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出家した気持ちではなく、息子とより良く生きていきたい

今でも救急車の音を聞くと、時々胸が苦しくなります。

産後19日目の午後、私は息子と救急車に乗っていました。



妊娠中や出産時は全く問題なく、前日まで息子は元気でした。

夜から3時間おきに泣くものの母乳を飲まなくなり、元々カレーや甘いものを食べると飲みが悪かったので、前日に食べたチョコパイのせいかな?と初めは思っていました。

しかし朝には活気がなくなり、産まれた総合病院を受診。まさかこんな形で産後初めての外出をするとは、1ヶ月健診を受けるはずだった病院に行くとは思いもしていませんでした。

息子の体を見た看護師の顔色が変わるのを感じ、慌てて医師が呼ばれ、入院の必要があると言われました。

見せられた胸部レントゲン写真は、産まれたばかりの小さな体の2/3程に大きくなった心臓。素人が見ても明らかにおかしいことがわかりました。

ここでは診れないと言われ、バケツの水をひっくり返したかのような大雨の中、医師と看護師が同乗した救急車でより専門的な病院に向かいました。



病院に到着するとすぐに処置が始められ、長椅子で待つよう言われました。夫も駆けつけ、無言でただ祈るように待つ時間。


その間私はずっと同じ事を心の中で繰り返していました。

『神様、仏様、八百万の神様。

どうかこの子をお助けください。

私は今この子を失ったら、生きていくことが出来ま…(自分で命を絶つことはしないと決めているので、生きてはいきます)

私は今この子を失ったら、俗世で生きていくことは出来ません。

でも私は出家したくはありません。

この子と共に生きていきたいです。

出家した気持ちでこの子を育てていくので、どうかこの子をお助けください』

『神様、仏様…』とずっとずっと繰り返し祈り続けました。


しばらくして処置室に呼ばれると、小さな体には人工呼吸器が着けられ、体中にたくさん管が繋がれ、さっきまでの息子の面影はなくなっていました。

まだまだ油断を許さない状況だし、難しい検査の同意書にたくさんサインを求められ、原因もわからない状況でしたが、息子の命は繋がりました。



その日から私は出家した気持ちで息子と共に歩みました。

突然息子と離れ、産後のボロボロの体で毎日病院に通い。息子は側にいないのに、夜もタイマーをかけて泣きながら搾乳。

息子と一緒に入院出来るようになってからも、柵のついたシングルベッド上でストレスフルな生活。退院してからも安心なんて全然出来なくて。

どんなに辛くても、『私は出家した身だから』と思うことで、グッと堪えることが出来ました。



少しずつ私の中で気持ちが緩くなり、1歳を越えたら安心だよと言われていたはずなのに。

1歳の誕生日を迎えた直後に再び心不全を起こし、再入院。

ずっと息子の機嫌が悪くて、私自身が限界で『休みたい』と思っていました。家作りも進行していたので、夫の休日に休むことも出来ませんでした。

再び息子と離れた生活を余儀なくされ、『私が休みたいと思っていたからだ。こんな風に休みたいわけじゃなかったのに』と、自分を責めました。

今度はコロナも流行しており、1年前より大変な入院生活でしたが、そこからまた出家した気持ちを引き締めました。



息子は生きているだけで奇跡だ。


その想いから、とにかく身を粉にして息子に全力で尽くしました。

息子と一緒に過ごせることは幸せだったけど、私の体も心もボロボロになり、常に追い詰められていたのかもしれません。

息子はここにいるだけで奇跡なんだから、幸せだって思わなくてはいけないと思っていたかもしれません。

もっと大変な人もいるんだからと自分にムチを打っていたかもしれません。




2歳の誕生日後から息子と一緒に整体に通うようになりました。程なくしてnoteも始めました。

整体に通うことで、ガチガチだった私の体や心が解れてきて、それまでいかに無理をしてアドレナリンばかり放出していたかに気付きました。

そして私がリラックスしたり、楽しんでいる方が息子も楽しそうだし調子も良さそうなことに気付きました。

私が必死にこうしなきゃとやっていたことは、むしろ逆効果だったのかもしれません。


休みたい時には無理せず休んで、一緒に早く寝て、無理に散歩に行かなくてもいいし、ごはんも作らなくてもいい。

あの頃はあの頃で精一杯だったからそれがベストだったと思いますが、今はもう違うって気付いてしまいました。

神々に出家した気持ちで子育てするって誓ったし、出家の定義はよくわかりません。

でもこの子と一緒に生きていきたいとも誓いました。

息子にとってより良い生活を送れるに越したことはないと思うので、そちらを優先したいと思います。

私が心地よく楽しく過ごすことで、息子も一緒に幸せになると信じています。

きっと神々は寛大でしょう。



私は極端な例かもしれませんが、普通に子育てしている方の中にも母親になったのだから、子供がいるからと自己犠牲的に子育てしている方もいるのではないかと思います。

でもきっと違います。

ママが心地よく笑顔でいられる方が、子供も幸せです。


子供はママを幸せにするためにやって来てくれるそうです。

息子は頑張り過ぎてしまう私に、頑張らなくても良いんだよ、そのままで良いんだよ、居るだけで良いんだよ、もっと自信持ってねと私に伝えに来てくれたのでしょうか。


すでにだいぶ緩んでいましたが、私の出家した気持ち。それよりも息子と一緒により良く生きていくことを大切にしたいと思います。


前に下書きしたままだった記事、自己犠牲を手放すついでに出家した気持ちも手放したいと思います。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございます(*^^*)




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