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MBAデザイナーのnakayanさんが教える光回線の不具合原因特定方法

MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ:2018年4月30日付


2017年11月13日付のITproの記者の眼には、「遅くて使いものにならない」という光回線への声、定額制も限界かと題し、次のような記事が掲載されておりました。

(以下、記事内一部転載)
 あまり話題になっていないが、インターネット接続事業者(プロバイダー)の提供する光回線サービスが「遅くて使いものにならない」という声が一部で出ている。「モバイル回線のほうがまだまし」とさえ言われるほどだ。規格上の通信速度で1Gビット/秒をうたったサービスが主流となっているにもかかわらず、何が起こっているのか。

 同現象は、NTT東西の「フレッツ光」を使ったプロバイダーの一部サービスで起こっている。NTT東西の基幹網「NGN(次世代ネットワーク)」とプロバイダーを接続するネットワーク機器(網終端装置)が恒常的な混雑状態に陥っているのだ。顧客の新規獲得を抑えることで対処しているプロバイダーもある。

 この問題はNTT東西が設けた網終端装置の増設基準に起因しており、総務省の有識者会議が年内にも一定の結論を出す見通し。筆者が気になっているのは、その先の展開である。プロバイダーはトラフィック増加に長年苦しんでおり、これまでなんとかしのいできた。だが、いよいよ限界を迎えそうなのだ。「あと2、3年も持たないのではないか」「最後は従量制に切り替えるしかない」といった悲痛の声が聞こえてくる…

僭越ながら、記事の内容を拝読した上での『大手通信会社にて光回線のカスタマーサービス窓口の中の人』の経験を持つ、nakayanさんの見解を以下にて述べさせて頂きます。


1.光回線の不具合には先ず、故障なのか設定の問題なのかの原因特定が不可欠

ITproに掲載されている記事の内容は、通信速度が遅い場合において、ISP(Internet Service Provider)要因であると特定できた場合に当てはまる記事であると言えます。通信速度が遅いという状況下において、先ず考えられる要因は大別して2つあります。
「通信設備や故障の問題という物理的側面で速度が遅くなっているケース」、或いは、「屋内ルータからPCまでの設定の問題(設定の問題のみならば設定を変更すれば直ぐに改善します)」なのか。

前者の「通信設備や故障の問題という物理的側面で速度が遅くなっているケース」においては、考えられる要因は更に大別して3つあります。
「ISPの問題」、「NTT通信網(NGN網)の問題」、「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」。この3つの中から、後者の2つ「NTT通信網(NGN網)の問題」、「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」ではないと断定できて始めて、「ISPの問題」であると特定することが出来ます。

昨今では、「ISPの問題」による通信速度の低下と同等に「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」であるケースが多くあります。「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」とは具体的には、屋内においてWi-Fiルータを使用する家庭が増加したことにより、Wi-Fi電波の混線が起きているケースです。Wi-Fi電波には2.4GHzと5GHzがありますが2.4GHz利用の場合は周囲の電化製品やBluetooth などの電波から干渉を受け速度低下や電波の途切れを招くことが多々あります。ユーザーの心理として、電波が途切れやすくなっている事象に対して、速度が遅くなっていると感じるケースも多々あります。つまりは、一度電波が切れ、通信が再構築されるまでに時間がかかることで速度が遅く感じるということです。Wi-Fi電波の周波数帯である、2.4GHzと5GHzには双方に夫々のメリットとデメリットがあり、簡単には2.4GHzは干渉を受けやすいが柔軟性がある電波、5GHzは干渉を受けづらいが柔軟性がありません。最近は、5GHzの方がいいのだという思い込みが強いユーザーが多くいますが、利用環境に応じて利便性が異なるため必ずしも一概にどちらがいいとは言えません。


2.「ISPの問題」であると特定する具体的な方法

「ISPの問題」であると特定する具体的な方法としては、「NTT通信網(NGN網)単体での速度(ISPを利用しない際の速度)」と「ISP設備(網終端装置)を経由した際の速度」の違いを比較することで、始めて「ISPの問題」と特定することが出来ることになります。
この速度測定は、NTT東西が利用者に向けてサイトをオープンしていますので簡単に測定することが出来ます。但し、IPv6での速度測定ならばセッションなしで測定できますが、IPv4での速度測定する場合はNTTが独自に指定するセッションを張る必要があります。このセッションの張り方は少し調べればHPなどに記載されていると思います。


3.「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」があるか否かを確認する方法

「屋内環境の問題(ルータからPCまで)」があるか否かを確認する方法としては、ルータにLANケーブルでデバイスを直結した際の速度に問題がないことを確認することで、屋内環境の問題であると特定できます。LANケーブルは長さによる速度劣化はありませんが、規格により最大速度が異なります。古い規格、例えばCAT5では最大で100Mbpsしかでません。加えて、PCのLANボードの規格も同様であり、古い規格の場合は最大で100Mbpsしかでません。仮に、NGN網の契約が1Gbpsであったとしても屋内速度(リンク速度)の最大値が100Mbpsであれば、ベストエフォートであったとしても100Mbps以下しかでません。Wi-Fi利用の際は、LANケーブル直結の際の速度から1/5程度の速度が出ていれば妥当であると言えます。


NTT通信網(NGN網)の問題

NTT通信網(NGN網)の問題の場合、基本的には速度の遅さを感じる以前に、インターネットや光電話が利用出来ませんので故障か否かの判断は付きやすく、NTT側に連絡をした上で工事担当者による対処が必要になります。この場合は、どこの設備に故障が生じているかの特定は、NTTの現場工事担当者しか不可能です。NTTの設備故障の場合は、利用者のエリア一帯に影響を及ぼすことが殆どですので、NTT東西のHPなどで告知されていることが多くあります。深夜などに実施され一時的に利用不可となる定期的な点検や設備増設のケースなどによる通信不可のケースもありますので、注意が必要です。この場合は点検や設備増設が終了すれば自然と通信は回復します。


故障の問題なのか、設定の問題なのかの具体的な見極め方法

5-1. IPv6アドレスが取得できているのか
ネットワーク接続の詳細などから、IPv6アドレスを確認し、「2001:~」などときちんと取得できていれば、基本的には回線に問題はありません。「fe08:~」などとなっている場合は、回線に問題があり取得が出来ていません。(※稀に設定が異なるために、「fe08:~」となり、回線が繋がっていることもあります。)


5-2. HGW(ホームゲートウェイ)を通さずに広帯域接続を実施してみる
インターネットというものは、基本的には自宅にあるHGW内臓のルーターとISP設備にセッションを張ることで、通信が確立します。仮にHGWに何らかの問題があった場合は、セッションを張ることが出来ませんので、ISP設備とPC間で直接セッションを張る広帯域接続を試してみることで、回線側の問題なのか、或いは、ルータの問題なのかなどと原因特定が可能になります。


5-3. ローカルエリア内のIP振り分け状況を確認してみる
ネットワーク接続の詳細やipconfigなどから、ローカルエリア内におけるIPの振り分け状況を確認してみます。先ず、IPv4はDHCP有効になっているのか、IPv4アドレス、IPv4サブネットマスク、IPv4デフォルトゲートウェイ、IPv4DHCPサーバー、IPv4DNSサーバーなどに異常値がないかを確認します。よくあるケースとしては、NTTルーターの下部にメーカーのルーター(BUFFALOなど)を接続して使用することで、下部のルーターのDHCP機能の方が優位に働いてしまい、IPの振り分けに異常をきたしているケースが多々あります。この場合は、ルーターの電源を入れる順番に問題があったり(基本はNTTルータが一番最初、その後メーカーのルーター電源を入れる)、接続状況に問題がある場合があります。見極め方法としては、DHCP機能を一時的に無効にして、IPアドレスを固定してみることで、どこに問題があるのかの特定に繋がります。DNSサーバーに問題がある場合は、URLをIP変換して、直打してみることも見極めには有効です。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

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