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介護問題

認知症の患者数が2030年に523万人になるというニュースを見た。高齢者の7人に1人が認知症になってしまうらしい。

幸い両親はまだ4人とも元気なので、介護問題まだまだ遠い話、と思っていたら、夫が突然倒れ、障がい者になり、介護問題がいきなり我が家の喫緊の課題になったのが昨年。
フルタイムワーキングマザーで、小学生2人の子どもを子育て中の私に、さらに夫の介護までのしかかるなんて、まったく想像だにしてなかった。
夫が倒れるパターンは比較的少ないと思うけど、高齢出産は増えているし、子どもがある程度大きくなったころに突然、親の介護どうする問題が課題になる人はこれからますます増えていくのではないかと思う。
夫は、くも膜下出血で倒れた。麻痺はほぼないが、高次脳機能障害で失語症が一番強く出ていた。私は不勉強で高次脳機能障害というものを知らなかったので、すべてが未知だった。いろいろ調べても結局、人によって症状が違いすぎる病気で対策のしようもなかった。そんな中、夫が退院する前に私の中で下記のとおりのことを決めた。

  • 夫が元どおりに戻るのは無理だと理解する。期待しない。

  • 夫が家族に対してイヤなことをするようだったら、家での介護はすぐにあきらめて施設を探す。

  • 夫の人生と他の家族の人生は別物だと理解する。自分の人生をあきらめない。

  • 公的なサービスや病院の支援など、使えるもの、頼れるものは全部使う。

突き放して、冷たいように見えるかもしれない。でも、これらを決めたことで、家に受け入れる心の準備ができた。
夫の場合、身の回りのことは自分でできるので、一般にイメージされる介護とはかなり違うと思う、でも、私の時間を費やす必要がある、という意味では私にとって同じこと。

今の職場に、介護離職する予定の方がいる。
その方は派遣社員で、もともと週2-3日という余裕のある働き方をしているのだけど、それでも、ご自分も若くないし、無理はできない、ということで、もし親の介護が始まることになったら辞めたい、という連絡を受けた。
介護を優先することを否定するつもりはない、でも、子どもだからといって、親の人生をすべて引き受ける理由はないと思う。いつまで、どこまで自分で引き受けるかを決めてから始めたら、少し俯瞰して見られるんじゃないかな、と思った。

夫が倒れてすぐは、脳が朦朧としているようで、本当にぼやぼやとしていた。言葉はまったく通じず、何を聞いても、はい、しか言えなかった。見た目は何も変わらなかったけど、とても一緒に暮らせない、と思った。急性期での治療が終わって、リハビリ病院に転院してから、やっと少しづつ現実が戻ってきているような感じだった。毎日少しづつ良くなってきている。まさに亀の歩みしかないので、なかなかもどかしいけど。
一方で認知症は、基本的に毎日少しづつ悪化していく病気、家族がどこまで引き受けて、社会としてどこまで受け入れることができるんだろう。

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