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高学歴発達障害

 資本の増殖(資本主義の進行)によって、全ての人が生きにくい社会が加速主義していることを実感することが増えています。
 合理性を追求する近代社会において、マニュアル化や規格化が進み、パターン化されたルールに従うことやコミュニケーションレベルを上げることが強調される中で、発達障害の人にとってはより生きづらい世の中になっていると思います。
 その中でも所謂高学歴の人はアイデンティティと外の社会との環境調整が難しく、小中高は学校(先生や他の生徒とのコミュニケーション)に馴染めず、孤立することが多いながら、学力優秀をアイデンティティに一流レベルの大学に進学し、最も縛りの緩い環境である大学では比較的過ごしやすい時期を経ますが、就職活動やその後の就労では挫折感、疎外感を感じることが多いとのことです。
 この問題は当事者にとっては、自らを客観視し、状況に応じて転居や離職・転職、通院や自助グループへの継続的な参加などの環境調整や場合によっては認知行動療法的な方法の検討か必要になりますが、環境調整には時間がかかるとのことですので、早いうち(学生のうち)から医療的な診断を受けた方が、つらい思いはしますがその後の対応はしやすくなるものと思います。
※初めて知りましたが、「精神科ガチャ」というスラングがあり、診療報酬の関係で(5分以上であれば、次のステージである30分以上とあまり医者の報酬が変わらないため、「5分診療」という効率的な診察で薬だけ処方する不誠実と思われる事例もあり、適切な診断が確実に受けられないリスクがあるとので、幅広い情報収集、場合によってはセカンドオピニオンが重要であるとのこと。
 また社会全体としては、行き過ぎた人間のコモディティ化(一般化)が進行していることを警鐘と捉え、障害は個人に帰属するものではなく、社会環境によって作られたものと認識して、発達障害は、所謂定型発達の人も含めた要素として「二ユーロ・ダイバーシティ」(脳の多様性)であるという理解の下、全ての人の多様性が尊重される社会を目指していくべきである。
※参照 ちくま新書「高学歴発達障害」姫野桂さん著

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