『信託法セミナー4』の感想
『信託法セミナー』のシリーズは、1巻から4巻からなり、高名な先生方の対談方式で信託法が論じられています。
『信託法セミナー4』では、「信託の変更、併合、分割」「信託の終了・清算」「信託と倒産」「受益証券発行信託」「限定責任信託」「受益者の定めのない信託」についてお話しされています。
前半の「信託の変更、併合、分割」「信託の終了・清算」「信託と倒産」については、民事信託契約作成業務に携わる際に、勉強して一応は知っている状態で読むことができましたので、まだついていけるような内容でした。
とはいえ、信託法自体が商業的な側面が多く、家族内で完結するような信託しか知らないものですから、やはりスケールの大きさを感じました。
どういう事態になるとこの信託法何条の規定が適用されるとか、そういった細かいことについて論じられていますので、想像してみるとなるほどと納得できる部分が多かったように思います。
実際、携わるのは家族内の民事信託ですので、そういう事態にはならないことが一般的です。
ですので、できれば商業的側面の信託法の条文は、信託業法にまとめていただき、家族内で完結するような信託契約については、もっと制約を緩くして信託法も整理していただければ、実務的にももっと利用しやすくなるのではないかと思いました。
そういう点も問題提起されている部分があり、マジで整備してほしいと心底同意いたしました。
受託者は士業などの専門家が就任するためには、内閣総理大臣の免許が必要となり、家族内で受託者になってくれる方がいない場合は、信託契約作成を断念しなければなりません。これは信託業法により規定されています。
ペット信託では、受益者のいない信託ですから、税務面でちょっと使いづらい状況があり、本来果たしたい目的がなかなか果たせない状況があります。
確かに、ひと様のお金や財産を預かり、管理しますから、業として受託者をするのであれば、ちゃんとした方でないといけません。
しかし、内閣総理大臣の免許は厳しい。
信託会社なら、その厳しい条件をクリアする必要があると思うのです。
お一人様の信託については、もっとハードルを下げていただけるととても助かりますが、それを利用してとんでもないことをする方々が出てくるのも自明です。
整備してほしいと簡単に言いましたが、考えれば考えるほどがんじがらめになり、頭が混乱してきます。
人々の財産の安全も大事ですし、民事信託をもっと使いやすいような制度に改めることも大事です。
私ごときが頭をひねったとしても、何もならないことは理解していますが、考え続けることで、誰かの助けになることもあるかもしれませんので、引き続き考えていこうと思います。
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