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#52 「先発選手」を決めるのは簡単!?

2021年4月10日の放送です。

この日はサッカーのお話。
11人の先発選手を決めるのは簡単だよね。っていうお話です。

11人で戦うというルールの中で

仕事っていうのは、11人の荷物を20人で運んでもいいんですよ。
そうじゃないですか。人数規制もないので。
90分っていう時間制限もないわけで。
17時に間に合わせないといけない仕事だったとしたら
朝4時から始めればよいわけで…。
それを5人でやってもいいから、
仕事ってルールチェンジができますよね。
同じ11人同士で戦わないといけないっていう
ゲームルールではないですよね。
サッカーは、どれだけ選手が頑張って、普段
一生懸命練習してくれていても
どれだけいい選手の数が多くても、
試合に出れるのは11人しかいないんですよ。
そういう中で11人の先発選手を決めるのって
大変じゃないですか?って言われるんですけど
11人の先発選手っていうのはロジカルに決めやすいんですね。
相手の分析をして、自分たちの分析をして
選手たちの一週間の調整とか
キャリアとか、周りとの組み合わせとかを
論理的に見て11人を決めればいいから、
複雑性はないんですよね。

石原孝尚談

選手たちはその1試合のために生きているわけではないんです


でも、その11人に選ばない選手を決めるのが僕はめちゃくちゃ大変なんですよ。
どういうことかって言うと、
選手たちって、自分たちの強みを信じてとトレーニングをしてくれているわけじゃないですか。
やっぱり、試合に勝つことがオレらの目的なんだって言えば11人がチーム代表なんだからそこに入れるように頑張ってくれって言えばいいだけなんですけど、選手たちにはサッカーキャリアとか、サッカー人生っていうその後も続くゲームを戦っているわけなんですよ。
その1試合のために生きているわけではないんです。
そういうことで言うと11人分の90分っていう時間っていうのは、彼ら彼女らにとったらめちゃくちゃ貴重な時間じゃないですか。
監督の立場、チームの立場としたら、試合に勝つっていうことはあるんですけど選手たちの目的からすると、サッカーのキャリアを高めたい、自分を成長させたいっていう目的も同時にある中では、その試合に出れないっていうことはやっぱり、プラスになってないじゃないですか・・・・。
機会が逃されてしまうので。

サブスティチューションの選手たちの幸せとは


なので、「外す」選手たちのことを考えると、この試合を勝つためってだけで考えるのは監督の論理であって、選手からしたら、「いや、私の方が足が速いよ」とか「オレの方が技術あるよ」とか思っているんですよね。だからほんとにその11人から外す選手のこと、もっというとサブスティチューションっていうね、サブの選手が7人っていうね、その7人からも外れたらその試合に対してはノーチャンスになっちゃうんですよね。
でも、逆に言うと、出れないとなると、前の日の練習がめちゃくちゃしっかりできたりするんですよね。疲労をためられるので。
でも、サブの選手っていうのは誰かがけがをしたら87分とか試合に出るかもしれないんですよね。そういう意味では先発選手と同じ準備をしておかないといけないんですよね。そうすると、前日の練習の負荷を下げざるを得ないということが起こるんですね。
だから、試合に出られるかわからないのに、思いっきり練習できないっていうことになるんですよね。
だから7人に入れるかどうかっていう視点では、サブには入れたらOKっていうことでもないんですよね。
若手の選手だと、前日練習してもサブにおいておいても元気なんですよ。
サブにも置けるし、選ばないこともできる。
でも、ベテラン選手ってそういうわけにはいかないんですよね。

選手たちにどう伝えるか

そんなことを考え始めると、メンバーは選手に発表する紙を持って、発表するギリギリまで悩んでいるんですね。
いつ選手に伝えるかっていうのも繊細な問題で…。
僕は、試合前日の練習が終わったタイミングで伝えるんですけど、伝え方も先発選手まで伝えちゃうパターンと、18人を伝えるパターンとあって。
INAC神戸って言うところで監督をしていた時は、メンバーを紙に書いて貼りだしていたんですよ。レッズの時は口頭で伝えていたんですけどね。
ベテラン選手がいるかとか、色々考えて。
何が正解ってわからないんですけどね。
その時のチームの状況や選手の年齢とか色々考えて。
ベテラン選手や、いつも出ている選手を外す時は、練習前に伝えるようにしています。ゆっくり話さないといけないから。
なんでかって言うと、いきなり切られるわけですよ。全体発表だと。
心の準備ができないんで。選手の想いもあるので、練習前に呼んで。明日の試合はっていう話と理由を説明してから、全体に伝えるんですね。
特別扱いっていうのではなくて。
ひとりひとりの状況があるので。

11人に選ばれたとしてもOKということではなくて。
その試合が優勝がかかっているような試合で初先発だったりすると
すごいプレッシャーがかかるんですよね。
そこに期待をするのか、そこでつぶしてしまうのかというところまで考えて決めるということを思うと、やっぱり11人を選ぶことも大変ですよね(笑)

それだけ、監督やリーダーっていうのは一つの視点だけじゃなくて、色々な視点をもって決めているっていうことを今日は伝えようと思ってお話してみました。             

人事異動の時、こんなに考えてくれた上司に私はまだ
出逢ったことがないな~・・・
と思う、元サラリーマンでした。

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▶石原孝尚(Ishihara Takayoshi)
▶︎経歴

2003年 筑波大学大学院 体育研究科 健康教育学専攻 修了
2003年 前橋育英高校 保健体育教師、サッカー部コーチ
2005年 帝京高校 保健体育教師、サッカー部コーチ2009年 吉備国際大学 スポーツ社会学科 助教
2012年 INAC神戸レオネッサ コーチ / U18監督
2013年 INAC神戸レオネッサ 監督
2014年 Sky Blue FC (アメリカ女子プロリーグ) コーチ
2016年 浦和レッズレディース コーチ
2017年 浦和レッズレディース 監督
2018年 Melbourne City FC Ladies
(オーストラリア女子プロリーグ) コーチ   
株式会社 Brilliant Future Consulting設立
2019年より、企業研修、サッカー解説など幅広く活躍
2021年企業研修実績・JR東海 ・株式会社イオン ・豊田通商株式会社 ・株式会社マネーフォワード ・株式会社NTTデータウェーブ等

▶詳細 
愛知県出身。金沢大学を卒業後、筑波大学大学院に進学。U21男子日本代表や女子日本代表スタッフとして活躍。大学院ではコーチングとともに健康教育学も専攻し修士論文のテーマは「母親のメンタルヘルス」。卒業後、前橋育英サッカー部コーチになり元日本代表細貝萌や田中亜土夢を指導。帝京高校ではプロ野球ソフトバンク中村晃や日ハム杉谷拳士、阪神原口文仁を教員としても指導。サッカー部コーチとしては清水エスパルスの大久保拓生や2021年ルヴァンカップMVP選手名古屋グランパスエイトの稲垣祥など多くのプロ選手も育てている。(稲垣祥選手から自分に影響を与えた指導者として選出)。新宿歌舞伎町ホストで有名なROLANDも帝京高校時代の教え子。大学教員を経て、INAC神戸の監督として、澤穂希や川澄奈穂美などを率い、チームを史上初の四冠に導く。その後アメリカに拠点を移し、アメリカ女子プロリーグのコーチに就任。アメリカ代表キャプテンとして代表出場311試合のレジェンドChristie Ramponeなどアメリカ、オーストラリア、カナダ、デンマークなどの各国代表選手たちを指導。高い評価を得ていた。帰国後、浦和レッズレディースの監督として若きなでしこ代表たちを指導。2018年11月よりオーストラリア女子プロリーグMelbourne City FC Ladiesのコーチとして活躍。同年株式会社 Brilliant Future Consultingを設立。現在、オンランスクールHappyFirstSchool 及び College 主宰。
 講自治体アドバイザーとして、岡山県高梁市:人口3万人の町にスターバックスを誘致、株式会社eumo代表新井和宏さんのお金の授業を実施するなど自治体アドバイザーとしても活躍)
   サッカーコーチ・アドバイザー・サッカー解説・企業研修講師など。岡山県高梁市の企画交流アドバイザー、岡山理科大学経営学部招聘教授として、企業研修や講演などでも活躍。


▶HappyFirstとは・・・

女子サッカーINAC神戸4冠、浦和レッズL元監督、米プロチームコーチ
石原孝尚(https://happyfirst.co.jp/profile/)氏が大切にしている、「ひとりひとりを大切に想う」というコンセプト。