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ともだちの話

私は友達が少ない。Twitterでフォロワーさん同士で話をしているのを見て「仲良くできてすごいなぁ」と眺めることが多い。なんとなく、輪に入っていけない。輪に入ったとしても、継続ができない。何の話をすればいいのかまったく分からない。
そんな私の、将来を約束したこともある二人の友達の話。

人間関係に対する価値観がドライになった理由

そもそも人間関係に対してひたすらドライである。小学生の頃はわけもわからずいじめに遭っていた。体操着を隠されるなんて日常茶飯事だった。なぜ自分がそんな目に遭わなければわからない日々を過ごしていた。
中学生の頃は仲が良かった友人に裏切られた。その子にずっと相談していた好きな人を、その子に取られたのだ。もはやほぼ他人を信じないレベルに達している。中学三年生のときはまたいじめに遭い、堂々と悪口を言われたし、友人も助けてはくれなかった。
高校卒業間近のある日、当時そこそこ仲良くしていた子にこう言った。「どうせ卒業したら連絡とらなくなるもんだよ」と。するとその子は「そんなことないよ!あたし絶対連絡するから!!」と熱弁した。
案の定、卒業してから一文字の連絡もなかった。一文字も。
「だから言ったじゃん」と心の中で唾を吐いた。
人付き合いがめんどくさい。どうせ裏切られる。誰も信じたくない。ずっとそう思い続けて生きてきた。

ひとりめの友達

「ずっと仲良くなる人は、その人と初めて会った時の記憶が鮮明なままだ」と、何かで読んだことがある。まさにそれだった。
当時私が所属していた部活動の入部希望を伝えに来たらしい。その時がその子に会ったのが最初だ。
ただ、出会いは鮮明なのに、その後どうしてここまで仲良くなったのかは不思議と覚えていない。
気が付けばその子の家に泊まりに行ったり、私の家に泊まりに来たり、あちこち遊びに行ったり旅行をしたり。
初めて出会ったときからもう15年以上が経過している。今でもほぼ毎日のように連絡を取り合っている。とはいっても、本当にくだらない話ばかり。時々お互い変顔を撮って送り合っている。
たぶん、やってることは大学生の頃と変わらない。向こうは結婚して子供もいるのに、お互いに対する価値観がまったく変わらないのだ。
ある時、こんなことを言ってきた。「うちらずっと遠くに住んでるからさ、ババァになったら近くに住んで遊ぼうよ。」なにそれめちゃくちゃ面白そう、と笑い合いながらどこに住もうか考えた。「うちらどうせ10年経っても50年経ってもおんなじことしてるよ。」
たしかに、出会ってから15年以上経った今も、15年前と同じような会話をしている。多分この先もずっと変わらない。
仲良くできる友達って、何も変わらないまま過ごせる人なんだなって、その子から学ばせてもらった。

ふたりめの友達

「社会人になってから、しかもSNS通じてここまで仲良くできる友達ができると思わなかった」とその子は言った。私も同感だった。
Twitter上で共通の趣味があって知り合った子。向こうはフォロワー1000人を優に超える大手だったし、私は100人程度。話しかけたところで記憶に残らないだろうし、その時だけで終わるだろうな、と思いながら時々リプしあうくらいの関係だった。
それが、その子があるオフ会に参加するということで、私も勇気を振り絞って参加。それが初対面だった。ただ、その時はあまり話せなかった。
その後のことはやっぱり覚えていない。本当にいつの間にか仲良くなった。仲良くなるってそんなものなのかな。時々お互いに「なんでうちら仲良くなったんだっけ?」と言っては「わからん。まぁいっか。」となっている。
その子とは今は毎日連絡を取っているわけではないが、時々どうしようもなくくだらない話を突然LINEしたり、お互いの住むところへ行くことがあれば「会おう、そんで泊まらせて」と気軽に言う。
その子も結婚はしているが「もし旦那に捨てられたら東京引っ越すから一緒に住もう」と言ってきたことがある。「なにそれおもろいやん」と言って物件を探したこともある。
いわゆる性的マイノリティに当てはまるが、全然マイノらないその子の生き方が好きだし、一緒にいても「話さなきゃ」というプレッシャーを感じることもない。
なんとなく、空気が合う。仲良くできる友達に必要な要素なのだと思う。

友達?親友?

「うちらってさ、友達っていうか親友?いやでも親友って感じでもないよね。」
友達というには軽い。親友というには歯がゆい。じゃあなんだろう。
「まぁ、うちらはうちらだよ」
いつもその結論に至って議論が終わる。ふたりともだ。
散々いじめられたり裏切られたりしてきたけど、このふたりは私の陰口を叩くこともないだろうし、裏切ることもないだろう。たぶん。
私は友達が少ない。でも、極上の友達がいる。こんな友達なかなか出会えないぞ、と思うほどの。

友達って「作ろう」と意気込んで作るものではなく、気が付いたらいつの間にかできてるものなのだと思う。
これからも友達、できるといいなぁ。

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