『つねならぬ話』の感想
星新一さんの『つねならぬ話』は、以前も読んだことのある本ですが、まったく覚えてなかったので、また読んでみました。
どのお話も不思議であり得ないことが起こるのですが、何か本当にあったんじゃないかというような気持ちになるから、面白いです。
いろいろなお話の中でも、ささやかれた物語の『竹』が印象に残りました。
『竹』では、新しく領主になった男が前の領主の息子を見張りやすく、逃げにくい場所に監禁するよう命じますが、その場所の周りに竹が生え始めます。
竹はどんどん増えていき、竹の向こうが見えなくなってしまいます。
食料を届ける役人がいうことには、竹の向こうはとても過ごしやすくなっているそうで、前の領主の息子は良い感じの若者に成長しているらしいことを聞きます。
そこで、美人の腰元をスパイとして送り込むけれど、帰ってきませんでした。
ほかの人間も送り込んでみても、心配ないとの答えが返ってくるばかりで帰ってこないのです。
不思議な竹林は、新しい領主がいなくなっても成長し続けている、というお話です。
竹林の中で、何が起こっているのかが一切書かれていませんので、とても気になります。
過ごしやすくなってるし、食料の心配もなさそうな竹林の内側は、俗世から離された世界になっている様子で、もしかしたら桃源郷のようになっているのかもしれません。
入っても出てこられそうだし、一度行ってみたいと本気で思ってしまいました。
星新一さんの物語は、SFがメインのためあまり和のイメージがなかったんですが、『つねならぬ話』には平安時代のお話もあったり、昔の日本っぽいお話も多くあり、星新一さんの和のお話も良いなぁと思いました。
軽く読めるので、寝るまえにスマホを切って『つねならぬ話』を読んで、ほかの本も読んで睡眠に向かう状態に移っていくのにちょうど良かったです。
癒される~。
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