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2014年 日本縦断キャンプツーリング 9日目

2014年5月1日(高知)

故障に居合わせる

朝早く目覚めたので、林間キャンプ場から橋を渡り川沿いを散歩していた。途中にある屋根付きのベンチは携帯の電波が届くので、スマフォで地図の確認をしていると、キャンプ場からバイクのエンジン音がした。神奈川のライダーが出発するのだろうけど、様子がおかしい。気になったのでキャンプ場へ戻ると、バイクから積んでいた荷物を降ろしていた。どうやらキックペダルが壊れていてエンジンがかからないらしい。バイク屋さんに頼むとのことだったのでさっきのベンチまで戻り、スマフォで近くのバイク屋さんを調べて電話番号を教えておいた。しばらくしてバイク屋さんが軽トラで迎えにきてくれていた。神奈川のライダーは「林道で故障するのに比べたら、キャンプ場で故障してくれて助かった。」と言い、軽トラに同乗していった。私だったら壊れたことを嘆いてばかりいたかもしれない。見習わないといけないな…。

森ヶ内林道、中津川林道

通り道にある林道を走って時間があったら次のキャンプ地を探そう。見つからなかったら林間キャンプ場に戻ろう。先へ進む気があるのかないのか疑問に思うほど適当な予定で出発した。近くにある森ヶ内林道を走ると、景色がすばらしい林道だった。森ヶ内林道の途中で中津川林道への入口を見つけ、中津川林道を走る。中津川林道は全体的に走りやすい林道ですけど、たまに荒れた箇所がありキャンプ道具を積んだままでは少し手こずってしまう。中津川林道を抜けて国道を走っていると、自販機を見つけ休憩することに。

森ヶ内林道
久保谷風景林
中津川林道

軽トラのおじさん

缶コーヒーを飲みながらガソリンスタンドがありそうな場所を地図で探していると、軽トラが通り過ぎた。と思ったら、バックして引き返してきた。どうも迷子だと思われて戻ってきてくれたようだ。近くにガソリンスタンドがないか尋ねてみたら、パン屋の近くにあると教えてもらう。どうやら、そのおじさんの妻の実家が鹿児島とのことで、鹿児島ナンバーのバイクだったので気になって声をかけてきたらしい。しばらく郷土話をしていると「早く行くよ」と言われる。「え?」と思わず言うと「パンぐらいおごってあげるから早く準備しなさい」と催促される。状況がいまいち分からないまま軽トラの後をついて行くと、すごくお洒落なパン屋さんに到着した。

ちょうどお客さんが入ろうとしていたところに、軽トラのおじさんが話しかけて会話がはずんでる。店内に入ると「好きなパンをたくさん取りなよ」と言われてパンを選ぶ。その間も定員さんや別のお客さんと話し込んでいる。数点選んで席に座るとコーヒーも頼んでくれて、おいしいパンとコーヒーの昼食となった。食べ終わった頃に軽トラのおじさんは「これあげるよ」と言い、鹿児島名物の「あくまき」を机の上に出した。鹿児島にいる弟さんが送ってきてくれたらしい。子供の頃から大好物なので遠慮せずに頂いてしまった。軽トラのおじさんにお礼を言い、別れた。はずだった。

近くにあったガソリンスタンドで給油をして走っていると、二台の車が止まっていた。一台は軽トラのおじさんで、対向車の軽トラの方と道路上で話し込んでいた。さっきのお礼をして通り過ぎようとしたら、止まるように促されたのでバイクを止める。すると「猪の足だけ落ちているから写真を撮っていきなよ」と言われる。どういう状況でそうなったのか、皆目検討がつかないまま撮ったのはいいけど、なんともグロテスクな写真が撮れた。

人を巻き込むのが得意で友達が多く、人懐っこいおじさん。将来こんな人になれたら楽しそうだな。そんなことを思いながら、再び別れを告げバイクを走らせた。二度あることは三度あるかもと思ったりしたが、その後、軽トラのおじさんに会うことはなかった。

パン屋
イノシシの足

危うく崖下

その後、鈴ヶ森林道へ向かっていると途中でダートを見つけ、どんなところか走ってみようと寄り道してみる。これが間違いの始まりだった…。ダートに入ってすぐ傾斜がきつくなる。キャンプ道具を積んでいるけど、なんとかなりそうだ。そう思い上って行くと、さらに傾斜がきつくなる。それでもなんとか上って行く。さらに進む、、、む、無理。

アクセルを緩めた瞬間、バイクが後退するのをブレーキだけでは止めれなくなった。足をついて踏ん張ってみるも、荷物を積んだ重さに耐えれず止まりそうにない。車体が斜めに下がって行き、このまま後退し続けると崖に落ちそうだ。咄嗟にバイクを倒して止めて最悪の事態は免れた。倒れたバイクを見ると、少し遅れていたら旅の終わりを告げる事態になりかねない、ぎりぎりのところでバイクは倒れていた…。

一安心したのもつかの間、燃料コックからガソリンが漏れている。急いでタンクバッグを外して入れていた荷物を外へ出し、荷台に積んでいる荷物を慎重に降ろして車体を起こした。タンクバックが少しガソリン臭くなってしまったので、しばらく放置して乾くのを待つことに。乾くまでの間にテントとタンクバックなどの荷物を入口に運んでおいた。荷物が軽くなったおかげで引き返すのは楽だ。入口まで戻り荷物を積み「結果こそすべて、助かったんだから気にしてはいけない。」と自分に言い聞かせて、何事もなかったかのように鈴ヶ森林道へ向かうことにした。

危うく崖下
入口まで戻り荷物を積む

鈴ヶ森林道

鈴ヶ森林道は走りやすくて展望が良く、雰囲気のいい林道だった。林道終点に到着しそうな頃に、ナックルガードのネジが飛んで行く。さっきの転倒でネジが緩んでいたようだ。慌てて停車してネジを探すけれど、路肩に積もっている枯れ葉の中に入ったみたいで、なかなか見つからない。

ホームセンターで代わりのネジを買うことにして探すのを諦め、ナックルガードを外しバイクに積んだ。林道を走行するときに木の枝などから手を保護したり、転倒したときにレバーが破損しないように取り付けていたナックルガードですが、思っていた以上に効果があることを気づかされた。風除けにもなっていたんですね。外すと指先が寒くなってつらかった…。

鈴ヶ森林道入口
鈴ヶ森林道

松葉川林間キャンプ場

久万秋橋のあたりで買い出しを済ませ、松葉川林間キャンプ場へ戻ってきた。いつまで経っても進まないぞ、この旅。なんて思いながらテントを張る。ホームシックにかかったのか、進む意欲が大幅に衰えていて、気が向いたら北上しようかなという、ゆるい感じで過ごしていました。

松葉川林間キャンプ場

あとがき

お洒落なパン屋さんの場所ですけど、当時は軽トラについていくので必死だったので分かりませんでしたが、これを書きながら地図を広げて追っていくとツーリングマップルにも掲載されているパン屋さんでした。シェ・ムア(90-D4)。四国カルストから近いので、今度行くときは寄ろうと思います。

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