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丁寧に行うことの大切さを教えてくれた体操のしんちゃん  ローリスクハイリターン〜

パリオリンピック2024が行われていますね。みなさんはどの競技が好きですか?

ご自身が部活動等でやっていた競技、なんとなくテレビつけて放送していて興味を持ったり、いろんな「好き」になるきっかけってありますよね。
私は東京2020で、ある選手をきっかけに体操にどハマりして、運動経験ゼロにも関わらず大学生の途中から体操部に入部しました。

その話は後日投稿しようと思うので、まずは記憶が新鮮なうちに今大会のメダリスト岡慎之助選手についてです。彼は、オリンピック初出場20歳にして種目別平行棒と鉄棒に出場し、平行棒では銅メダル、鉄棒では金メダルを獲得したすごい選手です。(その前には個人総合と団体で金も取ってるのですごいということは言うまでもないですが)
メダリストになることもすごい、決勝に残っている時点で世界のベスト8に残っているわけなので十分すごいのですが、昨日の彼のメダル獲得の経緯が、まあすごいのです。
まず、平行棒。これは実は残念ながら9割見逃しました。走って家帰ってテレビつけたら、なんか、銅メダル持っていて、「お、おぉ、メダル取ったのね。おめでとう」って感じでした。
平行棒は、中国にとてつもなく強い選手がいます。彼の平行棒だけの強さと知名度で言ったら、鉄棒の内村航平、床のバイルズってとこですが、他の選手を寄せ付けない点数を出すという意味では床のバイルズが近いでしょうか。
その選手は毎回16点超えを出す唯一の選手です。2位以下の選手はどう頑張っても15点台なのです。
※今大会、バイルズはラインオーバーを連発し、金メダルならず

次に女子種目がやっていましたが、日本人出ていないけれどそれなりに面白かったです。でも今回は割愛しますね。後日思い出したら書きます。

平行棒で銅メダルだった岡選手ですが、そもそも岡選手含め、Dスコア(難度点)的にトップの中国の選手に敵わないのはわかっていたようです。それでも金メダルとりたかったのは実は鉄棒ではなく平行棒だったとか。
けれど、高得点争いの中、よく頑張りました!

そしてそして、日本人選手がもう1人出ていた日本といえばの鉄棒。その杉野選手が予選で鉄棒3位、岡選手が予選5位だったことから、金メダルが期待されていたのは杉野選手でした。
前回の東京オリンピックの種目別鉄棒で唯一の15点台を出して金メダルを獲得した日本のエース橋本大輝選手はまさかの予選落ちしてしまい、鉄棒の決勝に出ることは叶いませんでした。けれど、そんな橋本選手の穴を埋めるように鉄棒を得意とする予選3位の選手と岡選手が勝ち上がってきました。

ここからがドラマの幕開けです。
岡選手は鉄棒を特に得意種目としていなく、安全思考なのかDスコアが5. 9でした。けれど、途中でコロンビアの16歳!の選手と点数が並び、その選手のDスコアが6. 6だったことからいかに確実に取れるところは取り、美しさを極めるというのを意識したことがとてもよくわかります。ちなみに、Dスコア5.9というのは、6位だった選手と同じでした。どれだけ岡選手がミスをしなかったかブレない演技をできたかとてもよく分かりますよね。
体操では、同点の場合、Eスコア(演技価値点、つまりは美しさ)が高い選手が上になります。なので、同点でも岡選手は最後まで首位にいました。
鉄棒は当然のことながら離れ技(鉄棒から手を離す技)が点数高く、さらにそれらを連続して行うことで加点されるので、それにチャレンジし、落下した選手が多く見受けられました。つまり、ハイリスクハイリターンですね。
それと、もう一つ多かったのが、着地まではうまく行っていたのに、着地で何歩も動いてしまい、挙げ句の果てに手をついてしまうというミス。
なので、ノーミスでやり切った選手は8人中2人しかおらず、ミスをしなかったことで演技構成が難度低めでも金メダルに至ったわけです。逆に言えば、Dスコアが高いがゆえに普通ならメダルは取れないはずのミスをしても銅メダル獲得できたわけですが。
なので、他の選手たちがミスたくさんしたという運の良さもあるのですが、1人が落下するとそれを見た選手たちが次々と落下する。東京オリンピックの鉄棒でもありました。女子の平均台もそうでした。けれど、その負の連鎖に巻き込まれなかったこと、見ていて気持ち良い着地ピタリ、大前提としてミスをしない、など難度点にものを言わせないにもかかわらずEスコアの高さで金メダルを獲得するとはなんとも男子体操では珍しい試合でした。

もちろんこれは、選手たちが最も痛感したことでしょう。
見てたこちらとしてもヒヤヒヤして仕方なかったので。
なので、岡選手は(言い方は悪いが、運も実力のうちだが)、金メダルでも団体で金メダルだった時ほど喜んでいる様子も見られず(3つ目なので金メダル慣れ?笑)
偶然取れちゃった感がめちゃくちゃ出ていましたね。
そして、インタビューでも、自分じゃなくて、金メダルが期待されていた杉野選手が取るべきだったのでは、、、と言っていて、優しい選手なんだな、と思ったけれど、ローリスクを選んだのも自分自身で、その結果、鉄棒で世界一になったのも自分自身なんだからもっと喜べばいいのに、と強く思いました。
欲張らずに自分の実力に見合った演技構成にでき、さらに着ピタをはじめとする美しい体操ができる高い能力を持っているのだから。


けど、日本中の期待を集めていた橋本大輝選手を抑え、個人総合でも金メダルを取り、そもそも橋本選手が出場すらできなかった種目別鉄棒でも金メダルを取った。さらに共に戦った選手に、鉄棒を得意とする杉野選手までいて、内心喜びずらかったのかな、とも思ってしまう。

けれど、こういうことって私たちの日常にも起きていると思うのです。
わかりやすいのが受験。
第一志望の難関校を受けて、手ごたえなくて、こりゃ落ちたな、と思っても受かった、繰り上げ合格した、とか。
受験ってわかりやすく相対評価なので、本当は記念受験のはずが、たまたま苦手とする人が多いけど自分は得意な分野が出た、とかね。

でも、受験は落ちたら点数開示してくれる(一部の学校は合格しても)でも、翌年、赤本が出るまではどんな傾向だったとか、わからない。

だからね、思うんですよ、受験は何千、何万と受けるけど、その上位者の標本調査が見える形で行われていただけだから、自分より普段は実力ある選手の上に立っても、自分のこと誇りに思ってね。って。
受験は最後まで何が起きるかわからないと言われるけど、それはスポーツも一緒。

橋本選手みたいな、得意なものをしっかり取っていって凛としているのもTHEアスリートって感じで好感度高いのもとてもわかる。
けれど、今まであまり日本の男子体操にいなかったような無理はしないで取れるところを取るスタイルで金メダルを獲得した岡選手、とても新鮮でした!
あのDスコアだとメダル取れると思っていなかったんだろうけど、そのDスコアだからこそ手にした金メダルとも言えるのではないでしょうか。

日本の男子体操がさらにレベル上がりましたね。橋本選手にも負けられないライバルができて、岡選手は逆に追われる立場となりました。


個人総合編はまた今度書きますが、岡選手が金メダルと確定した瞬間の橋本選手の涙に半分寝ていながらももらい泣きしそうになりました。

鉄棒で金メダル確定した時に橋本選手が来て抱きつくシーンも、涙ぐましかったです。あの時、橋本選手はどんな気持ちだったのかな、3年間、また自分が取るはずだった鉄棒のメダル。それを後輩が取って絶対嬉しい気持ち100%ではなかっただろうけど、素直に頑張りを認めて、アスリートから学ぶものはたくさんあります。

アスリートから教えてもらう諦めない気持ちや人を思いやる気持ちは国籍なんて関係ありません。なんせ、こんな体操の記事を長々と書く筆者はアメリカの選手に心奪われたので。

この文章を読んで体操に興味持っていただける方が1人でも増えてほしいです。

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