナジーが高いのも優秀。

 欠点として、まずサポートポケモンの採用枚数が多すぎることから、デッキパワーが高くないことが挙げられる。序盤の展開力が高いのは素晴らしいが、中盤以降、使用しなかったサポートポケモン達が手札にダブつき、思うように次の展開に繋げられないシーンも多い。また、最大打点のネクロズマが特殊エネルギー要求にも関わらず、肝心の特殊エネルギーが2枚しか採用されていないのも難点。上述のサポートポケモンのダブつきにより、ウィークガードエネルギーを上手く引き込めないと思うような打点が出せないのは厳しい。
 事故要因になりやすい2進化のポケモンが採用されていない点と、一部のサイコリチャージファンにとっては理想的なテーマデッキであろう。

おわりに

 ここまでお読み頂きありがとうございました。気づいたら自分でも驚きの1万文字オーバーでした。本当は紹介したい素敵なデッキがまだまだ沢山ありますが、キリが無い為今回はここまでとさせて頂きます。自己満足の長文にお付き合い頂いた皆様に、改めて感謝致します。
 さて、PTCGOは今回解説したテーマデッキ以外に、スタンダードやエクストラの環境でも非常に楽しくプレイが出来ます。もちろん対面でのポケカが何よりも楽しいのは事実ですが、セルフシャッフルが導入されて以降のイカサマ問題やトラッシュ確認の煩わしさも関係無いため、そのあたりが気になる方や、自宅に居ながら気軽に対戦をしたい方には特にオススメです。日本のスタンダードレギュレーションの環境とは若干カードプールが異なりますが、"ポケカの練習"として捉えれば、非常に有意義なコンテンツだと思います。
  今後、続編のPTCGLのリリースがどうなるかは分かりませんが、それまではこのPTCGOを遊び尽くしたい所存です。是非皆様も、この記事をきっかけにして、PTCGOに興味を持って下されば幸いです。それでは。

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