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「由流里ハウスは今日もほっこり」ー由流里ハウスの週末ってどんな風?

週末の朝、コアラのココはいつものように、せっせと家事に励んでいました。今日はみんなの掛け布団やブランケットを干す日です。ココはシェアハウスで一番家事が得意で、細やかな気配りが大の自慢でした。

「よーし、今日はふわふわモコモコにするぞ~!」と、洗濯物の山を見上げながら、ココは鼻歌を歌いました。その小さな手で、大きな掛け布団を肩に担ぎ、物干し竿に一枚一枚丁寧に掛けていきます。

「ココ~、干すの手伝おうか?」と、リビングからシカリンが顔を出しました。鹿のシカリンは、性格が几帳面で頼りになるのですが、いかんせん背が高いのが難点です。掛け布団を持ち上げて干そうとすると、物干し竿がバキッといってしまいそうで、ココは慌てて断りました。

「あ、大丈夫です! シカリンはリビングで休んでてください。これ、コツがいるんですよ」とココが言うと、シカリンは「うん……でも、ちゃんと布団が飛ばされないようにピンチで留めた方がいいですよ!」とだけ言い残して、大人しく引っ込んでいきました。

そうこうしているうちに、ウサギのリリィが眠そうな顔で階段を降りてきました。朝の光を浴びたリリィの耳が、ほかほかと柔らかそうに揺れています。

「おはようございます……ココ、今日は何してるんですか?」とリリィ。
「おはようございます! 今日はみんなの布団を干してるんです。ふわふわのふかふかにするから、楽しみにしててくださいね!」

リリィは「へぇ~」と感心しつつも、まだ眠たげな様子で、そのままリビングのソファにぽすんと座り込みました。どうやら、目が完全に覚めるにはもう少しかかりそうです。

午後になり、段々と陽射しが強くなりました。
外で干していた布団やブランケットをココは一枚ずつ取り込みました。「うーん、今日もいいお天気でよかったです! これならみんな気持ちよく眠れますね」とご機嫌なココ。
強くなった直射日光から生地が傷むのを防ぐために取り込んだ布団やブランケットをリビングの日向に広げて仕上げに干していました。

そのころ、リビングではリリィが、なんとなく外を眺めたり、ソファでごろごろしたりしていましたが、ふわりと漂う陽だまりの匂いに吸い寄せられるように、広げられた自分のブランケットの上にちょこんと腰を下ろしました。

「……ふぁ~、あったかい……」

次の瞬間、リリィはごろんと横になり、そのままうとうとし始めました。お日さまとモコモコの感触に包まれて、どうやら夢の中へ出発してしまったようです。

「ココ、全部取り込んだんですか?」と、ちょうどやってきたシカリンが尋ねました。
「はい! 今リビングで仕上げに干してるところなんですよ」とココが振り返ります。

しかし、次の瞬間、シカリンの顔が少しだけ心配そうに変わりました。リビングの中央には、広げられたブランケットの上で気持ちよさそうに寝ているリリィの姿があったのです。

「ちょっとリリィ……! ココがせっかく干してくれたのに!」シカリンは耳をピンと立てて言いましたが、すぐに眉をひそめました。
「ブランケットシワになりますよ!あ ならないか。でも 湿っちゃいますよ!」

「あ、本当ですね。でもリリィが寝てるの、自分のブランケットの上だから、まあいいんじゃないですか?」とココは笑いながら肩をすくめました。

「でも……」とシカリンはまだ納得がいかない様子でしたが、ココはクスっと笑いました。
「リリィらしいじゃないですか。気持ち良さそうー。陽だまりとブランケットの誘惑には勝てないんですよ」

その言葉にシカリンは「それは分かりますけど……」と唸りながら、リリィに近づきそっと声をかけました。
「リリィさん、そんなところで寝てると、ブランケットが湿っちゃいますから起きてください~」

しかしリリィは目を閉じたまま、耳だけをぴくんと動かして、寝ぼけた声で答えました。
「……ふわふわだから……だいじょうぶですぅ……」

その答えにシカリンは少しだけあきれ顔を見せましたが、どこか呆れたような、ほっとしたような表情に変わりました。仕方ないなあ、というような声で「じゃあ、せめてこれでも掛けててください」と、リリィの体にそっと別のブランケットを掛け直してあげました。

「ココさん、せっかく干してくれたのにこんなことになっちゃいましたけど……まあ、リリィさんが幸せそうだから、よしとしますね」とシカリンが苦笑いで言いました。

ココは「ですよね!」とにっこり笑うと、そっとリビングの隅に腰を下ろしました。目の前では、ふわふわブランケットにくるまれて丸まるリリィと、それを見守るシカリン。日向の匂いに包まれたリビングに、小さな幸せの空気が流れているようでした。

そのとき、リリィが寝ぼけた声で「……シカリンさん……ふわふわ……ありがとう……」とつぶやくのを聞いて、ココもシカリンも思わず顔を見合わせて笑ってしまいました。
やっぱり、由流里ハウスはこういう日常が一番いいな、とココは改めて思いました。

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