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Happy Women's Map 愛媛県今治市 陣痛促進剤による被害を考える会代表 出元 明美 女史 / Founder of Association of Labor Induction Victims, Ms. Akemi Demoto

-陣痛促進剤による被害を考える会

「陣痛促進剤 あなたはどうする」
“Labor induction, what about you”

出元 明美 女史
Ms. Akemi Demoto
1984 -
愛媛県今治市 在住
Born in Imabari-city, Ehime-ken

出元 明美 女史は「陣痛促進剤による被害を考える会」代表。陣痛促進剤の不適切使用による医療事故裁判の日本初の原告。
Ms. Akemi Demoto is the founder of the ``Association of Labor Induction victims''. Japan's first plaintiff in a medical malpractice lawsuit due to inappropriate use of labor induction.

「痛促進剤」
 明美は第3子出産のために産科医院に向かいます。夕方には子供に会える喜びを胸に。午前10時10分、誘発分娩のために陣痛促進剤の点滴を受けます。腹部に分娩監視装置をつけて、1分に33滴で開始。5分後にはかなり強い陣痛を感じ、15分後には遅発性徐脈(子宮収縮に伴って心拍数が緩やかに減少し緩やかに回復する)を繰り返すようになります。准看護師が医師を呼んでも、「様子を見よう」医師は中止も速度を落とすこともなく点滴を続けます。しだいに陣痛の痛みは増して間隔も短くなり、上半身は汗だくで呼吸も苦しくなり、我慢に我慢を重ねて必死で耐えます。13時10分に医師の内診を受けると、極度の激痛で腹部が大きく3度動きます。子宮破裂。緊急帝切で取り出された長女は重症仮死で脳性麻痺。明美は医師から何の説明も謝罪もないまま退院します。

「医療事故」
 かつて看護婦だった明美は、医学書・看護学所を読み漁ったり、助産婦の友人に相談するうちに、医療事故だと確信します。陣痛促進剤の適量は妊婦一人ひとり違う微妙な薬で、アメリカ産婦人学会では、陣痛促進剤を使用するときは全患者に子宮内圧を測定しながら投与量調節を行うこと、さらに胎児の酸欠を防ぐために胎盤血流量を監視する体制を義務付けていることを突き止めます。明美は裁判を起こし、新聞・TVなどでも訴えます。すると全国から同じ被害にあった人たちから連絡が来るようになります。「陣痛促進剤による被害を考える会」を結成。陣痛促進剤による被害症例を集め始める中、長女は肺炎を繰り返して1歳8か月で息を引き取ります。

「カルテ改ざん」
 アメリカでは請求すればいつでもカルテを見ることができる権利が保障されているのに対して、日本では弁護士から裁判所を通して前もって病院に電話を入れた上で証拠保全をして、実際に見られるまでに1か月以上かかる上に、医者が書いたカルテが唯一の証拠文書として扱われます。さらに病院が出しているもう一つの文書、診療報酬明細書の開示を求めると厚生省の指示で開示されません。明美は当時の准看護また看護師の強力を得て、カルテの改ざんを暴きます。2種類の陣痛促進剤が既定の10倍以上の速度で投与され、わずか5分後から始まった激しい陣痛の度に胎児心拍の低下が繰り返され、医師は胎児の危険な兆候を見過ごして子宮破裂に至ったことが判明。10年4か月かけて勝訴します。

「母子手帳改定」
 寄せられる被害症例を調査すると、陣痛促進剤について、必要のない場合に使用されてる、用法・容量が守られていない、分娩監視が不十分、事前説明がされていないといった問題の他に、妊婦の訴えを無視している・腹部を触診して陣痛の状態を観察する基本的な医療行為が欠如しているといった、医療者の資質の問題が浮き彫りになります。明美らは「薬害・医療被害をなくすための厚生省交渉実行委員会」に参加。年3回の交渉を続け、オキシトシン製剤とプロスタグランジン製剤の混合使用を禁忌、オキシトシンの筋肉注射を禁忌、オキシトシン点滴の最大使用量を半分以下にする、分娩監視装置を常時付けるなど、陣痛促進剤の添付文書を改訂。さらに「必要性及び危険性を十分説明し、同意を得てから使用すること」という注意書きを記載、15年かけてようやく母子健康手帳にも「子宮収縮薬等を使用する際には、その必要性・効果・副作用などについて医師から十分な説明を受けましょう」という注意書きを記載します。

「あなたはどうする」
 医師からしっかりとした説明を受けずに無痛分娩に陣痛促進剤が使われる中、明美は安全なお産について問いかけます。「無痛分娩は麻酔によって150%の陣痛が80%ぐらいに抑えられてしまう。子宮破裂前などの異常な陣痛でも我慢できるぐらいの痛みになる。一方、子宮の収縮で赤ちゃんも痛みを感じている。医療側がちゃんと見てくれていないと、赤ちゃんがどういう状況なのかということも分からない。」「子宮破裂・障害児出産など、無痛分娩が危険と隣り合わせであることを知った上で、自分は本当に無痛分娩をしたいのか決めないといけない」

-陣痛促進剤による被害を考える会ウェブサイト
-「陣痛促進剤 あなたはどうする」(陣痛促進剤による被害を考える会 編著 / いろは社)

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