『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』の感想
カフカの作品で、私が読んだことがあるのは『変身』だけでした。
作品はおろか、カフカ自身についても何も知りませんでした。
カフカはとても神経質で繊細。ものすごく共感できるところがありました。
例えば、親友のブロートと会うことはとても大好きなくせに、いざその日がやってくると思うと憂鬱になるし、なんならドタキャンもします。
ドタキャンまではいかないものの、私も遊びに行く予定にもかかわらずその予定の日が近づいてくると、出かけてしまうときまで本当に行きたくないという思いでいっぱいになります。
行ったら行ったですごく楽しいのに、出かけるまでが憂鬱で、仕方がないんです。もう本当に嫌になります。
今では遊ぶ予定はそもそも入れなくなりました。全部がお仕事で勉強するため。
カフカは更にメンヘラでした。
このあたりは、カフカの手紙の内容も載っているのですが、端的にうざい。
一目惚れした女性に対して、鬼のように手紙を送ります。そして返事の催促をします。
手紙の内容は病んでるし、重いし、それが大量ですから、受け取る方は大変です。想像しただけで嫌いになりそうでした。
しかしカフカは偉大です。
一目惚れした女性と結婚まで行くのです。相手女性フェリーチェはどんな気持ちだったのか、彼女の自伝や伝記があったら読んでみたいものです。
大変な思いをして結婚しましたが、二人は別れることになります。
カフカの偉大なところはもう一つあります。
戦時中、勤め先の保険局の福祉事業の担当になり、戦地で怪我を負った兵士の方が社会復帰できるようにするための活動を行い、その中で精神病院も建てることになるのです。
仕事の心労や住まいの環境など様々な要因が重なり、カフカは結核を患いました。
大病したというのに、カフカは病を救いと言います。これは、共感できます。
発熱したら堂々と仕事を休むことができます。
エピローグに、著者の頭木弘樹さんはこのように書かれています。
そして、カフカの言葉も書かれていました。なんか、すごく泣きそうになりました。
物語も大好きだし、素晴らしいものですが、人の人生というのはどんな物語よりも尊いものだと感じました。
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