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特別支援学校で働いてみて感じたこと。

わたしは特別支援学校で訪問看護師として働いています。
早いものでもう6年目になります。
それまで小児科の分野が好きではなかったため、子どもと関わる必要のある職場は避けてきました。
そんなわたしが特別支援学校を勤務先に選んだのは、勤務時間がちょうど良い、自宅から近い、自分の子どもの用事が優先しやすい環境が整っている、という理由からでした。

小児科分野を好まなかった理由として、子どもの親(主に母親)との関わりを避けて通ることができない、ということがありました。
独身で子どももいないわたしには、母親たちはなんとも扱いづらい(本当に失礼な言い方です。すみません。)存在でした。

そんなわたしも母になり、子どものことでいろいろと心配したり、時にはナーバスになって周囲をピリピリさせたりする母親ならではの特徴を、自分自身の子育て経験を通じて理解したり、許容できるようになりました。
今だったら子どもと関わることができるかもと思ったのも、勤務先に選んだ理由のひとつです。

特別支援学校での看護師の役割は、障害はあるが日常生活は安定して過ごすことができており、学校への通学を希望されている児童・生徒さんたちが学校生活を送るために、普段日常的に行っている医療的なケアを行うことになります。

ケアの内容は、経管栄養(鼻から胃または腸まで直接チューブを入れる)や胃ろう(直接胃に穴を開け短いチューブを固定する)を介しての水分や栄養物の注入・痰吸引・吸入・呼吸器の管理などがメインとなります。
どのケアも一人一人の子どもたちが学校生活を送るために必要なケアになります。

生まれつき障害を持っている子どもたちなので、一人一人のケアの内容にも個別性が多く含まれます。
吸引の手技ひとつをとっても、それぞれに吸引チューブの挿入長さはこれくらいで、吸引時間はこれくらいで、こんな風にすると痰が出やすい等々。
あらかじめ保護者の方たちから情報をお聞きし、計画を立て実行しています。

子どもが学校へ行くための用意をして送りだすまでには、毎日いろいろな準備が必要になります。
持っていく荷物の確認だけではありません。毎日元気に学校へ通うということは、食事や寝る時間の配慮、体調管理(心身の)などいろいろなことへの気配りが必要になります。

特別支援学校に通う子どもたちは障害のある方たちです。
障害の影響で体温調節がうまくできなかったり、体調を安定させるのが難しかったり、健常児に比べると体調管理が難しい子どもが大半です。
そんな子どもたちの体調を見ながら、毎日登校させている保護者の方たちの努力は並大抵のことでないと思います。
毎日、本当に感心しています。


わたしが特別支援学校に勤務し始めたきっかけは、自分の生活ファーストでしたが、学校での勤務は、新しい学びにもつながりました。
まだまだ知らない世界があるんだということを再認識させられました。

毎年春がきて、進級・進学する子どもたちを見ると、その成長の一端に自分も関わらせてもらっているのだな、と嬉しく感じるこの頃です。

終わり




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