ギリシア人の物語と、サピエンス全史。

年明けに、作家・塩野七生さんと政治家・小泉進次郎さんの対談を月刊文藝春秋で読みまして、塩野さんの著書「ギリシア人の物語」に興味を持ちました。

電子書籍版で、さっそく「ギリシア人の物語1~民主政のはじまり」「ギリシア人の物語2~民主政の成熟と崩壊」を読んでみました。
著者も前書きに書いている通り、ギリシア人の行跡をたどる物語です。それゆえ、カンタンに要約できる内容ではありません。ただ、個人的に印象に残ったのは、寡頭政のスパルタではエフォロスが、民主政のアテネではデマゴーグが、猜疑心や扇動によって国をあらぬ方向へ導いてしまったこと。また、隆盛を誇ったアテネがシラクサ遠征軍の全滅などによって、自ら衰亡を早めていったこと、などです。
今の日本は下り坂の時代に見えるので、やや悲観的な読み方をしてしまったのかもしれません。。

国家レベルで何かを語れるほどの実績や経験は私にはありませんが・・チームや個人なら、自分から崩れず踏みとどまり、持てる力を要所にたたき込めば、案外と活路は開けるのにな~とも思います。

さて、最終巻の「ギリシア人の物語3~新しき力」を読もうとしたら、紙の本は出版されているものの、電子書籍版は4月27日にならないと読めないことが判明。ハードカバーの分厚い本を通勤の行き返りに持ち歩くのは、いささかキツイです。

そこで、各方面で絶賛されていた「サピエンス全史~上下合本版」を電子書籍版で読むことにしました。歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が、最新の知見をもとに、人類がこれまでたどってきた道のりと、最後はこれからの展望を語ります。
個人的には、農業革命が人類に与えた影響は大きいのかな~と思っていたのですが・・著者は(農業革命よりずっと早く)約7万年前、人類に「認知革命」が起こっていたと説きます。神話や物語などの(広い意味での)虚構を共有して、多数が力を合わせて行動できるのが、ホモサピエンスの強みであると。
認知革命による集団の力により、ネアンデルタール人など他の人類種を駆逐して、ホモサピエンスだけが地球全土に勢力を広げていったようです。

いささかショックだったのは、サピエンスがオーストラリア大陸に到達した4万5000年前や、アメリカ大陸に到達した1万4000年前に、大型の陸上哺乳動物の大量絶滅が起きていること。
石器時代の技術でさえ大量絶滅を引き起こす、著者の言葉を借りれば「人類は地球という惑星の歴史上で最も危険な種」なのかもしれません。

自分なりに整理してみると、
狩猟採集期における認知革命 ⇒ 農業革命 ⇒ 工業革命 ⇒ 情報革命を経て、現代に至ります。
核戦争や環境汚染によって自滅することなく、私たちサピエンスは未来に進んでいけるのか? 生命工学やサイボーグ技術、人工知能などの発達により、サピエンスを超える人類種が設計・創造される日がやってくるのか? サピエンスを超える人類種は、サピエンスからどんな「文化」を引き継ぐのか?

過去~現在~未来と大きくうねる潮流の中で、私は一滴の水に過ぎません。それでも、ほんの少しでも未来に提示できるプラス材料はないものかと考え込んでしまいました。

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