小さな王子さま・第16章～私家版「星の王子さま」

（※ブックチャレンジの代わりに翻訳チャレンジしました。毎日１章ずつアップしていく予定です。なお、サン・テグジュペリによる原作の著作権は、イラスト・文章ともに保護期間が過ぎています。”自粛生活の友”にどうぞ）

１６章）

そういうわけで、小さな王子さまが訪ねた7番目の星が、地球だった。

　地球は、けっこう興味深い星だ！　そこには、111人の王様と、７千人の地理学者と、90万人の実業家と、750万人の飲んだくれと、そして３億1100万人のうぬぼれ屋がいる。全部ひっくるめて、約20億人の大人たちがいる。

　地球の大きさを感覚的に分かってもらうために、このことをあなたに教えよう。電気が発明される前、そこには46万2511人の点灯夫がいたのだ、ということを。

　はるか彼方の上空から見たら、彼らは地球に美しい絵を描きだした。それらの点灯夫は、まるで巨大なステージの上で踊るダンサーのように、協力して働いていた。始まりはニュージーランドやオーストラリアの点灯夫で、彼らは眠りにつく前に、そのランプに火を灯していた。お次は、中国とシベリアにいる点灯夫がそのランプを灯した。それからロシアとインドの点灯夫。それからアフリカとヨーロッパの。そして、南米の点灯夫、そして最後に、北アメリカの彼ら。そして、その点灯夫たちは、間違った命令に従ってランプを点けることなど決してなかった。彼らのダンスは完璧だった。それは見るも美しい光景だった。

　仕事が簡単だった点灯夫は、北極と南極の点灯夫だけだった。：彼らは毎年、たったの2度しか働かなかった。

（第17章につづく／翻訳・長友佐波子）