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「補助金採択された」→2年後「1円も貰えなかった」|事業再構築補助金の実話

皆さんこんにちは!起業・創業コンサルタントのようしゅう|中小企業診断士です。

事業再構築補助金12次締切が7月26日(金)と締切りまで3週間を切りました。申請をご検討されている方は、現在、事業計画書を進めているところかと思います。

しかし、補助金は採択されたからと言って、必ずしも全額貰えるとは限りません。この点を頭に入れながら事業計画書を作成しないと取り返しのつかないことになってしまいます。

本日は、私が実際に聞いた「補助金に採択されたけど、補助金が1円も貰えなかった」というケースをご紹介します。


「助成金」と「補助金」の違い

そもそも「補助金」というのは、申請した人が必ずしも貰えるものではありません。

混同されがちなもので「助成金」と名の付くものがあります。

助成金は決められた要件に当てはまれば基本貰うことができます。
厚生労働省が実施している雇用関係は「助成金」が多いです。

コロナ禍で皆さん活用された「雇用調整助成金」や「業務改善助成金」などがそれに当たります。 

 
一方「補助金」の場合は、要件を満たした全ての人が貰えるかというと、そうではありません。

補助金は、助成金に比べて、貰える金額が大きい代わりに、事前に審査があるのが特徴です。
 

特に、補助金は国が出すお金ということで、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション、省力化など、国が掲げている大きな方向性に則った事業計画書の方が採択されやすい傾向にあります。

審査がある補助金で近年よく使われるのは、中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金等)と、事業再構築補助金になります。

予算編成が変更になった関係から、既にものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金については、今年度公募が終了しています。

そうなると、今年度補助金活用を考えていた人は「事業再構築補助金」に賭けるしかないような状況になっています。
 
 

「採択=補助金貰える」ではない!??

補助金は、事前に事業計画書を作成・提出し、事務局の厳しい審査を経て2~3ヶ月後に「採択」or「不採択」が決定されます。

直近の「ものづくり補助金(18次締切り分)」では採択率が35.8%と低下し、約3件に1件しか採択されない狭き門になってしまいました。

また、前回の事業再構築補助金も26.4%とかなり低い採択率になっていたので、今回も厳しい採択率になるのではないかと予想しています。

(個人的には30%をちょっと超えるくらいではないかと思っています。)

 
この狭き門を突破し、採択された人にだけ補助金が貰える〝権利〟が与えられます。
 

え?権利…?採択されたら補助金が貰えるんじゃないの?

そんな風に思った方がいるかもしれません。

そうなんです、「採択=補助金が貰える」ではないのです。

「採択」というのは、あくまで〝仮免許〟のようなものであり、「この事業計画なら補助金を出す価値がある」と言われているような状態です。

下図で表すと「③補助金交付候補者の採択通知」となっている段階です。
 

ご覧の通り、補助金を貰うまでには⑧段階ありますので、③補助金交付候補者の採択通知は序盤戦であることが分かります。

補助金制度は大きく分けて3つの鬼門があります。

③補助金交付候補者の採択通知
④交付申請
⑥確定検査(交付額の確定)

第一段階の③補助金交付候補者の採択通知は、事業計画の審査です。

第二段階の④交付申請は、見積書(対象経費)の審査です。

第三段階の⑥確定検査(交付額の確定)は、実際に支出した経費の審査です。

 

交付申請でよくある否決パターン

事業計画が採択されたからと言って、油断してはいけません。
なぜなら、交付申請で「経費が全く対象にならない」ということも起こり得るからです。

その最たる例が「建物費」です。

事業再構築補助金では、ある時から「建物の新築に係る経費は原則対象外」となってしまいました。

それまでは、新築であっても普通に交付申請が通っていたのに、ある時を境に変更され、どうしても新築で申請したい場合は「新築の必要性に関する説明書」を提出してください。となりました。

逆に言えば、「新築の必要性に関する説明書」を提出しさえすれば、認められるのではないか?と甘く見て、申請経費を提出した案件を何度も見たり、聞いたりしました。

その結果は……

ことごとく惨敗(経費に認められない)しています。


唯一、新築で申請経費として認められたのは、花火屋さんの建物でした。
 
花火屋さんの場合は火薬を扱うため、危険区域が定められており、その場所でしか建てることができないという理由でした。

それくらい、「他にどうしようもない」という理由でなければ、認めないということです。
 
 

こんなパターンもあります

それ以外にも「え、そんなことあるの?」っていうパターンもお伝えしたいと思います。

<相見積が取れないパターン>

事業再構築補助金の交付申請では、相見積書(50万円未満除く)が必要となります。

この相見積書についても先ほどの新築建物と同様で、よっぽどのことがなければ、「相見積が無い」という状態は認められません。

例えば、「他にこの部品を製造しているところを知らない」という言い訳は一切通じません。

認められるのは「特許権を取得している技術で、他には製造できない」というくらいです。

つまり相見積が取れないと、対象経費として認められないわけです。

では、こんなケースはどうでしょうか?

☑フランチャイズチェーンに加入するため、設備等一式をフランチャイザー(フランチャイズ本部)から購入する。

この場合、フランチャイザーが独自に築き上げてきたノウハウや設備を導入することになるため、相見積が取れないのも当然かと思います。

心の中でこんな言葉を言いたくなります。
 

それって、そのフランチャイズのビジネスモデルありきで、事業計画採択してますよね?
 

しかし、事務局にはそんな言い訳は通用しません。
 

「相見積書を取得して下さい。取得できない場合、対象経費に認められません。」という謎の論理を言われます。

実際に相見積書が取れずに、認められなかったケースも私は見ています。
 
 

これは泣ける…実績報告で〝ちゃぶ台返し〟

先ほどの話で「交付申請ってそんな風になってるんだ…」と思った方も多いと思います。

しかし、これは事前に言ってくれるだけ、まだマシかもしれません。

タイトルにもある通り、私が見たケースで…
 

「補助金採択された」 → 2年後「1円も貰えなかった」
 

という恐ろしいことが実際に起きていました。


 

それは事業再構築補助金が始まって少し経過した2~3次締切りくらいの出来事です。

「お寿司屋さんのテイクアウトカウンター設置」という当時、コロナ禍でよく見た案件です。

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