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食と人

田畑が広がりビニールハウスが立ち並ぶ久留米市北野町にある株式会社福岡生物産業開発研究所は、微生物資材・堆肥の製造販売や、良質な堆肥の製造方法や畜舎の衛生的な管理のコンサルなどを行ってあります。微生物の力を借りた有機廃棄物の再資源化により地域社会の農業振興や環境改善に寄与する、人と地球に優しい会社です。
研究開発部部長の田中研実さんよりお話を伺いました。

田中さん―「当社は微生物に関する特許を30以上取得し、暮らしに役立つ微生物の活用方を世に送り出しています。微生物を利用した循環型社会を実現するため、牛糞や鶏糞などの畜産廃棄物や生ごみなどの有機物廃棄物の再資源化、鶏舎が抱える悪臭やハエの対策・改善などを行っています。
目には見えない微生物ですが、お味噌やお酒、パンやヨーグルトなど、私たちの生活に欠かせない大きな役割を果たしています。
例えば、生ごみでの堆肥づくりは微生物なしだと半年ほどかかりますが、微生物を入れ適した環境にすると4週間ほどで堆肥になります。生ごみと言ったら臭いイメージを持たれがちですが、微生物が生ごみを分解し堆肥となる過程で臭いは急速に減少します。
現状、農業で多く利用されているのは化学肥料ですが、資源の少ない日本は、化学肥料の原料も外国からの輸入に頼っています。しかし、世界情勢や輸入先の国の経済・社会事情による輸送の障害などによって不安定になりやすい外国からの資源に頼りきりになり、今後、野菜など農作物の生産に欠かせない肥料が手に入らなくなってしまったらどうでしょう。日本の食糧生産を外国からの輸入に頼り過ぎず、自国で賄っていくためにも、将来的に生ごみの堆肥化などは必須になってくると思います。
栄養のある土壌は、長い長い年月をかけて少しずつ作られてきました。近代の農業が行われるようになり、効率的な要素や新しい技術で野菜の収穫量を増やし、有機物を土に還さなくなったことで、土の持つ養分を少なくしてしまったと言われています。美味しく栄養価の高い作物を作り続けることは、それを消費する私たちの健康と命にかかわることです。
農業は人が生きていくために欠かすことができない仕事です。未来の食と環境の為、人の健康な生活の為に、私たちは小さな微生物の大きな力を農業でも活用し広めていきたいと考えています。」


生ごみ堆肥。全然生ごみ臭くない!

人類が誕生する遥か以前に地球に生まれた微生物。その微生物が、栄養豊富で美味しい農作物を育てるための土づくりに重要な役目を果たしています。
肉眼ではみることのできない小さな生命が、私たちの生命を繋ぐ大きな力を持っています。

地域の力に

田中さん―「研究開発以外に、これまで私を支えてくださった方々へ恩返しとして地域に関わる仕事をしています。
自分もそうでしたのでわかりますが、働き盛り世代は育児や仕事に忙しく、地域に関わる仕事に時間を割くことは容易ではありません。子どもを一人前に育てるためには経済的な土台がないと不安ですので、易々と仕事は休めませんし、家族での行事等の事情もあります。
親子が安心して暮らせるような、親が親だけで子育てをするのではなく地域で子育てをする感覚を持てないだろうかと考えています。地域の人が家族のように子育てに関わることで、若い世代の働きやすさにも繋がるのではないか。また地域の子育てに関わることで、高齢者の働きがいや生きがいにもなるのではと期待しています。
歩いて行ける距離に頼れる人が居るというのは、とても安心感があるのではないかと思っています。」

食べ物は土、子どもは親。その親たちを地域が支えていくことで、親が安心して暮らせることが子どもたちの健やかな成長にも繋がると田中さんは言います。

田中さん―「周囲に頼り、自分も周囲の為に行動する。私たち人間はお互いに支えあって生きています。微生物を利用するこの仕事は人の命を守る仕事だと思っています。将来的にこの地域を、この技術を活かして地域の人たちと共に守っていきたいです。」



微生物だけでなく地域の若い世代の働きやすさに貢献したい。

地球上の生物はお互いに作用しながら生きています。生物に欠かせないものが微生物によって生み出されるように、人もまたお互いに影響を与え合うことで生きるための喜びをうみだしています。

企業からメッセージ
私の会社が支援している「北野町生ごみリサイクル会」では、
毎週土曜日 8時より、会社横でご家庭の生ごみを集めて堆肥作りをしております。
ご興味が有られる方は、ぜひ一度見学にお越しください。
また、会社の方では、春と秋に味噌作り教室をおこなっております。
詳しくはHPをご覧ください。
http://www.fukuseiken.co.jp/

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