見出し画像

あまり知らない人と犬が挨拶するときに注意する点とやってはいけないこと

①ついやってしまいがちな犬との挨拶の仕方「大人編」

まずは、よくないけれど、ついやってしまいがちな、犬とのご挨拶の動画です


動画解説していきます

●08秒・・・前から近づき、覆いかぶさるように覗き込み、犬の目線より上から手を近づけて頭から触る
●10秒・・・両手で頭顔をわしゃわしゃする .
●17秒・・・覗き込むように犬の顔との距離が近くなり、ひたすら顔・体を激しく触る 
●30秒・・・これでもかっていうぐらい触り続ける

初めに言っておくと、この子は見た目の感じから動画のような場面に遭遇することを想定して、社会化期からかなり触る練習を繰り返しています

「解説」
犬好きな人は、ワンコを見ると触りたくなる衝動に駆られます

全てのワンコが人から触られて喜ぶとは限らず、むしろそうではないワンコのほうが多いことを知っておきましょう

まず触る人がやってはいけないことは?

人の場合で考えて、あまり知らない人からやって欲しくないことは全部やらないほうがよい。自分が初対面やあまり知らない人から、ゼロ距離まで近づかれ、ベタベタ触られたら、めっちゃ嫌じゃないですか?
あまりにも、しつこく触ってきたら我慢の限界が来て、その人に注意することも想像出来ますよね。ワンコも同じです

触って欲しいかどうかは、そのワンコが決めること

画像1

判断の基準として、人を見て
●腰を低くしながらor飛び跳ねながら
●シッポぶんぶん降って
●自分からすり寄っていく

また人が近づいてきて、シッポ振りながらお腹を見せたときは、(さわってさわって)のパターンと(自分は嫌なことしないから、あなたも嫌なことしないでね)の2つパターンがあるので、相手によります.

触られているときに、ジッと大人しくしている場合、結構ワンコは耐えていることも多い

そのワンコと、触る人にもよるのですが、ワンコにとってその人がちょっと嫌だった場合。その場を無難にやり過ごしたとしても、次第に人嫌いになることもよくあります。

これは「回避行動」のひとつです
回避行動には3つのパターンがあり

①固まる( Freeze)
②逃げる(Flight)
③戦う(Fight)

頭文字のFをとって「3つのF」ともいわれています。
じっと固まって動かないのは、リードが付いたり、抱っこされてたりと逃げられない状態である、ひたすら怖くてただ固まってひたすらジッと耐えている、という可能性もあります。

これが逃げられる状態ならば、ワンコ自身で触ってくる人から距離を開けることが出来るのですが、それも叶わないとなると残った手段はひとつ

つまり「戦う」に発展する可能性があるわけです
吠える・うなる・噛むといった行動ですね

そして飼い主さん役はワザとですが、ワンコに対して何のフォローもしていない。
ワンコが(いやだなぁ)と感じ出たとすれば、この出来事はワンコにとってマイナスなこと。次第に反応が強くなり困るのが飼い主さんとなるのですね

②子供が出会ったときにやりがちな挨拶の仕方と犬の反応

動画解説

●02秒・・・大声出して、あまり見たとない格好の人間が近づいてきて、体が少し傾きます 
●4秒・・・突然背中から激しく触られてビックリして立ち上がって距離をとる 
●07〜11秒・・回り込まれて一瞬耳が後ろに下がる。体が反対にのけ反り、また背中から触られて反応する 。背中から触られるので、とりあえず人の後ろへ避難する
●13秒・・・フードがもらえると思ってお互いの顔を見る(笑) 
●17秒・・・突然チョコレートが出てくる(もちろんあげてないよ) 
●20秒・・・子供役が前屈みに激しく動いたとき、右前足が浮く 
●27秒・・・この場合は遊んでもらってる感じだなと飛びつく。あえて子供役は叫びながら逃げる。そうするとより興奮して追いかける

「解説」

画像2

動画では、飼い主さんの次ぐらいに信頼してくれている私たちがやっているので、ワンコにとってほぼ遊びになっていますが、それでも格好を変えて激しく動くと、様々な困惑や興奮のボディーランゲージが見て取れます。実際の子供だと、ワンコからさらにいろんな情報が出ることでしょう

そのときワンコは
"めっちゃ興奮する"
"不安を感じる"

社会化期や、これまでの経験
つまり頻繁に子供と触れ合う環境とかにもかなり影響してくるけども。
そんなに子供と接する機会のなかったワンコにとって 

●小さな人間見たことない!
●知ってる人間と匂いがなんか違う!
●大声怖い!
●バタバタ動いて怖い!
●急激に近づいて怖い!
●めっちゃいろんなとこ激しく触ってくる怖い!

お子さんが苦手なワンコには、どれかに当てはまるんじゃないかな
始めのうちは触られることに我慢をしていたとしても、限界がきて
ヴゥゥ!!と唸り出したす・吠えるなどの行動に発展することも
そうすると飼い主さんから「イケナイ!!」などと怒られるとすれば

そうなったとき、ワンコには何の得もなければ、むしろマイナスな出来事として印象に残り、以前にも増して子供が苦手になるかもね

欧米で暮らした経験のあった方から聞いた話ですが「子供も不用意に知らない犬に触らない」どうしても触りたくなった場合は、ちゃんと飼い主の確認をとって、それでも短時間で執拗には触らない、ことを大人から幼少期のうちに教えらえるそうです。全ての子供がそうわけではないでしょうが、そうやってちゃんと大人が教えらえるといいですね。そのためにはまずは大人が犬との挨拶の仕方を知らなくてはね

ちなみに「大人編」「子供編」に共通していますが、犬に触るな!といっているわけではないですよ

③誤解を与えない犬との挨拶の仕方**

2つの動画で、同じ人が対応しても声のトーン・ボリューム・動き方・格好によってワンコの反応がずいぶん変わることを見て取れたと思います

では、あまりよく知らないワンコとご挨拶するときは、どのようにしたらよいでしょうか?
まず人役からご説明します

①ご挨拶する時に、まず真正面からワンコに接近するのではなく
サイドから回り込むように近づきます

これは、犬同士の挨拶の礼儀です
よく知らない犬同士が真正面から直線的に接近することは、とても失礼・敵意があるといった意味を持ちます。初めはお互いの様子を見るために、円を描くように回り込んで近づいていきます。ワンコが人に近づいていく時にも、よくみられる行動です。もちろん飼い主さんやよく知った人、よく知った犬では直線的に近づきます

②適度な距離感を持って立ち止まる

ワンコにとって、その人の手が届く距離
”何かされるかもしれない!”といった不安を強く感じます

そのワンコに、”あなたは大丈夫な人なの?”と確認してもらう時間を作ってあげる
ワンコのパーソナルスペースに入らないということですね

3つのF
●吠える・威嚇する(戦う)
●後ずさる(逃げる)
●飼い主の横や後ろに隠れる(逃げる)
●固まって動けない(固まる)

といったような仕草が見えたら、無理して触るのをやめましょう
回避行動をとっていることを理解しましょう
距離をとって飼い主さんと立ち話をしているうちに
”あれ?この人大丈夫かも?”
そうなってくれるまで待てばよいです

また飼い主さんは、リードを短く持ってその人の距離まで届かないようにすることも必要です。立ち話としている間に
”あぁ・・怖い・・怖い・・・ウガァ!!!”
と、その人に対しての不安が我慢の限界を越して攻撃を仕掛けるというようなケースもよくあります

画像3

③触る時は飼い主さんの確認をとる

これは当たり前ですよね
断られても、不満に思わないで

④手の甲を見せる・匂わせる

まず、ゆっくりとした動きで
手の甲を見せ軽く匂わせました
この時に素早い動き手を激しく動かすと、結構不安感じます

「手の甲」というのにも意味があります
「手のひら」は、体を掴んだりできるということをワンコは日々の生活の中で学んでいます。
ワンコが”何かを掴む”ことができる部位ってどこですか?そう”口”です
ワンコにとって”人の手のひら”は、犬にとっての”口”と同じような意味を持ちます知らない人の口が近づいきたら不安を感じませんか?

⑤体に触れるとき、頭の上から触らない

ワンコに覆いかぶさらないようにします。覆いかぶさるように接すると、それだけでプレッシャーを感じます。
ワンコの角度と直角にならず、体を横むけて手の甲から前胸あたりを触ります
そして嫌がってなかったら、手のひらで優しく前胸を触る。

ここで頭の上から触らない
犬より人の方が大きいですよね。小型犬ならなおさら。頭上から手が覆いかぶさるように降りてきたら、ワンコには不安を感じるので
お互いの関係性が出来るまでやめておきます

画像4

⑥短時間で触るのをやめる

ここまで注意していても、やっぱり少し緊張感があったりもするので
まずは短時間で触るのをやめます

そうすると”この人は自分に危害を加えなかったな
そんな学習が出来るかもしれません

それは、そのワンコがこれまでに学習してきた経験値によって違うことを知っておいた方がよいでしょう

以上をまとめると

【犬の前で、距離を開けて、あまり動かずに、犬に対して何もしないで、飼い主さんとお話しする人】

飼い主さんと楽しそうに話をしている人を
"あれっ?この人だいじょうぶかも?"
仲良くなるまでは、それでよいんじゃないですかね?

また仲良くなれるスピードも早くなりますよ

④飼い主さん側の注意点として

画像5

①まずは飼い主さんが愛犬のどこを触っても嫌悪感を感じないくらい練習しておく

飼い主さんが触って嫌がる場所は、知らない人なら尚更触れないでしょう

②飛びつかないように管理する

・リードコントロール
・オスワリまたはフセマッテの練習
など

③触ってきそうになったら断る、または逃げる
④子犬の社会化の練習なら、むしろこちらからフードあげてもらえませんか?とお願いする

このときひと粒だと、あげた後にワシャワシャが始まるかもしれないから、何粒もあげてもらう。その後に、子犬が楽しそうなら撫でてもらう。そうでないなら抱っこして回避する

⑤それでも触ってきたら、その間は飼い主さんがフードをあげ続ける

しかし触られている間、ワンコが不安な気持ちだったら、フードをあげていたからってその気持ちが帳消しになるとは限らない。喜んでたらそれでよし

画像6

**

⑤「後書き」

正の強化のトレーニングを日本に広めたうちのひとり、イアン・ダンバー博士は
「社会化期のうちに、100人の人と100匹の犬に会わせよう」
と提唱しています

これだけでは言葉足らずなのですが
"知らない人は、自分にとって危険な存在ではない"
という学習をすることはとても大事です。それによって人をみて警戒して吠える必要もなくなります。そのためには触る人がワンコの様子を見極める
ワンワン・リテラシーをあげていく必要があるわけです

辛口なことを書くとテレビなどの影響もあるでしょうが
犬は無条件に人から撫でられることを喜ぶと思ったら大間違いです

犬好きだから、犬も私を好きなハズ、な訳ではない。そういう犬もいれば、そうでない犬もたくさんいる

でもね
犬との接し方を知っている人が増えれば、人を好きになるワンコがたくさん増えることになると思います。そうすれば犬に触る機会も増える。楽しい循環ですよね。

動物に優しく親切で好かれる人というのは
その動物を理解し、上手に対応出来る人

そんな人がたくさん増えるひとつのキッカケになればと、今回はあえて有料記事と非公開アカウントで配信しているような内容を公開しました。

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?