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誰も知らない「フランシーヌの場合」

新谷のり子さんへのインタヴュー

SNSを読んでいて、あるシャンソン歌手の方が「フランシーヌの場合」を歌ってみたが未だマスターできていない、というような趣旨の投稿をしていた。そして、新谷のり子さんと知り合いであることを示唆する一節を見つけた。「うん?これは、もしかしたらチャンスが訪れたかもしれない。」と私は思わずほくそ笑んだ。ずっと前から新谷さんにインタヴューする機会を窺っていたからだ。
この歌が流行った頃、私は未だ小学6年生で意味はわからないまま、テレビで聞こえてくる歌謡曲のサビの部分を友達とよく歌っていた。
「夜明けのコーヒー、二人で飲もうと」(ピンキーとキラーズの『恋の季節』)とか、「歩いても歩いても小舟のように」(いしだあゆみ『ブルーライトヨコハマ』)という風に。
サビではなくて、冒頭から歌っていたのが、「時には母の無い子のように、だまって海を見つめていたい」と「フランシーヌの場合はあまりにもおばかさん」だった。
特に「フランシーヌの場合」は、印象に残っている。最初は、フランシーヌというのは西洋人の名前だから外国の歌に日本語歌詞をつけたものだと思っていた。そして、子供ながらにどうしておばかさんなのか?知りたくて、軽い気持ちで父親に尋ねたからだ。そして、返って来た答えに衝撃を覚えた。「焼身自殺」という子供にとって恐ろしい言葉を初めて知ったからだ。
その後、時は流れて社会人となり、フランスに留学しパリで働くなどしてフランス人の友達と自由に話をするようになった。そして、記憶の底に眠っていたフランシーヌを思い出し、どんな女性だったか尋ねることになる。
ところが…

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