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#25 勤務表の作成経験で考えること

 入院病棟は、何かしらの理由がない限り、24時間年中無休です。
 シフト勤務の私たち看護師は、毎回穴が開くほど見つめ、一喜一憂しています。
 施設によっては、決まった勤務パターンの繰り返しにしているところもあるようです。

 シフト作成をしていた経験をもとに、勤務表の作成方法をまとめました。

1.一般的な看護師の勤務とは

  日勤(朝〜夕方)・夜勤(夕方〜朝)の2交代か、日勤(朝〜夕方)・準夜(遅めの午後又は夕方〜深夜頃)・深夜(深夜頃〜朝)の3交代のどちらかで働いています。

 基本的に、日勤と夜勤(準夜・深夜)と休日がランダムに組み合わされます。日勤ばかりが続く週もあれば、夜勤ばかりの週もあります。
 24時間体制の工場勤務などは、数週間ごとに変わる、と聞いたことがありますが、看護業界では聞いたことがありません。
 もちろん、夜勤専門の看護師は夜勤しかないですが…。

 交代の時は、引継ぎのため、勤務時間が重なるように設定されています。引継ぎは、施設によって方法やかかる時間はまちまちです。 

2.勤務表を作るときの留意事項

 勤務表を作るにあたり、いくつか注意する点があります。

 ⅰ.希望の休み

  各スタッフの希望休を入れていきます。作成者によって、日数や、連休の回数などを指定することもあります。

 ⅱ.メンバーの組み合わせ

 一般的な病棟の場合、リーダーとその他のスタッフで規定の人数を組んでいきます。
 力量のバランス、書くスタッフの人間関係、連勤や連休のバランスもなどを考慮する必要があります。

 ⅲ.72時間ルール

 「72時間ルール」は、夜勤による看護師の負担軽減のため、診療報酬改定で設けられました。平均夜勤時間が月72時間を超えた場合は、入院基本料(病院に入るお金)が減額されてしまいます。
 ですから、スタッフの誰かを夜勤専門として平均夜勤時間の計算から外したり、夜勤しない人を遅番にしたりするなど、いろいろ細工をしてクリアする必要があります。

3.勤務表作成ソフトと自作の違い

勤務表作成ソフト
 専用ソフトで詳細設定をすれば、瞬時に何パターンも勤務表が出来上がります。そこで出来上がった勤務表を確認し、微調整をして完成させることが可能なので、作成にかかる時間が圧倒的に短縮できます。

 問題点として、勤務表作成までの作業に手間がかかります。
 たとえば、リーダーの可否・組むのがタブーな人・力量的な項目…などを全スタッフ分ずつ入力する必要があります。
 また、細かく設定したはずなのに、おかしな組み方になってしまうことも多々あるようです。

 私がシフトを作成していた当時、勤務表作成ソフトを導入しましたが、業務量的にも、時間的にも、その設定が困難だったので、自動作成の機能は使用していませんでした。

自作
 
作成者が、手書きなり、入力なりして作成する方法です。スタッフのことはある程度把握しているので、作成しながら調整することができます。

 問題点は、ある程度の時間を要することと、作者によって差があるのは否めません。

 私はこの方法で行っていました。出来不出来は別として、パズルみたいで嫌いな業務ではありませんでした。

4.勤務表作成の経験

 私は、スタッフが約20〜25人程度、2チームある病棟の勤務表を作成していました。

 ⅰ.私の作成方法 

 ・縦にスタッフの名前、横に日付が書かれた表に、休み希望を埋める
 ・明け希望もあったので、夜勤と明け休みをそれぞれ埋める
 ・夜勤リーダー、夜勤者を組んでいく
 ・日勤の両チームリーダーを決める
 ・縦と横のバランスを見ながら、他のメンバーを組んでいく 
  (縦:その日の勤務者のバランス、横:そのスタッフの勤務)

 ⅱ.苦労したこと

組む相手を選ぶ必要があるスタッフ
 主に2タイプいました。

・感情で態度を変えたり、スタッフの好みが多いリーダースタッフ
・メンバーを見て仕事をサボるスタッフ

 力量不足は、仕方がない部分もありますが、キャラクターに難があると、組む相手を選ばざるおえません。
 特に夜勤は少ない人数で対応しないといけないので、人間関係が業務のスムーズさや疲労度に大きく影響してきます。恐怖で萎縮してしまったり、関わらないようになったりして、最終的に協力体制が取れなくなってしまうからです。
 そのため、いつも同じ夜勤メンバーになる確率が増えてしまうことがありました。

必ず文句は言われる
 希望の制限をしない分、いろいろ調整し、なるべく負担のないように組んでも、どうしても連休や連勤ができてしいます。一部のスタッフは、自分の勤務だけを見て「こんな連休いらない」とか「この週ちょー連勤、まじでやってらんない」とか言われてしまいます。
 「じゃあ、休み希望◯日しかとらないけどいいですね」と言えばよかったなと、今は思っていますが、当時は言われるがままにしていました。

5.勤務表の作成経験から感じたこと

 当時は何か言われたり、噂をされるたびに傷付いていました。しかし、今改めて考えると、勤務表は、どれだけ手間と時間を費やしたとしても、どこかに歪みは出てします。そして、文句を言う人は、どんなにいい勤務でも文句を言う人だと、ある程度の開き直りが必要だという結論に達しました。

 ただ、作成者は、絶対に「やっつけ仕事」で勤務表を作るべきではありません。なぜなら勤務表は、組み合わせ次第でスタッフの仕事への意気込みが変わりますし、生活にも影響を与えるからです。
 スタッフが、できるだけ前向きに仕事ができるよう、気を配る義務を作成者は負っています。ポジティブに仕事に臨めるスタッフが増えれば、職場自体の雰囲気もいいものに変わってきます。
 ですから、作成者は、自分の好みで差をつけたり、埋めればいいやという無責任な感覚で、作成すべきではありません。嫌な思いをしても、できるだけいいものを作ろうとする姿勢が必要だと考えます。
 

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