エリアスチールとスチールリベンジの是非

エグゼ3の対戦において、我々はどこに面白さを見出しているのか。
自分は「このチップ(もしくはスタイルやPAなど)を活躍させて勝つ!」という部分に面白さを感じている。
なので、フォルダを組む時も、主役にしたいチップを最初に決めて、そのチップが活躍するように他のチップや構成決めていく事が多い。
わざわざこんな回りくどい書き方をしなくても、多くの人は同じだと思う。
(中には勝つ事が楽しい。手段は問わない。という人もいるとは思うが…)

で、主役の攻撃チップを活躍させようと思った場合、良くあるパターンとして、エリアスチールしまくって、相手が身動きできないような状況を作り出して、主役のチップを叩き込むという構成がある。リュウセイグンやセレナード、ダークマンなどを主役に設定するとこの構成になりやすい。
また、ガッツインパクトを主役にした場合なんかもこれに行き着きやすい。

自分はこの構成、面白いか?
と、常々思っているのだ。

エグゼは陣取り合戦ゲームなので、エリアを取るほど有利になるし、取られるほど不利になる訳だが、相手を動けなくした時点でどんな攻撃でも当てられるので、最終的に主役のチップでトドメを刺したとしても、それはエリアスチールが活躍しただけで、主役のチップが活躍したとは言えないと思うのだ。

仮にエリアスチールしまくって相手のエリアを1マスだけにして、そこからガッツインパクトを連続で叩き込んで倒すのも、強化したリュウセイグンをで倒すのも、セレナードで倒すのも、やってることは全部一緒じゃん…と思ってしまう訳だ。

こういった、エリアスチールで勝つ構成は、いかにして相手のエリアを奪うかという部分に焦点が当たりがちで、いかにして主役のチップを当てるか?という部分には焦点がいかない。
なにで倒したところで同じ戦術に過ぎない。そこに個性なんかない。だから使っていても面白いと思わない。というわけだ。
もちろん、エリアスチール型という一つの戦術としてはありだと思うが、トドメを刺すためのチップが異なるだけの似たようなフォルダをいくつも構築しても仕方がない。
そこで、エリアスチールに依存しない戦い方を提案したいわけだ。
色々な戦い方を模索した方が面白いからね。
(まぁ、元々ルール制限マッチを行うと、みんなそれぞれ個性を出そうとして、エリアスチールを使わなくなる傾向はあるのだが…)

しかし、エリアスチールに依存しない戦い方を模索するとすぐにぶつかる壁がある。
エグゼ3ではエリアを大きく奪われると機能しなくなるチップが多い。
NOビームなんかが良い例で、中央列最前マスを1マススチールされただけでほぼ機能しなくなる。
しかし、エリアを奪うという行為は、エグゼ3の対戦において非常に強いため、自分がエリアを奪う必要がなくとも、相手がエリアを奪ってくる可能性があるので、こちらも対策としてエリアスチールやスチールゼリーをフォルダに入れざるを得ないのだ。
これがフォルダを圧迫する。自分がやりたいことを実現するためには必要ないのに、対策のためにフォルダに入れなければいけないチップが存在するのはとても窮屈だ。
3は特にスチール系のチップを沢山フォルダに入れる事ができるので、十分な対策をしようと思うと、本来やりたかったことなんて何もできなくなりかねないレベルの対策が求められる。
しかし、スチール対策をおざなりにすると、あっという間に最奥マスにルークやオウエンカを置かれて、もうやりたいことなんか何もできなくなる。

じゃあスチールリベンジを沢山積めば良いのではないか?という話になるだろう。
エグゼ3のスチールリベンジは非常に強力で、使用してもエリアの境界線が元に戻らないため、連打することで相手を一気に倒し切れるほどの火力を出す事ができる。
確かに、スチールリベンジを4枚積んでおけば勝率はグッと上がるだろう。
でもさ、我々はスチールリベンジを主役にフォルダを構築していないはずなんだよ…。
スチールリベンジが機能するかどうかは完全に相手の行動に依存する。
相手がエリアをスチールしてこなければ、どんなに工夫してスチールリベンジを主役にしたフォルダを組んだところで機能しない。
スチールリベンジは、相手に当てるための工夫の余地が一切ないチップなのだ。
つまりスチールリベンジは主役足り得ない。
だからスチールリベンジで勝つと虚無になる。
(強さという意味ではバランスはそれなりに取れていると思うが「バランスが良い=面白いではない」の典型的パターンだと言える)

更に、スチールしまくる戦術の良くない点を挙げておくと、やられる側が何も面白くないという事が挙げられる。
お互いがスチールしまくる型なら良いが、こちらはスチールする気もないのに一方的にスチールされて身動き取れなくされると、もう自分のやりたい事どころではなくなってしまう。
やりたくもないスチール合戦に付き合わされるか、一方的に不利を押し付けられるかの二択。
これが実に面白くない。

相手と自分が全く違うゲームをしている状態だ。
こちらは攻撃を当てたり守ったりするゲームがしたいのに、相手は陣取り合戦ゲームをしようとしてきているので噛み合わないわけだ。

エリアスチール対策はしないと勝負にならない。
でも入れたくもないスチール系のチップを大量に入れるのは虚しい。
かと言ってスチールリベンジで勝っても意味がない。
ならばもうルールで縛るしかない。
というのが、エリアスチールに制限をかけた方が良いのではないか?という提案の根拠となる。

では、具体的にどう制限をかけるのがよいか?

まず一番シンプルなのは、エリアスチール、パネルスチール、スチールゼリー系を全て禁止にするパターンだ。
これはこれで面白い環境になるかもしれない。
流星のロックマンなんかはウォーロックアタックがあるとは言え、エリアスチールがなくても対戦は面白いバランスになっていた(…作品もある)が、エグゼ3でスチール系を全て禁止にすると、あまりにも死んでしまう戦術が多い。
エグゼ3のスイコミはあまり強くないし、相手を最前列に引き寄せる手段が乏しいため、最後列に逃げられるだけで、射程が2マス以下の攻撃はほぼ当たらなくなる。
スチールしまくって封殺する戦い方が幅を聴かせているのは面白くないとは言ったが、別の多くの戦い方を封殺してしまうようなルールでは本末転倒だ。

次に、最後列はスチールしてはいけない、というルールを考えてみる。
後期エグゼではお約束の、最後列はスチールできない仕様を、ルールで縛って再現する感じだ。
これは後期エグゼである程度有効性が証明されているので、普通にありだと思う。
ただ、懸念点もある。
エグゼ3にはルークが存在する。
最後列を奪ってはいけないというルールにしたところで、最後列にルークを置かれると覆すのが非常に困難だ。
別の記事でも触れた通り、パネルスチールを阻止する手段がほぼないゲームなので、最奥マスへの置物設置は基本的に阻止できない。
ルークに限らず、かなり簡単に最奥マスに置物を置けるゲームであり、一度置かれると簡単には覆せないので、最奥マスをスチールできないルールにしたところで、スチール合戦に付き合わされることには変わらないだろう。
ただし、仮に「最後列を奪ってはいけない」なおかつ「パネルスチールの使用を禁止」とするなら、そう簡単にはエリアを奪えなくなるので、ありかもしれない。

なお、個人的にルークを禁止にするのはあり得ないと思っている。
ルークがなくなると置物全般をブレイクバスターから守る手段がなくなるので、置物を使った戦い方をする=スチールしまくって最奥マスを取りに行くということになってしまい、本末転倒だからだ。
ルークが硬すぎる問題は確かにあるが、ルークの耐久力にケチをつけ始めると、もうルールの話では収まらなくなるのでここでは触れない。

最後列をスチールできないというルールにすると、セレナードやリュウセイグンなどのチップが影響を受ける。ダークマンは受けない。
リュウセイグンは火力が1/3に。
セレナードは約2/3だったか。
いずれにせよ、即死クラスの火力は出なくなるかもしれないが、使い物にならないほどの弱体化とは言い難いだろう。
まぁ、セレナードフォルダを組んだ事がある人ならわかると思うが、実際にはそこまでガチガチにスチールせずとも、ある程度エリアを狭めたらぶっ放してしまう事が多いので、セレナードはほとんど影響を受けないと言っても良いと思う。

次に、間を取って、最前列のみスチールしても良いものとするルールはどうか。
結論から言うと、個人的にはこのルールが推しである。

自分は、自分も相手もやりたいことをやり切った上で決着がつくのが良い対戦ゲームであり、一方がやりたい事を押し付けて完封勝ちするのは悪しき対戦ゲームだと思っている。
対戦人口が多いゲームなら完封勝ちしても問題ないかもしれないが、エグゼのような対戦人口が少ないゲームでそんな勝ち方ばかりしていたら、あっという間に人がいなくなってしまうだろう。

そう考えた時に、自エリアの最前列を除く6マスがキープされていれば、負けたとしても最低限完封されたという意識になりづらく、のびのび戦えるのではないかと思うのだ。

そして、このルールであれば、機能しなくなってしまう主役チップが少ないのも利点だ。
最前列しか取れないとなると、射程が1マスしかないチップを当てるのが困難になるわけだが、射程が1マスしかないチップで主役になりそうなチップはほぼない。せいぜいガッツインパクトくらいか。
ガイアソードなんかも機能しにくくなるが、そもそもフォルダに1枚しか入れられないチップをそこまで警戒されることはあまりないし、ガイアブレードも存在している時点でそれほど痛手にはなりにくい。(逆に言うとガッツインパクトは1回使用した時点で警戒されて下がられてしまう可能性が高い)
また、最前列しか取れないと言っても、最前列さえ取れれば、射程1マスの攻撃でも当てる手段自体はそれなりにあるので、射程1マスの攻撃が完全に死ぬわけではない。
実際に自分は、最前列しか取ってはいけない縛りを自分に課してガッツインパクトフォルダを組んで戦っていた時期があるが、それなりに機能していた。
ただ、このルールだとリュウセイグンはほぼ死ぬ。相手エリアを6マスまでしか狭められないと、せいぜい5ヒットかそこらしかしなくなるので、主役足り得ない。まぁ、それでもコードRは割りと強いので、サブウェポンとしては十分機能するだろう。
セレナードはそもそも召喚位置で1マス分まで射程を調節できるので、最前列しかスチールできなくても、相手を最後列に追い込みさえすれば問題なく当てる事ができる。
ダークマンとドリルマンの命中率が下がるのでコードDを主体としたフォルダが最も不利な影響を受けるかもしれない。
ただ、どちらもフォルダに複数枚入れられるので、手数でカバーできる範疇だと思うし、攻撃力だけで見たら、2列スチールした時のコードDは強すぎるレベルなので、1列しかスチールできなくても主役としては十分に機能すると思う。

とまぁ、長々と書いたが、先述の通り、自分の推しは「最前列のみスチール可とする」というルールが面白いと思う。
このルールであれば、別の記事で禁止チップ候補として挙げたパネルスチールは禁止にする必要はない。
自分は誰に言われるともなくこの縛りを自分に課してプレイしている事が多いが、とても楽しい。
何より切断されにくいのが、相手が諦めずに戦ってくれている証拠だと思う。
いや実際、スチール!スチール!スチール!ルーク!ってした瞬間切断する人いるじゃないですか…。気持ちはわかるし、切断は良くないけど、相手にそんな気持ちにさせるような碌でもない戦い方をしている側も恥じた方が良いと思うんですよね。対戦相手いなくなるよホントに…。

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