【美味礼讃】

仕事から帰ってきた父の食卓で、
キリンラガービールの王冠を開け、
父のグラスに、
小さな手でビール瓶を傾けた。

えっと・・ラベルが上になるように、左手を下に沿えて・・・と。

コフコフコフッ

手が揺れたがなんとかうまくいった。

「ありがとうーー」

父が笑顔で頭をなでてくれた。
今日は、母が風邪で寝込んでいる。
ビールの王冠の裏のコルクを
爪楊枝で取りながら

そうだ！なにかおつまみがいる！

うまくビールが注げて、
ほっとしたのもつかの間

台所に戻って、
冷蔵庫を見渡した。

チーズと、キュウリを見つけた。

料理の名前などないが、
切って、交互に重ねて、
斜めに倒して紺色の小皿に並べた。

どんな顔を、父はするだろう・・

台所を出て、
ダイニングテーブルへ
運んだ。

お！！うれしいねーーーー

父の笑みがこぼれた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

食事は、人生最大の楽しみの一つ！
食事は、心の栄養！

美食と飽食を同じような意味に
捉えられている人も多いですが、
美食って、大食ではありませんよね。

おなかを満たすことが
目的なのではなくて、
心を満たす、とか、
知的好奇心を満たすというのが
美食の目的。

食味学の始祖・ブリア・サバランは、「美味礼讃」のなかで

「一つの新しい料理の考案は、
人類にとって一つの天体の発見に勝る」

と書いています。

例え、チーズとキュウリを切って、
交互に挟んで出しただけでも
小さかった私には、
母親に指示されたわけでもなく
必死で考えたレシピで、

父にとっては、
疲れて帰ってきたときに
娘が一生懸命考えて
思わぬタイミングで出てきて
心の栄養になったレシピ。

だったろうなあ。
と、思いを馳せてみました。

コロナも、
いろんな形でまだまだ続くとき。

より、身体にも心にも、栄養が、
身を守ってくれます。

全てを楽しんで、
身を守って、

あしたも、
美味礼讃を楽んで
参りましょうね～

ゆうゆうの美味礼讃note
はじめました。
✨よろしくお願いいたします

#美食
#楽しむ
#心の栄養
#食べる