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#45 医療系ドラマについて思うこと

 医療系ドラマ、よく見ますか?
 私は、あまり見ないんですよね。なんか、胸がモヤモヤするというか…。客観的にみれない部分があると言いますか。
 あまりにフィクションすぎると「こんなことないよ」と思いますし、現実味があると、切なさとか、やるせなさに胸が締め付けられてしまいます。
 医師がメインだと、多少は客観的に、心穏やかに見れることも多いです。ドクターXは、現実離れしすぎていますので、水戸黄門的医療系ファンタジーとして見れています。

 私にとって医療ドラマの最高峰は「コードブルー」です。といっても、全シリーズを制覇しているわけではないですし、一般病棟で働く私には、ドクターヘリはもちろん、救命救急の現場は未知の世界です。
 それでも、やはり素晴らしいと思うのは、主要メンバーの成長や葛藤、綺麗ごとだけではないストーリー展開が現実の医療現場でも起こりうることばかりだからです。
 3rdシーズンでは、「自分たちがチームを作っていくんだ」という思いや上司や先輩、後輩とのやりとりが、当時の自分と重なって、「そうだよね、そうだよね」と共感したり、「私そんなこと言えない、すごいなぁ」と思ったりして、何度も何度も涙を流しました。

 医療系ドラマは、もちろんフィクションですし、現実に忠実であれば言い訳ではありませんが、どうしても現実的ではないことが目につきます。
 医療ドラマを通して、医療の現場でスタッフがどんなふうに働いているのかを知る機会になり、そこから興味をもち、医療者を目指す方もいます。また、病院とは無縁でも医療者を労ってくれる方もいます。

 そんな医療現場を紹介してくれるドラマに、欲を言うと、理不尽な患者さんとのやりとりについて、もっと取り上げて欲しいということです。
 もちろん時々取り上げられていますし、実際に起こった事件では、完全に医療者が悪いこともあります。けれども、現実はもっと根深いものです。

 昨今、医療福祉の場でいろいろ問題になっていますが、一方的に医療介護者が悪者扱いされてしまうことがとても悲しく、悔しく思います。私たち医療者は、患者さんに殴られたり、噛まれたりして傷を負ったり、暴言を吐かれたりしても、言い返すことも、抗議することも許されません。
 医療者だから、耐えるのは当たり前と考える方もいるかもしれませんが、私たちも人間です。傷もつきますし、嫌にだってなります。そして、そんな自分を責めることもあります。
 そういう葛藤を扱ってもらえると、一般の方も、現場にいるスタッフも、直接関わっていない上層部の方にも考えるきっかけになるのではないかな、なんて思います。

 医療系ドラマ苦手と言っておきながら、要望をするという結末になってしまいました。重すぎず、軽すぎず、適度なリアルさのバランスが取れた医療ドラマに巡り逢えるのを楽しみにしようと思います。

 

 


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