黄色い百合
観光地でもなく、どちらかと言うとひと気のない
丘に、黄色い百合が咲いていた。
本来ならビタミンカラーの黄色い百合は、元気で美しい印象を与えてくれるはずだが、他に強い色の花が見当たらないせいか、少し怖いぐらいに思えた
突き刺さるような黄色だ
風が吹いてきた
周りの木々はざやざわ踊るのに、その黄色い百合はびくともしない
その丘の主の様だ
本当に怖くなってきた
少し遠めで見ても、振り返っても、黄色い百合から追いかけられる感覚だ
日差しと暑さで水を飲む
「私にも」と黄色い百合から言われた様で
ペットボトルの水をかけた
「もっと…もっと…」と言われそうで
その場を離れた
少し歩くと、空からの光で
地に木漏れ日が見えた
落ち着いてきた
蒸し返す様な暑さの中、振り返ると黄色い
百合だけ誇らしげに笑って見えた
わたしの服の色も黄色だった
一瞬黄色い百合と入れ替わった気がした
白昼夢
サブリナ🌱