小さな王子さま・第18章~私家版「星の王子さま」~
(※ブックチャレンジの代わりに翻訳チャレンジしました。毎日1章ずつアップしていく予定です。なお、サン・テグジュペリによる原作の著作権は、イラスト・文章ともに保護期間が過ぎています。”自粛生活の友”にどうぞ)
18章)
小さな王子様は砂漠を越えて行った。1輪の花以外には、他の誰にも、彼は会わなかった。それは、ほとんど、まったく、花ではなかった――それは3枚の花びらしか持っていなかった……。
「こんにちは」と小さな王子様は言った。
「こんにちは」と、花も言った。
「誰か人間を見かけましたか?」と、小さな王子様は尋ねた。
その花は、かつて、何人かの旅行者がそばを通り過ぎるのを見たことがあった。
「人間? 何人か見たわよ。たしか、6人か7人くらい。見たのは何年か前ね。でも、その人たちが今どこにいるかは知らないわ。風がそこここで吹き付けるからねえ。あの人たち、根っこを持ってないでしょ。根を生やすのはきっと、とっても難しいに違いないわ」
「さよなら」と、小さな王子様が言った。
「さようなら」と、花も言った。
(第19章につづく/翻訳・長友佐波子)
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