年子3人忘備録2

[前回のあらすじ] 20年前の春に第一子あーさんが誕生し、あたふたしながらも秋を迎えた頃、鼻水ごときで夜間救急に駆けつけた新米両親。診察を終えて丑三つ時に自宅に戻ると、、、。

夜間勤務の先生からは、おそらく”優しい”(憐れむ)対応をしていただいたのだと思う。安心して帰宅し、あーさんを寝かしつけながらCNNをつけると、Breaking Newsでビルが燃えていた。穏やかな青空に違和感でしかない映像。次の瞬間、飛行機がビルに衝突する。これからあーさんが生きていく世界に何が起こるんだろう。どうか事故や事件に巻き込まれることなく生きてほしい、と心から祈った。あーさんの鼻水とBreaking newsで気持ちが落ち着かず、結局その夜は眠れなかった。

春から秋への数ヶ月は、初めての連続だった。初めてのオムツ替えは、一体どこまでどう拭いたらいいのかわからず、ずいぶん高く足を引っ張り上げた。初めての抱っこは、肩のラインが着物かけハンバーのようだった。片手1歳、片手新生児を”持つ”近未来を知らずに。初めて目が合えば、闇雲に「バーっ」と言った。あーさんは「いつもバーってなに?」と思ったに違いない。初めて声を出せば、妖怪リピートアフタあーさんが出没。初めてのベビーカーは、振動にヤキモキし結局抱っこした。監視カメラがあるのなら当時の自分をモニタリングして爆笑したい。いたって真面目に行動しているから面白いのだ。事実は小説より奇なりとはよく言ったものだ。

お風呂も誰かに受け取ってもらえる状況じゃないと入れられなかった。2年後には0歳1歳2歳の風呂対応を一人でやってのけている。耳に水が入ったらその瞬間中耳炎になると信じ、かなりの力で耳を押さえた。お風呂上がりにはお取り寄せしたグレープシードオイルでマッサージ。あーさんの心中「っちょ、痛いよ、落ち着けよ」と思うほど、可哀想にあれこれされいた。

寝返りやハイハイであーさんの行動範囲が広がり、比較的大きな頭をあちこちにぶつけるようになった頃、離乳食が本格的になる。離乳食はグラム・リットル・大さじ・小さじ、、、分量の規制緩和が認められない(と思い込んでいた)。さらに、こす、つぶす、ペーストにする、細かく刻むという呪文はハリーポッターの本にも書かれていない。完全に白目だ。だが、世の中は我を見捨てなかった。手を差し伸べてくれたのは、赤ちゃんグッズコーナーのビン詰と、「味噌汁の上澄みを飲ませれば良い」という天の声。各種ビン、味噌汁、野菜ジュース、野菜スープ、赤ちゃんせんべい、、1歳になるまで歯が生えてこなかったあーさんは、歯茎で食べられるものをテキトーに食べる事になる。食に関するテキトーさは、この時から現在までブレずに継続している。

あーさんの”歯が生えてこなかった”ことに、後々大変感謝することになる。

それは突然やってきた。

つづく

次の更新は明日



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