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泣く私に 鼻セレブ をくれたMさんへ


ボツになった感想文

岸田奈美さん 
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

の感想文を キナリ読書フェス に出したい!

と思い立ち、はりきって書いた結果。


10割自分の話になった。


こ、これはただのわたしのブログだ…
と、途中で ボツにした感想文。

改めて読みなおしてみて、
やっぱり書きたいなぁとおもい、
ブログとして もう一度書いてみることにした。


沈めた感情がうかびあがる


岸田さんの気どらず、
そのままの感情を表現される文章が すきだ。

わたしだったらカッコつけて隠してしまうなぁということも
まっすぐ書かれている。

みんなが当たり前にできることが、できない。
守るべきルールが、守れない。
どうにかがんばってみても、失敗ばかり。
ああ、わたしは、他人に迷惑をかけるために生まれてきた非常識人間だ。
「どん底まで落ちたら、世界規模で輝いた」p.41


岸田さんが休職されたときの心境をつづった この言葉。
「わたしのことかな?」と おもった。

最初の職場で わたしが感じていたことそのもの で。
当時の気持ちがよみがえった。


わたしは絵にかいたような ダメ新人 で。
漫画やドラマだったら、「こーいつぅ!」で済まされることも
現実世界では通用しなかった。


なにをやるにも時間がかかり。

メモは ぐちゃぐちゃ、電話応対も あわあわする 始末。
1人前になれないわたしは 毎日怒られつづけた。


ちゃんとしなきゃ とおもうほど、失敗した。
「なんでわたしは普通に仕事ができないんだろう」
家に帰ると 涙が ぼろぼろ でた。


そのうち
職場にいくと、心臓がバクバクするようになり。
自分が質問したのに、なにを質問したのか分からなくなる
というナゾの状況になった。


わたしの失敗と一緒にしてはいけないけど。
あんなに輝いている岸田さんも「失敗ばかり」
と感じられたことがあったんだと思うと、救われる気がした。


鼻セレブをそっと差し出してくれたMさん


苦い思い出ばかりだとかんじていた新卒時代。
エッセイを読み進めるうちにMさんのことを思った。

助けるってのは、声をかけて身体を動かすより、
視点を動かして相手のことを思うことかもしれない。
「ミャンマーで、オカンがぬすまれた」p.74


その日も午前中に怒られ、落ちこんだままお昼休憩になった。

休憩室で母がつくってくれたお弁当箱を開けると。
ミニトマトに野菜炒め、生姜焼き…
みっしりつまったお弁当から  ふいに

がんばれ

を感じて、わたしは泣き出してしまった。


無言の 母の愛情 と「大丈夫かな」の 心配 をかんじて。
こんなに応援されているのに、また怒られている自分がなさけなくて。

いろいろな感情が ぐちゃぐちゃになった涙だった。



そのとき。

にじむ視界に おもむろに ポフっ となにかが置かれ。
アザラシと目があった。

鼻セレブ」 だった。


顔をあげると、同じ部署の女性が立っていた。


わたしが驚いていると
頭をポンポンとして休憩室をでていかれ。



その方とはほとんどお話ししたことがなかったけれど。


ただただ うれしかった。


岸田さんがおっしゃる
「視点を動かして」わたしのことをあたたかく見守ってくれて
いたんだなぁと。


そういう人がひとりでもいてくれたんだと思うと、
胸の奥が ぽかぽかして、また 涙がとまらなくなった。


わたしが気づけていなかっただけで
もしかしたら他にもそういう方がいてくださったのかもしれない
と、今はおもう。


あの時の、鼻セレブの感触は
ちょっとお高いティッシュ なだけではなく
こころもやわらかく包んでくれた。


アザラシがこちらを見つめて
だいじょうぶ
と励ましてくれた。




コンビニで、ドラッグストアで、スーパーで。
鼻セレブをみると思い出す。

遠くで近くで見守ってくれていたMさんを。


Mさん、お元気でしょうか。
その節は本当にありがとうございました。
わたしもMさんみたいな やさしくてかっこいい社会人を
目指してます。

まだまだ遠いけれど。



そして、文章で元気をくださる岸田さん。
いつもありがとうございます。

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