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フランス人は英国娘がお好き


「8月のパリ」という小説

ルネ・ファレ(René Fallet)のが書いた "Paris au mois d'août"(8月のパリ)という小説(1964年)がある。主人公は、パリ・セーヌ河岸(右岸)のデパート「サマリテーヌ」の釣り具売り場に勤めるアンリ・プランタンという小柄な冴えない中年男の、一夏の恋を描いた物語。その男がシャルル・アズナヴールに似ているという設定だ。
この作品が人気を得て賞も獲得した2年後に映画化され、当然のことながら、主役はアズナヴールで、彼は演技だけでなく主題歌も作った。もちろん、タイトルは「8月のパリ」。

主人公のアンリ・プランタンは、仕事の関係で家族をバカンスに送り出した後の8月をパリで一人働きながら過ごすことになる。何をして1か月余暇を過ごそうかと思い悩むのだが… そこに登場するのが、モデルをしている若いイギリス人女性だった。
小説の描写は、以下のとおり。

ブロンドの髪が真夏の太陽で輝き、真っ赤なドレスがさらに金色に見せていた。プランタンは、こんな美しいものを見たことが無かった。その美しさはお風呂のように心を和ませた。

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