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介護の分岐点、ご飯が食べられなくなったらどうしますか?

昨日、介護に直面した時の療養場所の選択について書きました。

介護を始めると、いろんな問題にぶつかると思います。その都度、いろいろと考えていくわけですが、代表的なものに延命治療を行うかということがあると思います。今は、延命治療を行わないという人が大半ですが、延命治療とは具体的に何を指すのかをきちんと理解している人は少ないと思います。

そして、もう一つの問題として、ご飯が食べられなくなったらどうするか、という問題がありますが、これを事前に考えて準備している人はどのくらいいるのでしょうか。今日は、このテーマを考えてみたいと思います。



ご飯が食べられなくなった時の選択肢

ご飯が食べられなくなるのはどんな時か。

高齢になり老衰の状態だったり、認知症の進行だったり、病気からくるものだったり、誤嚥性肺炎になり嚥下機能が低下したり・・・原因はさまざまです。

ご飯が食べられなくなった時の選択肢として、主なものは・・・。

1.胃ろうからの経管栄養
   胃瘻造設を行い、胃に直接栄養剤を注入する
2.経鼻経管栄養
   鼻から胃まで管を通して、栄養剤を注入する
3.末梢点滴
   一般的に言われる点滴
4.中心静脈栄養(CV・PICC等)
   太い静脈にカテーテルを入れ、高カロリーの点滴を行う
5.何もしない
   口から食べられる分のみ

何が正解かという話ではありません。
ただ、現実にその問題に直面した時に、なにかを選択しなければいけなくなるということです。

多い事例としては、親が高齢になり、認知症や老衰などで、嚥下機能が低下した場合に考えなくてはいけないことが多い印象です。

親と終末期医療について、話をしている人は少ないと思いますし、延命治療について話している人がいたとしても、食事が摂れなくなったら・・・まで、話をしていることは少ないのではないでしょうか。

私のまわりの事例から

私の友人の義母の例です。
90代ですが、比較的元気で介護保険の利用もしていませんでした。ある日、脳梗塞を発症し、食事が摂れなくなりました。家族で相談し、やっぱり受け入れられない気持ちから、中心静脈栄養を選択、高カロリーの点滴を行い、療養型の病院で過ごしています。

最近、私の勤める病院に入院してきた患者さん。
70代の男性、誤嚥性肺炎を繰り返し、食事が摂れなくなりました。息子さんは「何もしなくてもいいです」と言うのです。何も望まないと。どういう気持ちで言っているのかはわかりませんが、病院に入院しているということで最低限の末梢点滴を継続することになりました。

以前勤めていた病院に入院していた患者さん。
80代の男性、脳梗塞後に食事が摂れなくなり、胃ろうはお腹に穴を開けるのがかわいそうと言って、経鼻経管栄養を選択しました。でも、経鼻経管栄養で療養できるところは少なく、結局、胃ろうを作り施設へ退院していきました。

そして、私の父ですが、動けなくなり入院したら、パーキンソン病の疑いがあると言われ、食事が摂れなくなりました。胃瘻造設予定でしたが、造設する前日に急変して亡くなりました。

他にもたくさんの方と出会ってきましたが、みなさんそれぞれの思いがあります。選択の場面ではかなり悩みます。やっぱり自分のことではないですし、難しい選択となるのです。

普通に生活をしていたら、考えたこともないことだと思いますし。そして、正解のない答えをださなければいけないことが一番しんどいことなのかなと思います。

これからの準備

今は、終活と言って、終末期にむけて準備をする方も増えました。なので、機会をみつけて、ご家族で医療の選択について話し合ってみる時間を持てるといいと思います。

親のことを子どもが、あるいは配偶者が決める場面が多いですが、いくら子どもや配偶者とはいえ、本人の気持ちをすべて把握しているわけではありません。

それに、医師からの説明を受けた時に、判断が鈍ることもあるのです。

私の義父が、食事が摂れなくなった時の話です。普段から、義母は何もしなくていいって、常に言っている人でしたので、今回も義父のことについて医師の病状説明の前に義母に確認していました。やっぱり「何もしなくていいから」と言っていたのですが、医師に経鼻経管栄養の話をされた時に「お願いします」って言っているのでびっくりしたことがあるのです。義母に聞いたら「希望したわけじゃないけれど、先生が言うからしないといけないかと思って」って言うのです。これが現実かなと思いました。

とにかく、今後のことで準備出来ることがあるとすれば、親と話をすることも大事ですが、自分自身がどうしたいか、よく考えて、家族に伝えておくことですね。これは、自分でコントロールできることですから。

この記事が、みなさんの考えるきっかけになればうれしいです。

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