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イトオテルミー

その不思議な名前の療術に出会ったのは、娘を産んだ助産院。検診のたびに助産師さんから足裏にテルミーをかけてもらい、産んだ翌日は、おばあちゃん療術師さんから全身テルミーを掛けてもらい、もうそれが気持ちいいのなんの!それからずっとテルミーに恋焦がれていたけれど、一式買うのが5万円くらいかかったり、外国で暮らしたりで躊躇していた。

それが、一昨年の12月、帰国したし、思いきって会員になることにした。器具の使い方を習うために、十数年ぶりに私より幾つか年下の資格者さんから掛けてもらったテルミーは、彼女の人柄らしいさっぱりと心地よいテルミーだった。会員になって数ヶ月後には、会員の一歩先の「資格者」の勉強を始めたいと先生に伝えた。

その後、夫が家出したり、私が転職したり、自分の病気が分かったりで振れ幅激しい一年を、テルミーとテルミーにまつわる先生や多くの先輩に支えてもらった。皆さん「あらあらあら」と言いながら集まってくれて、私にテルミーを掛けてくださった。テルミーがなかったら、どうなっていたことやら、と心底恐ろしく思う。

テルミーと検索すると、サジェストで「怪しい」と出る。確かに怪しい勧誘や支部もあるようだが、私が本部から紹介された支部は本当にさっぱりとしていて、同じ年代の会員も多く、いい意味でテルミーだけを妄信していないざっくばらんな支部で、気軽に参加できている。正直、支部という響きもなんだか宗教めいてると思うし、毎年4000円の会費が必要など胡散臭いと思われてしまう要素もあるが、会員だけ利用できるというシステムは、生協と同じと思ったらすんなり納得できた。

テルミーは、もうすぐ100年の歴史がある家庭療法で、伊藤先生が始めたからイトオテルミーという名の、温熱療法である。スティック状の太めのお線香に火をつけ、冷温器という金属製の器具に入れ、それを二本握って足先から頭までサッとなでるように摩り温めていく。私は温泉に入るとすぐのぼせる質なのだが、テルミーはただただ全身がポカポカと温かく心地良い。指ほどの太さの冷温器はこっている場所をちょうど心地よく刺激してくれる。最初はお線香の匂いが臭いと近寄らなかった子供たちも、すっかりハマって、毎日「今日テルミーできる?」「顔だけいい?」「膝が痛い」「全身お願い」等々、頼んでくる。時には「私の方が先!」と喧嘩もするけれど。

私の手術が終わってからしばらくして、再び1週間に1度、先生の元に通ってテルミーを習っている。片道、車で1時間半の道のりはしんどくもあり、季節を感じる良い遠出にもなっている。行けば、誰かにテルミーを掛けてもらえるしね。

資格がとれたら、イベントや自宅、患者さんの家でテルミーをかけたい。生涯にわたる私の仕事にしていきたい。


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